一年生夏編 恋人と過ごす夏
「皆さんお久しぶりです。課題は終わったでしょうか」
夏休みが終わり、授業が再開しました。
皆さん領地で過ごしたり海でバカンスしたり、思い思いに過ごしたようです。休みに入る前より日焼けしています。
教壇に立つ担任、ステイシー先生の言葉でローレンツくんが石のように硬直しました。
「か、かだい……?」
「どうしたんですか、ローレンツさん」
クララさんが、青白い顔になっているローレンツくんに声をかけます。
「何もやってねー」
海にいたときも、三日間ずっと遊んでましたものね……。かばう余地がないです。
イワンが勉強しろって注意したときにやっておけばよかったのに。
「忘れた人は終わるまで居残りしてやってください。他の人に写させてもらうなんてことは許しませんよ。それでは勉強したことになりませんから」
「そ、そんな!!」
ステイシー先生はしごく真っ当なことを言っているのですが、ローレンツくんは打ちひしがれて床に座り込んでいます。
「それでは課題が終わっている人の分はいま回収しますね」
お構いなしに授業を進めるステイシー先生。宿題してこない生徒がいるのも例年通りのようです。
今日学ぶのは、少量の水を出す初級の水魔法。
「加減を間違えると頭から水をかぶることになるので、充分注意してくださいね」
「はい!」
先生が教壇に空のグラスを置いて手をかざします。
『水の神よ、ひとしずくの恵みを我に与えたまえ』
宙に水の球が現れて落ちる。グラスの八分目まで水が注がれました。
「ごく少量なら、このようにどの魔法士でも喚ぶことができます。もっと大量の水を喚ぶのは、水属性の使い魔を持つ人でないとできません」
湖畔で雨魔法を使えたのは、私の使い魔がペンちゃんだからできたことなんですね。
「これは火魔法にも言えることです。種火を出すならどの魔法士でもできますが、炎と呼べるほどの大きな火は火属性の使い魔を持つ人でないと使えません。向き不向きがあるのです」
ふむふむ。
ノートに記していきます。
それぞれ先生の指導の元、グラスに水を喚ぶ練習をして魔法学の授業が終わりました。
ローレンツくんが机に突っ伏して「宿題いやだー」とまだ呟いています。
ご愁傷さまです。
次は二学期から始まる授業、占学。
年間の運勢を読み解いたり、天気の変化を予測したり、過去を見たりできるそうです。なんだか神秘的な学問ですね。
お昼になり、みんなが食堂に向かいます。
いつもなら我先にと駆けていくローレンツくんですが、まだ落ち込んでいます。
見かねたクララさんが、「手伝うからがんばろう?」と、フォローしてようやく立ち直りました。
私も早くお昼を食べましょう。
今日の日替わりはなんでしょうね。なんて考えながら食堂舎に向かっていたら、道を塞がれました。
ベルナデッタ様です。お友だちを二人連れています。
この方と話しても楽しくないです。会釈だけして横を通り抜けようとしたら、また前に出て私の邪魔をします。
「ふん、このワタクシを無視するなんて育ちが悪いわね。これだから庶民は」
ええと……ちっとも嬉しくないが、ミーナ様の日記にあったライバルイベント②が発生したようです。
夏休みが終わり、授業が再開しました。
皆さん領地で過ごしたり海でバカンスしたり、思い思いに過ごしたようです。休みに入る前より日焼けしています。
教壇に立つ担任、ステイシー先生の言葉でローレンツくんが石のように硬直しました。
「か、かだい……?」
「どうしたんですか、ローレンツさん」
クララさんが、青白い顔になっているローレンツくんに声をかけます。
「何もやってねー」
海にいたときも、三日間ずっと遊んでましたものね……。かばう余地がないです。
イワンが勉強しろって注意したときにやっておけばよかったのに。
「忘れた人は終わるまで居残りしてやってください。他の人に写させてもらうなんてことは許しませんよ。それでは勉強したことになりませんから」
「そ、そんな!!」
ステイシー先生はしごく真っ当なことを言っているのですが、ローレンツくんは打ちひしがれて床に座り込んでいます。
「それでは課題が終わっている人の分はいま回収しますね」
お構いなしに授業を進めるステイシー先生。宿題してこない生徒がいるのも例年通りのようです。
今日学ぶのは、少量の水を出す初級の水魔法。
「加減を間違えると頭から水をかぶることになるので、充分注意してくださいね」
「はい!」
先生が教壇に空のグラスを置いて手をかざします。
『水の神よ、ひとしずくの恵みを我に与えたまえ』
宙に水の球が現れて落ちる。グラスの八分目まで水が注がれました。
「ごく少量なら、このようにどの魔法士でも喚ぶことができます。もっと大量の水を喚ぶのは、水属性の使い魔を持つ人でないとできません」
湖畔で雨魔法を使えたのは、私の使い魔がペンちゃんだからできたことなんですね。
「これは火魔法にも言えることです。種火を出すならどの魔法士でもできますが、炎と呼べるほどの大きな火は火属性の使い魔を持つ人でないと使えません。向き不向きがあるのです」
ふむふむ。
ノートに記していきます。
それぞれ先生の指導の元、グラスに水を喚ぶ練習をして魔法学の授業が終わりました。
ローレンツくんが机に突っ伏して「宿題いやだー」とまだ呟いています。
ご愁傷さまです。
次は二学期から始まる授業、占学。
年間の運勢を読み解いたり、天気の変化を予測したり、過去を見たりできるそうです。なんだか神秘的な学問ですね。
お昼になり、みんなが食堂に向かいます。
いつもなら我先にと駆けていくローレンツくんですが、まだ落ち込んでいます。
見かねたクララさんが、「手伝うからがんばろう?」と、フォローしてようやく立ち直りました。
私も早くお昼を食べましょう。
今日の日替わりはなんでしょうね。なんて考えながら食堂舎に向かっていたら、道を塞がれました。
ベルナデッタ様です。お友だちを二人連れています。
この方と話しても楽しくないです。会釈だけして横を通り抜けようとしたら、また前に出て私の邪魔をします。
「ふん、このワタクシを無視するなんて育ちが悪いわね。これだから庶民は」
ええと……ちっとも嬉しくないが、ミーナ様の日記にあったライバルイベント②が発生したようです。