坂田銀時
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運ばれてきたコーヒーは銀さん、苺と生クリームがたっぷりのパフェは私の前に置かれた。失礼いたします、と一礼した店員さんが去った後、目の前の男とコーヒーと苺パフェを交換する。
「銀さん、どーぞ」
「どーも」
「こっち、お前のな」
「ありがとうございます」
嬉しそうな顔をして、パフェスプーンで頂きの苺を掬いとった銀さんに少し笑ってしまう。
「なに笑ってんだよ」
肘をついた行儀の悪い格好の彼の気だるげな目は、グラスの周りに刺さる苺よりも私に向けられている。
「いえ、銀さんと来る時はいつもこうだから、少しおかしくって」
「へーへー、苺パフェが似合わない見た目で悪かったな。まァ、確かに? オメーの方が似合うだろうけど?……あ、でも似合うからってあげないからね!?この苺パフェはテッペンの苺から下のなんかサクサクしてるやつまで全部俺ンだからァ!」
「欲しいなんて一言も言ってませんよ。というか銀さん、唾飛ばさないでください!!」
見せつけるように生クリームと苺を一緒に口にした銀さんは、その甘味ですぐに機嫌を取り戻したらしい。にやにやしながら、幸せオーラを隠さず食べ進める。
欲しい、なんて思ったことはない。銀さんが嬉しそうに食べている姿を見るのが好きで、それだけで胸がいっぱいになってしまう。
私はこのゆるやかに流れる日常が続くように祈りながら、コーヒーを口にした。
「つーか、ナマエ、他のやつとも来んの?」
ポツっと落ちた声は普段より低く感じた。銀さんを見ると、スプーンでグラスの中をほじくっているようだ。グラスから覗いていた白い山が無くなっている。
「そりゃあ、友だちとも来ますよ」
「ふーん。……男?」
「女の子です。……そこ、銀さんに関係あります?」
「イヤ、ねーな」
ふっと笑った銀さんは、パフェを前にした時みたいに少し嬉しげに見えた。声のトーンも戻っている。さっきのはなんだったんだろう。
「でも友だちと来た時は、すぐ自分が頼んだって分かるように手を挙げたりして……」
そこまで言って、ふと気づく。そういえば、銀さんがそうしているのを見たことは無い。私も彼です、と手のひらで示せばいいのに、してこなかったことに気がついた。
「どうして、俺のですって言わないんですか」
「さァ。……俺からしたらナマエだって言わねぇし、そっちの方が不思議だけどな」
言われて気づいた。パフェを差し出した時の銀さんが嬉しそうにする顔を見るのも、銀さんから飲み物を受け取るのも。密かな楽しみになっていたんだ。銀さんも同じ気持ちだったりしないかな。そんな小さな欲が胸の中に燻り始める。
中段のソフトクリームとグラスに張り付いている苺は、彼に食べられるのを今か今かと待っていた。
「なんだよ。そんなに見たってやらねーって言ってるだろ」
パフェを守るように手で隠す、やる気のない半目は何を考えているのかよく分からない。それでも、これを言えばなんて返ってくるのかだけは分かる。
「欲しくて見てた訳じゃないです。……銀さん、次はぶどうのパフェが期間限定で出るらしいですよ」
店に入る前の看板に、近日登場の文字とともに載っていた写真を思い出す。銀さんと来る時はそこをチェックするのが恒例になっていた。
「また、一緒に来ましょうね」
「……まァ、お前が奢ってくれるって言うならな」
「ふふ、はいはい」
何度か重ねたこのやり取りも、私はコーヒーとパフェの交換くらい好きだ。そして、そんなやり取りを重ねる彼と今の関係性を少しでも良いから進めたい。そんな気持ちが私の中にあったと知れただけで今日は充分。
どう行動に移すか考える前に、まずはコーヒーを美味しく飲みきるところからだ。
グラスの底近く、ソースがかかったアイスクリームを上機嫌で食べる銀さん。コーヒーの香りがする度に思い出すのだろうと思った。
2025.9.3
「銀さん、どーぞ」
「どーも」
「こっち、お前のな」
「ありがとうございます」
嬉しそうな顔をして、パフェスプーンで頂きの苺を掬いとった銀さんに少し笑ってしまう。
「なに笑ってんだよ」
肘をついた行儀の悪い格好の彼の気だるげな目は、グラスの周りに刺さる苺よりも私に向けられている。
「いえ、銀さんと来る時はいつもこうだから、少しおかしくって」
「へーへー、苺パフェが似合わない見た目で悪かったな。まァ、確かに? オメーの方が似合うだろうけど?……あ、でも似合うからってあげないからね!?この苺パフェはテッペンの苺から下のなんかサクサクしてるやつまで全部俺ンだからァ!」
「欲しいなんて一言も言ってませんよ。というか銀さん、唾飛ばさないでください!!」
見せつけるように生クリームと苺を一緒に口にした銀さんは、その甘味ですぐに機嫌を取り戻したらしい。にやにやしながら、幸せオーラを隠さず食べ進める。
欲しい、なんて思ったことはない。銀さんが嬉しそうに食べている姿を見るのが好きで、それだけで胸がいっぱいになってしまう。
私はこのゆるやかに流れる日常が続くように祈りながら、コーヒーを口にした。
「つーか、ナマエ、他のやつとも来んの?」
ポツっと落ちた声は普段より低く感じた。銀さんを見ると、スプーンでグラスの中をほじくっているようだ。グラスから覗いていた白い山が無くなっている。
「そりゃあ、友だちとも来ますよ」
「ふーん。……男?」
「女の子です。……そこ、銀さんに関係あります?」
「イヤ、ねーな」
ふっと笑った銀さんは、パフェを前にした時みたいに少し嬉しげに見えた。声のトーンも戻っている。さっきのはなんだったんだろう。
「でも友だちと来た時は、すぐ自分が頼んだって分かるように手を挙げたりして……」
そこまで言って、ふと気づく。そういえば、銀さんがそうしているのを見たことは無い。私も彼です、と手のひらで示せばいいのに、してこなかったことに気がついた。
「どうして、俺のですって言わないんですか」
「さァ。……俺からしたらナマエだって言わねぇし、そっちの方が不思議だけどな」
言われて気づいた。パフェを差し出した時の銀さんが嬉しそうにする顔を見るのも、銀さんから飲み物を受け取るのも。密かな楽しみになっていたんだ。銀さんも同じ気持ちだったりしないかな。そんな小さな欲が胸の中に燻り始める。
中段のソフトクリームとグラスに張り付いている苺は、彼に食べられるのを今か今かと待っていた。
「なんだよ。そんなに見たってやらねーって言ってるだろ」
パフェを守るように手で隠す、やる気のない半目は何を考えているのかよく分からない。それでも、これを言えばなんて返ってくるのかだけは分かる。
「欲しくて見てた訳じゃないです。……銀さん、次はぶどうのパフェが期間限定で出るらしいですよ」
店に入る前の看板に、近日登場の文字とともに載っていた写真を思い出す。銀さんと来る時はそこをチェックするのが恒例になっていた。
「また、一緒に来ましょうね」
「……まァ、お前が奢ってくれるって言うならな」
「ふふ、はいはい」
何度か重ねたこのやり取りも、私はコーヒーとパフェの交換くらい好きだ。そして、そんなやり取りを重ねる彼と今の関係性を少しでも良いから進めたい。そんな気持ちが私の中にあったと知れただけで今日は充分。
どう行動に移すか考える前に、まずはコーヒーを美味しく飲みきるところからだ。
グラスの底近く、ソースがかかったアイスクリームを上機嫌で食べる銀さん。コーヒーの香りがする度に思い出すのだろうと思った。
2025.9.3