沖田総悟
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夕陽の下、河原の斜面に座って遠くを眺めている総悟くんを見つけた。横には刀と隊服の上着が置いてある。こんなところでなにしてるんだろう。
風が吹くと揺れる茶髪を気にせず、黄昏れる彼にそっと近づく。あと三歩程で触れられる。そう思った瞬間、カサっと何かを踏む音がした。
「あっ……」
下を見ると、草に紛れてしわくちゃになったビラが落ちていた。どこからか飛んできたのだろう。それを拾って顔を上げると、総悟くんがこちらを向いていた。
「アンタか」
内心、彼の驚いた顔が見られるかもと期待したけど、返ってきたのはいつもと変わらない顔。少しでも表情を崩せたらいいのに。そうは思っても成功した試しなんてなかった。お邪魔します、と彼の隣に座る。
「驚かないんですね」
「ナマエさんみたいな、ド素人の気配が分からなくなっちまったらお終いでさァ」
「どしろ、わ、総悟くん、ストップ、ストップ!」
沖田さんに額を人差し指でぐりぐりと押される。ストップをかけて数秒後、ようやく指が離された。痕になってないよね。沖田さんの指の感触が額に残って落ち着かない。ソワソワする気持ちを見透かされる前に、思っていたことを聞く。
「なにしてたんですか?」
「見廻り」
「え!?総悟くんが……?」
やる時はやる人だとは知っているけど、見廻りをひとりでする事があるのだろうか。それに、明らかに黄昏てて、見廻ってるようにも見えなかった。見廻り、と言ったあとも顔は私ではなく、夕日の方へ向いてしまった。
「嘘……」
「最近、この辺りで女を狙った悪党がいるってんで、見廻りが強化されてんだ。アンタ、知らねェんですかィ」
「言われてみれば、朝にテレビで見たいような、上司も言ってたような」
テレビは付けるけど、起きてない頭では内容は右から左。やっと起きてもドタバタ準備してたりであまり記憶には無い。上司も、最近物騒だからと言ってた気もするけど、この周辺は割と物騒なので、いつもの事かと流してしまっていた。さすがにもっと情報収集しないとと危機感を覚えた。
「ンな事だろうと思いました」
呆れた目を向けられて返す言葉もない。
「お仕事なのは分かりました。けど、見廻りって一人でするものなんですか?」
「誰が仕事でって言いやした?今日はとっくに勤務時間は終わってんだよ」
呆れた声はぐっと横から体重をかけてきた。重い。だけど、ひっつくところが、じんわりとあたたかくなっていく。優しさが温度を持つなら、柔らかいあたたかさになるのだろうか。
「重いです……」
対抗するように力を込め、体重を総悟くんにかけようとするけどビクともしない。私の抵抗を他所に、更に体重が加わる。数秒の攻防の後、総悟くんからの重みが少なくなった。私の負け、らしい。
潔く負けを認め、彼の体重を支え続ける役を全うすることにする。風で揺れる髪が当たってくすぐったい。
「仕事じゃないなら、なんでここにいるんですか」
「テメェで考えてみな」
ますます分からない。仕事じゃないなら総悟くん個人の判断で来てて、しかも、わざわざ河川敷にいた。真選組の屯所は逆方向だ。
それに別に用があれば私を追い払うだろう。だけど、私が話しかけても追い払わなかった。私の都合のいいように考えても良いのだろうか。
「私が心配だったとか」
かかっていた重みが完全に離れる。名残惜しさを感じて、総悟くんを目で追うと、彼も私をじっと見つめていた。
数秒の沈黙が風と共に流れる。自惚れ、だったかもしれない。他の人より気にかけてもらってる自覚があったけど、仕事終わりに私の為に時間はかけない、か。
「あの、自惚れならそうだって言ってください。恥ずかしいじゃないですか」
「……被害者としてナマエさんに会いたくないだけでェ。知ってる顔ってだけで目覚めが悪くなる。余計にな」
そう言って、横に置いていた刀と上着を持った総悟くんは立ち上がる。表情は見えづらくなったけど分かる。これは照れ隠しだ。素直な物言いをしないのは、彼との付き合いの中で慣れている。
「それに、アンタの家まで行って、屯所に帰ればついでに見廻りにもなるって話だ。見廻りも、まあ嘘じゃないんで」
「ふふ、それじゃあ、家までお願いします」
歩き出した総悟くんの隣に並ぶ。夕焼けで染まる道に伸びる影を見て、こういうのが続けばいいのに、と思った。
2025.9.1
風が吹くと揺れる茶髪を気にせず、黄昏れる彼にそっと近づく。あと三歩程で触れられる。そう思った瞬間、カサっと何かを踏む音がした。
「あっ……」
下を見ると、草に紛れてしわくちゃになったビラが落ちていた。どこからか飛んできたのだろう。それを拾って顔を上げると、総悟くんがこちらを向いていた。
「アンタか」
内心、彼の驚いた顔が見られるかもと期待したけど、返ってきたのはいつもと変わらない顔。少しでも表情を崩せたらいいのに。そうは思っても成功した試しなんてなかった。お邪魔します、と彼の隣に座る。
「驚かないんですね」
「ナマエさんみたいな、ド素人の気配が分からなくなっちまったらお終いでさァ」
「どしろ、わ、総悟くん、ストップ、ストップ!」
沖田さんに額を人差し指でぐりぐりと押される。ストップをかけて数秒後、ようやく指が離された。痕になってないよね。沖田さんの指の感触が額に残って落ち着かない。ソワソワする気持ちを見透かされる前に、思っていたことを聞く。
「なにしてたんですか?」
「見廻り」
「え!?総悟くんが……?」
やる時はやる人だとは知っているけど、見廻りをひとりでする事があるのだろうか。それに、明らかに黄昏てて、見廻ってるようにも見えなかった。見廻り、と言ったあとも顔は私ではなく、夕日の方へ向いてしまった。
「嘘……」
「最近、この辺りで女を狙った悪党がいるってんで、見廻りが強化されてんだ。アンタ、知らねェんですかィ」
「言われてみれば、朝にテレビで見たいような、上司も言ってたような」
テレビは付けるけど、起きてない頭では内容は右から左。やっと起きてもドタバタ準備してたりであまり記憶には無い。上司も、最近物騒だからと言ってた気もするけど、この周辺は割と物騒なので、いつもの事かと流してしまっていた。さすがにもっと情報収集しないとと危機感を覚えた。
「ンな事だろうと思いました」
呆れた目を向けられて返す言葉もない。
「お仕事なのは分かりました。けど、見廻りって一人でするものなんですか?」
「誰が仕事でって言いやした?今日はとっくに勤務時間は終わってんだよ」
呆れた声はぐっと横から体重をかけてきた。重い。だけど、ひっつくところが、じんわりとあたたかくなっていく。優しさが温度を持つなら、柔らかいあたたかさになるのだろうか。
「重いです……」
対抗するように力を込め、体重を総悟くんにかけようとするけどビクともしない。私の抵抗を他所に、更に体重が加わる。数秒の攻防の後、総悟くんからの重みが少なくなった。私の負け、らしい。
潔く負けを認め、彼の体重を支え続ける役を全うすることにする。風で揺れる髪が当たってくすぐったい。
「仕事じゃないなら、なんでここにいるんですか」
「テメェで考えてみな」
ますます分からない。仕事じゃないなら総悟くん個人の判断で来てて、しかも、わざわざ河川敷にいた。真選組の屯所は逆方向だ。
それに別に用があれば私を追い払うだろう。だけど、私が話しかけても追い払わなかった。私の都合のいいように考えても良いのだろうか。
「私が心配だったとか」
かかっていた重みが完全に離れる。名残惜しさを感じて、総悟くんを目で追うと、彼も私をじっと見つめていた。
数秒の沈黙が風と共に流れる。自惚れ、だったかもしれない。他の人より気にかけてもらってる自覚があったけど、仕事終わりに私の為に時間はかけない、か。
「あの、自惚れならそうだって言ってください。恥ずかしいじゃないですか」
「……被害者としてナマエさんに会いたくないだけでェ。知ってる顔ってだけで目覚めが悪くなる。余計にな」
そう言って、横に置いていた刀と上着を持った総悟くんは立ち上がる。表情は見えづらくなったけど分かる。これは照れ隠しだ。素直な物言いをしないのは、彼との付き合いの中で慣れている。
「それに、アンタの家まで行って、屯所に帰ればついでに見廻りにもなるって話だ。見廻りも、まあ嘘じゃないんで」
「ふふ、それじゃあ、家までお願いします」
歩き出した総悟くんの隣に並ぶ。夕焼けで染まる道に伸びる影を見て、こういうのが続けばいいのに、と思った。
2025.9.1