志村新八
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太陽に向かって花を咲かせるひまわり。そのひまわりを見た時に、新八くんの顔が思い浮かんだ。
そういえば彼のお誕生日が近かったな、と花屋で眺めていると、店員さんからひまわりの本数の話を教えてもらった。
日付に合わせるなら十二本、なんだけど。
十二本なら『恋人になってくたさい』。
あまりにも直球すぎやしないか。新八くんが意味を知らなくても、知ってしまった私が渡すとそれはもう告白になるのでは。
前に万事屋さんに依頼をした時に、新八くんに助けて貰って、そこからたまに話すようになって惹かれている自覚はある。でもまだ、気持ちを伝える勇気は無い。
少し考えて、十一本でオーダーした。十一本は『最愛』。これも恥ずかしいけど嘘は言っていない。
新八くんの誕生日当日。花束を腕に抱えて町を歩く。小ぶりなもので頼んだとはいえ、本数が多くなると重さが増す。ふわりと暖かくおだやかな香りが鼻をくすぐって、ずっとある緊張を少しほぐしてくれる。
時折、抱え直したり、バッグにいれたひまわりも潰れたり、萎れたりしていないか確認しながら、目的の道を進んでいく。目指すは万事屋、新八くんのもとへ。
先に行った道場の方にはお妙ちゃんしかいなくて、万事屋へ出勤したと教えてくれた。
「新八くんは万事屋に行ってるんですね」
「えぇ。夕方には帰ってくると思うんだけど」
出来れば道場で渡したかった。ちょっと予定が変わるけど仕方がない。花束を抱え直して、お妙ちゃんに頭を下げる。
「ありがとうございます。万事屋さんに行ってみようと思います」
「気をつけてね。あ、そうだわ。今日の夜、新ちゃんのお祝いをするの。良かったら来て」
「はい。夜にまた寄らせてもらいます」
「ええ。それから、その花束とっても素敵。伝わるといいわね」
「は、はい!」
花束を見て何かを察したお妙ちゃんにエールをもらったんだ。頑張らなきゃ。気合いを入れ直して、よく晴れた空の下、万事屋さんを目指す。
何度も見た万事屋さんのスライドドアの前で深呼吸をひとつ。いざ新八くんに会うと思うと緊張してきた。落ち着け、と花束を抱える。
「すみませーん」
コンコンと軽くガラスを叩いて呼びかける。少しして、奥から誰かがやってくる音が聞こえた。
「はいはーい」
「こ、こんにちは」
銀さんに出迎えられて緊張がピークに達する。人に誕生日プレゼントを渡すのってこんなに緊張するものだっけ。腕に抱えている花束がずっしりと主張してくる。
「なに、オメーも新八にプレゼント渡しに来た口か?」
「はい、新八くんがこっちにいると聞いて先にプレゼントを渡しに来ました」
「ヘェ、花束」
チラッと銀さんの目線が私の腕の中に落ちる。
「可愛すぎますかね」
「別にいいんじゃねェの。新八に渡したいって思ったんなら、なんだろうと、その気持ちがありゃ充分喜ぶだろうよ」
「そうだといいな」
「……とりあえず、上がれよ」
「はい、お邪魔します」
銀髪を追いかけると、奥から神楽ちゃんと新八くんの賑やかな声が聞こえてくる。通されたいつもの部屋のテーブルの上にはいくつかのプレゼントたち。
夜には新八くんの家でお祝いもされるらしいから、もっと増えるんだろう。
「わぁ、綺麗な花束ネ」
「新八くんがお誕生日だって聞いたから、プレゼントと思って。可愛すぎるかもしれないけど」
「いえ、そんなことは……!ありがとうございます」
私の手から新八くんの手へ。
横から神楽ちゃんと銀さんが物珍しそうに覗いているのが、少し恥ずかしい。
「あれ、この花束のひまわり、十一本ネ。日付間違えたアルか?」
「一、二、三……確かに、花の本数を新八の誕生日に合わせたンじゃねぇのか」
二人の指摘にドキッと心臓が鳴る。その指摘はごもっとも。本数の意味を言うなら、花言葉の意味を説明しなくちゃいけなくなる。公開処刑、みたいなものだ。
「僕が貰ったものをアンタらが検品するな!……別に日付に合わせて花束の本数も揃えなきゃいけない訳じゃないでしょう」
そう言いながら、新八くんが少し悲しそうにしているのがわかった。新八くんにそんな顔させたい訳じゃない。
よくよく考えれば、ひまわり以外の花も使ってもらえば良かった。それで十二本にすれば。でも、ひまわりが良かった。伝える勇気はまだ無いくせに、こだわってしまった。
そのジレンマが私をほんの少し苦しめる。
「ごめんね、新八くん。実はここにもう一本あるの」
バッグから、一本のひまわりを取り出す。下に水を含ませた脱脂綿と花の周りにはビニールで囲われていたから潰れたり萎れたりはしていない。
花束は十一本にした。でも、やっぱり日付にあやかりたくて、追加で一本、花束を受け取る時に購入していた。
「もう一本あったんですね。すみません、気を使わせたみたいになっちゃって」
「ううん、私も最初から十二本にしておけば良かったんだけど……」
「良かったんだけど?」
メガネのレンズの奥で、きょとんとした目を向けられて、慌てて首を振る。
「その……そう、ひまわりだけにするのか、他のお花も入れるのか悩んでるうちにギリギリになっちゃったの」
本当だけど本当じゃない。花言葉の意味なんて、知らないかもしれないし、調べないかもしれない。それでも、私はそういうのに気持ちをこっそり託したかった。自分でいう勇気がまだ無かったから。
「そうなんですね。でも、嬉しいです。ナマエちゃんが僕のことを考えて選んでくれて、喜ばないわけない。ありがとうございます」
彼の言葉と笑顔でぽかぽかとしたあたたかい気持ちが広がっていく。そういう素直に伝えてくれるところが好きなんだ。
「どういたしまして。なんだか、私がプレゼントもらったみたい」
「え、えぇ?」
「新八くん。改めて、お誕生日おめでとう」
「はい」
屈託のない笑顔が私に咲く。その姿にますます私の心は彼に惹かれていった。
2025.8.12
そういえば彼のお誕生日が近かったな、と花屋で眺めていると、店員さんからひまわりの本数の話を教えてもらった。
日付に合わせるなら十二本、なんだけど。
十二本なら『恋人になってくたさい』。
あまりにも直球すぎやしないか。新八くんが意味を知らなくても、知ってしまった私が渡すとそれはもう告白になるのでは。
前に万事屋さんに依頼をした時に、新八くんに助けて貰って、そこからたまに話すようになって惹かれている自覚はある。でもまだ、気持ちを伝える勇気は無い。
少し考えて、十一本でオーダーした。十一本は『最愛』。これも恥ずかしいけど嘘は言っていない。
新八くんの誕生日当日。花束を腕に抱えて町を歩く。小ぶりなもので頼んだとはいえ、本数が多くなると重さが増す。ふわりと暖かくおだやかな香りが鼻をくすぐって、ずっとある緊張を少しほぐしてくれる。
時折、抱え直したり、バッグにいれたひまわりも潰れたり、萎れたりしていないか確認しながら、目的の道を進んでいく。目指すは万事屋、新八くんのもとへ。
先に行った道場の方にはお妙ちゃんしかいなくて、万事屋へ出勤したと教えてくれた。
「新八くんは万事屋に行ってるんですね」
「えぇ。夕方には帰ってくると思うんだけど」
出来れば道場で渡したかった。ちょっと予定が変わるけど仕方がない。花束を抱え直して、お妙ちゃんに頭を下げる。
「ありがとうございます。万事屋さんに行ってみようと思います」
「気をつけてね。あ、そうだわ。今日の夜、新ちゃんのお祝いをするの。良かったら来て」
「はい。夜にまた寄らせてもらいます」
「ええ。それから、その花束とっても素敵。伝わるといいわね」
「は、はい!」
花束を見て何かを察したお妙ちゃんにエールをもらったんだ。頑張らなきゃ。気合いを入れ直して、よく晴れた空の下、万事屋さんを目指す。
何度も見た万事屋さんのスライドドアの前で深呼吸をひとつ。いざ新八くんに会うと思うと緊張してきた。落ち着け、と花束を抱える。
「すみませーん」
コンコンと軽くガラスを叩いて呼びかける。少しして、奥から誰かがやってくる音が聞こえた。
「はいはーい」
「こ、こんにちは」
銀さんに出迎えられて緊張がピークに達する。人に誕生日プレゼントを渡すのってこんなに緊張するものだっけ。腕に抱えている花束がずっしりと主張してくる。
「なに、オメーも新八にプレゼント渡しに来た口か?」
「はい、新八くんがこっちにいると聞いて先にプレゼントを渡しに来ました」
「ヘェ、花束」
チラッと銀さんの目線が私の腕の中に落ちる。
「可愛すぎますかね」
「別にいいんじゃねェの。新八に渡したいって思ったんなら、なんだろうと、その気持ちがありゃ充分喜ぶだろうよ」
「そうだといいな」
「……とりあえず、上がれよ」
「はい、お邪魔します」
銀髪を追いかけると、奥から神楽ちゃんと新八くんの賑やかな声が聞こえてくる。通されたいつもの部屋のテーブルの上にはいくつかのプレゼントたち。
夜には新八くんの家でお祝いもされるらしいから、もっと増えるんだろう。
「わぁ、綺麗な花束ネ」
「新八くんがお誕生日だって聞いたから、プレゼントと思って。可愛すぎるかもしれないけど」
「いえ、そんなことは……!ありがとうございます」
私の手から新八くんの手へ。
横から神楽ちゃんと銀さんが物珍しそうに覗いているのが、少し恥ずかしい。
「あれ、この花束のひまわり、十一本ネ。日付間違えたアルか?」
「一、二、三……確かに、花の本数を新八の誕生日に合わせたンじゃねぇのか」
二人の指摘にドキッと心臓が鳴る。その指摘はごもっとも。本数の意味を言うなら、花言葉の意味を説明しなくちゃいけなくなる。公開処刑、みたいなものだ。
「僕が貰ったものをアンタらが検品するな!……別に日付に合わせて花束の本数も揃えなきゃいけない訳じゃないでしょう」
そう言いながら、新八くんが少し悲しそうにしているのがわかった。新八くんにそんな顔させたい訳じゃない。
よくよく考えれば、ひまわり以外の花も使ってもらえば良かった。それで十二本にすれば。でも、ひまわりが良かった。伝える勇気はまだ無いくせに、こだわってしまった。
そのジレンマが私をほんの少し苦しめる。
「ごめんね、新八くん。実はここにもう一本あるの」
バッグから、一本のひまわりを取り出す。下に水を含ませた脱脂綿と花の周りにはビニールで囲われていたから潰れたり萎れたりはしていない。
花束は十一本にした。でも、やっぱり日付にあやかりたくて、追加で一本、花束を受け取る時に購入していた。
「もう一本あったんですね。すみません、気を使わせたみたいになっちゃって」
「ううん、私も最初から十二本にしておけば良かったんだけど……」
「良かったんだけど?」
メガネのレンズの奥で、きょとんとした目を向けられて、慌てて首を振る。
「その……そう、ひまわりだけにするのか、他のお花も入れるのか悩んでるうちにギリギリになっちゃったの」
本当だけど本当じゃない。花言葉の意味なんて、知らないかもしれないし、調べないかもしれない。それでも、私はそういうのに気持ちをこっそり託したかった。自分でいう勇気がまだ無かったから。
「そうなんですね。でも、嬉しいです。ナマエちゃんが僕のことを考えて選んでくれて、喜ばないわけない。ありがとうございます」
彼の言葉と笑顔でぽかぽかとしたあたたかい気持ちが広がっていく。そういう素直に伝えてくれるところが好きなんだ。
「どういたしまして。なんだか、私がプレゼントもらったみたい」
「え、えぇ?」
「新八くん。改めて、お誕生日おめでとう」
「はい」
屈託のない笑顔が私に咲く。その姿にますます私の心は彼に惹かれていった。
2025.8.12