一年生秋編 交換留学生が来る秋、イワンのいない秋。
私の誕生日がおとずれました。
本日を持って、私はアラセリス・ラウレールとなりました。
なんだかすごく恥ずかしいような、でも嬉しくてこそばゆい。
私もイワンもまだ学生なので、披露宴をするとしても私の卒業後です。それでも、こうして家族になれたこと本当に幸せです。
お母さんやお父様と話し合って卒業するまでのことを決めました。
ラウレール邸の方たちとも馴染むためこれからは平日はラウレール邸で過ごします。
週末は生家に顔を出します。
育ててもらったお恩返しをちゃんとしなければいけませんからね。お母さんの代わりに家事をするのです。
以前婚約するときにも挨拶しましたが、これからは正式にお屋敷に出入りすることになるので改めて使用人の皆様に挨拶します。
お父様とイワンがひとりひとり紹介してくださいます。
「みんな。前から話していたがアラセリスさんが正式にイワンの妻となった。これからよくしてやってほしい」
「お世話になります。アラセリスです。よろしくお願いします」
執事さん、メイドさん、みんなに挨拶します。私の祖父母ほどの年齢の方から、あまり年の変わらない方まで様々です。
ほとんどの使用人さんはイワンと距離をおいているように見えたので、その妻となる私が暖かく迎え入れてもらえるか心配でしたが、皆さん笑顔で受け入れてくれました。
ちまたで流行りの文芸のように「庶民の小娘なんかに仕えられるか!!」って戦慄の展開になるかもしれないと思っていたのですが杞憂でした。
私がかけはしとなることで、イワンとも隔たりなく接することができるようになってくれたら嬉しいですね。
本来ならお父様の奥様が担うはずだった屋敷の女主人の役割は誰も担う人がいなかったため、私が少しずつ学ぶことになります。
ラウレール邸で過ごす間、領地運営のお手伝いや書類整理など、イワンもこなしてきたお仕事を私もするのです。
挨拶を終えて、イワンと一緒に庭園に出ます。
ラウレール邸に植えられている薔薇は四季咲きという種類のものだそうで、この寒い中でも薄い黄色の花が咲いています。
いい香りですね。お父様いわく、ディアナちゃんの好みで植えた品種なんだそうです。
いつ帰ってきても花を楽しめるように。
ランヴァルドさんとディアナちゃんからも、おめでとうって手紙が届きました。
冬の長期休暇になったら、イワンと一緒に、二人に会いに行くんです。
イワンに手を引かれて歩いていると、空からふわりと白い欠片が舞い降りてきました。
ひとつ、ふたつ。
欠片は私の鼻先に当たってとけ、また新しい欠片が降ってくる。
次第に数を増していきます。
「見てくださいイワン! 雪ですよ!」
「そこまではしゃがなくても。雪なら毎年見てるよ」
「一緒に見るのは初めてじゃないですか」
ぴったり腕にくっつくと、後ろから抱きすくめられます。とっても温かいです。
「一緒だから嬉しいんです。イワンは嬉しくないですか?」
「……いちいち言わせるな」
「聞きたいです」
こういうこと素直に言えるタイプじゃないって、もうわかってます。でも、たまには言って欲しいです。
「そうだな。アラセリスが一緒だと、当たり前だった景色も新鮮に感じる」
「えへへ、それなら私も嬉しいです。これからもたくさん、一緒にいろんなもの見るんですよ。世界はとっても広いんですから」
口づけして、抱きしめあって、大好きだってことを伝えます。
入学式の日の私に、今の私のことを伝えたって信じないでしょう。
喧嘩ばかりしていたイワンと恋に落ちて、婚約して、誕生日に夫婦となったこと。
魂を分け合ってつがいになったこと。
こうして出会う運命にあったこと、今は心から神様に感謝しています。
これから先もまだまだ困難はあるでしょうが、イワンとなら乗り越えていける。そう信じています。
本日を持って、私はアラセリス・ラウレールとなりました。
なんだかすごく恥ずかしいような、でも嬉しくてこそばゆい。
私もイワンもまだ学生なので、披露宴をするとしても私の卒業後です。それでも、こうして家族になれたこと本当に幸せです。
お母さんやお父様と話し合って卒業するまでのことを決めました。
ラウレール邸の方たちとも馴染むためこれからは平日はラウレール邸で過ごします。
週末は生家に顔を出します。
育ててもらったお恩返しをちゃんとしなければいけませんからね。お母さんの代わりに家事をするのです。
以前婚約するときにも挨拶しましたが、これからは正式にお屋敷に出入りすることになるので改めて使用人の皆様に挨拶します。
お父様とイワンがひとりひとり紹介してくださいます。
「みんな。前から話していたがアラセリスさんが正式にイワンの妻となった。これからよくしてやってほしい」
「お世話になります。アラセリスです。よろしくお願いします」
執事さん、メイドさん、みんなに挨拶します。私の祖父母ほどの年齢の方から、あまり年の変わらない方まで様々です。
ほとんどの使用人さんはイワンと距離をおいているように見えたので、その妻となる私が暖かく迎え入れてもらえるか心配でしたが、皆さん笑顔で受け入れてくれました。
ちまたで流行りの文芸のように「庶民の小娘なんかに仕えられるか!!」って戦慄の展開になるかもしれないと思っていたのですが杞憂でした。
私がかけはしとなることで、イワンとも隔たりなく接することができるようになってくれたら嬉しいですね。
本来ならお父様の奥様が担うはずだった屋敷の女主人の役割は誰も担う人がいなかったため、私が少しずつ学ぶことになります。
ラウレール邸で過ごす間、領地運営のお手伝いや書類整理など、イワンもこなしてきたお仕事を私もするのです。
挨拶を終えて、イワンと一緒に庭園に出ます。
ラウレール邸に植えられている薔薇は四季咲きという種類のものだそうで、この寒い中でも薄い黄色の花が咲いています。
いい香りですね。お父様いわく、ディアナちゃんの好みで植えた品種なんだそうです。
いつ帰ってきても花を楽しめるように。
ランヴァルドさんとディアナちゃんからも、おめでとうって手紙が届きました。
冬の長期休暇になったら、イワンと一緒に、二人に会いに行くんです。
イワンに手を引かれて歩いていると、空からふわりと白い欠片が舞い降りてきました。
ひとつ、ふたつ。
欠片は私の鼻先に当たってとけ、また新しい欠片が降ってくる。
次第に数を増していきます。
「見てくださいイワン! 雪ですよ!」
「そこまではしゃがなくても。雪なら毎年見てるよ」
「一緒に見るのは初めてじゃないですか」
ぴったり腕にくっつくと、後ろから抱きすくめられます。とっても温かいです。
「一緒だから嬉しいんです。イワンは嬉しくないですか?」
「……いちいち言わせるな」
「聞きたいです」
こういうこと素直に言えるタイプじゃないって、もうわかってます。でも、たまには言って欲しいです。
「そうだな。アラセリスが一緒だと、当たり前だった景色も新鮮に感じる」
「えへへ、それなら私も嬉しいです。これからもたくさん、一緒にいろんなもの見るんですよ。世界はとっても広いんですから」
口づけして、抱きしめあって、大好きだってことを伝えます。
入学式の日の私に、今の私のことを伝えたって信じないでしょう。
喧嘩ばかりしていたイワンと恋に落ちて、婚約して、誕生日に夫婦となったこと。
魂を分け合ってつがいになったこと。
こうして出会う運命にあったこと、今は心から神様に感謝しています。
これから先もまだまだ困難はあるでしょうが、イワンとなら乗り越えていける。そう信じています。