一年生冬編 花嫁修業と、優しい国を作るための一歩(終章)
生徒会にも新しい人が入ってきました。
と言っても庶民の学校のような選挙をしたわけではありません。
アルコン学院は指名制度を採用しているのです。
現生徒会のメンバーが後継や追加メンバーを指名する。もちろん加入させるには、他のメンバーの承認が必須なので勝手なことはできません。
「会長。こちらの書類は、あと会長のサインをもらうだけです」
「ありがとうクララさん。助かるわ」
「セシリオ〜、一通り終わったけどこれでいいか?」
「うん、合っているよ。ご苦労様」
新メンバーは、クララさんとローレンツくんです。
二人とも日頃から交流があるので、私としても気安くて仕事しやすいです。
イワンは手元の書類を確認しながら聞いてきます。
「アラセリス、会計の書類は」
「はい。計算の不備もなし、バッチリです。星夜祭パーティー関連の書類はあと、先生方に提出するだけの状態です」
会計の欄にサインをしてイワンに託します。
ルシール王国は十二の月末頃になると流星群を観測できるようになります。他の季節より一段と多いんです。
この流れ星に祈りを捧げるのが星夜祭。昔から、星夜の流星は願いを叶えてくれるという言い伝えがあります。
星夜祭パーティーは新入生歓迎の仮面舞踏会をさらに豪華にした感じのイベントらしいです。
イベントの特性上、例年カップルが成立しやすいんだとか。
お客様も招いて、歌劇も見られるそうです。
私が想像するよりずっときれいなんでしょうね。
そして今回もダンスパーティーなので、パートナーとの出席となります。
「クララさんはどなたかご家族が来るんですか?」
「ふふふ。お祖父様とお祖母様が来てくださるって仰っていたわ。楽しみ」
「お祖父様、お城の舞踏会でお会いしましたが、クララさんそっくりでお優しい方でした。またお会い出来るのですか」
お城での舞踏会が懐かしくて、しみじみしちゃいます。
「ハハハ。うちは親父が来るってさー。ほんと勘弁してほしい。会長、セシリオ。開会のときは親父の演説だけは入れないでくれよな。話がすっごくなげーんだもん」
「大丈夫だローレンツ。テオパルド殿の演説はない。わたしもパーティーの二時間、話を聞くだけで終わるのは疲れるから」
ローレンツくんが机に突っ伏してます。セシリオ様は遠い目をしています。
イワンも以前言ってましたが、ローレンツくんのお父さんって、どれだけ話が長いんですか……。
学院から帰る馬車の中、イワンが言います。
「親父がマナーの特別講師を雇ったと言っていた。明日からは帰宅後毎日講習だ」
「はい。がんばります。先生はどんな方なのでしょう?」
「さてな。会ってからのお楽しみと言っていた」
威圧的でコワモテな人じゃないですよね……?
私、声が大きい人って苦手なんです。いえ、わがままを言ってはいけないのはわかっています。
「星夜祭用のドレスを仕立て屋に頼まないとな」
「前回のドレスでは駄目なんですか」
「……冬場に春物を着たら、どうなるかわかるよな?」
「寒いですね」
そうですよね。素材が春向けの薄物なのに。冬に着たら大変寒い思いをしますね。
おばかさんですみません。
「今回はオレが好みの色とデザインを指定する。いいよな」
「えへへ。それは楽しみです」
イワン好みのドレス、どんなふうになるんでしょう。
と言っても庶民の学校のような選挙をしたわけではありません。
アルコン学院は指名制度を採用しているのです。
現生徒会のメンバーが後継や追加メンバーを指名する。もちろん加入させるには、他のメンバーの承認が必須なので勝手なことはできません。
「会長。こちらの書類は、あと会長のサインをもらうだけです」
「ありがとうクララさん。助かるわ」
「セシリオ〜、一通り終わったけどこれでいいか?」
「うん、合っているよ。ご苦労様」
新メンバーは、クララさんとローレンツくんです。
二人とも日頃から交流があるので、私としても気安くて仕事しやすいです。
イワンは手元の書類を確認しながら聞いてきます。
「アラセリス、会計の書類は」
「はい。計算の不備もなし、バッチリです。星夜祭パーティー関連の書類はあと、先生方に提出するだけの状態です」
会計の欄にサインをしてイワンに託します。
ルシール王国は十二の月末頃になると流星群を観測できるようになります。他の季節より一段と多いんです。
この流れ星に祈りを捧げるのが星夜祭。昔から、星夜の流星は願いを叶えてくれるという言い伝えがあります。
星夜祭パーティーは新入生歓迎の仮面舞踏会をさらに豪華にした感じのイベントらしいです。
イベントの特性上、例年カップルが成立しやすいんだとか。
お客様も招いて、歌劇も見られるそうです。
私が想像するよりずっときれいなんでしょうね。
そして今回もダンスパーティーなので、パートナーとの出席となります。
「クララさんはどなたかご家族が来るんですか?」
「ふふふ。お祖父様とお祖母様が来てくださるって仰っていたわ。楽しみ」
「お祖父様、お城の舞踏会でお会いしましたが、クララさんそっくりでお優しい方でした。またお会い出来るのですか」
お城での舞踏会が懐かしくて、しみじみしちゃいます。
「ハハハ。うちは親父が来るってさー。ほんと勘弁してほしい。会長、セシリオ。開会のときは親父の演説だけは入れないでくれよな。話がすっごくなげーんだもん」
「大丈夫だローレンツ。テオパルド殿の演説はない。わたしもパーティーの二時間、話を聞くだけで終わるのは疲れるから」
ローレンツくんが机に突っ伏してます。セシリオ様は遠い目をしています。
イワンも以前言ってましたが、ローレンツくんのお父さんって、どれだけ話が長いんですか……。
学院から帰る馬車の中、イワンが言います。
「親父がマナーの特別講師を雇ったと言っていた。明日からは帰宅後毎日講習だ」
「はい。がんばります。先生はどんな方なのでしょう?」
「さてな。会ってからのお楽しみと言っていた」
威圧的でコワモテな人じゃないですよね……?
私、声が大きい人って苦手なんです。いえ、わがままを言ってはいけないのはわかっています。
「星夜祭用のドレスを仕立て屋に頼まないとな」
「前回のドレスでは駄目なんですか」
「……冬場に春物を着たら、どうなるかわかるよな?」
「寒いですね」
そうですよね。素材が春向けの薄物なのに。冬に着たら大変寒い思いをしますね。
おばかさんですみません。
「今回はオレが好みの色とデザインを指定する。いいよな」
「えへへ。それは楽しみです」
イワン好みのドレス、どんなふうになるんでしょう。