ユーメシ! 〜ゲーム実況ユーチューバーの異世界メシテロ〜
材料を採って村に帰ると、ミミと村の子どもたちが遊んでいた。真ん中にいるのはポチだ。
代わる代わるポチに乗って駆け回っている。
うん、巨大な猫にまたがる子どもたち、脳みそバグりそうな光景だ。
「キムランおかえり」
「ただいまー。ポチに遊んでもらっていたのか」
「ちがう。わたしはおかあさんだから、ポチのあそびあいてになってやってる」
「そっかー。さすが母さん」
もうポチが弟ってとこにツッコミはしない。オレはいい息子だから、ミミかあさんに逆らわないのだ。
「ごはんにするか?」
「そうだねー。桶を作るところからはじめないとだから、ちょっと時間かかるし、先にごはん食べちゃおうか」
「よし、まってろ」
ミミはポチの背から降りて、家に走っていく。
ポチは何か物言いたげにオレをじーーっと見ている。あ、もしかして|土《ごはん》ですか。
オレはお兄ちゃんだから、弟のごはんを用意してあげないとね……うん。掘り起畑の片隅をクワで掘り返して、泥だんごを作る。
作ったそばから食べていくポチ。
「え、なに、ポチのごはんって土なの?」
「そだよー」
子どもたちが興味津々で集まってきた。土を食べるネコ、珍しいもんね。私たちもやるー、と自らクワを持って手伝ってくれる。
たくさんごはんをもらえて満足したポチは、庭にねころがって日向ぼっこをはじめた。
ネコって自由でいいなぁ。
家に帰ると、フライ返しを持ったミミが振り返る。
「ちょうどいい。キムラン、てつだえ」
「はーい。何すればいい?」
「サラダつくって。そこにマメがある」
「はーい」
フライパンの中ではコロコロと何か焼かれていて、肉が焼けるかおりが漂ってくる。
すでに煮てあるピヨ豆をはじめとする白い豆や緑の豆。畑で取れたからと村長がくれた野菜も切って加えようか。
手と野菜を洗ってから、野菜をまな板に乗せる。
中が空洞の、ピーマンかパプリカの仲間っぽいやつだ。ピペ、だったかな。
半分に切って種を取り除いて、1センチ角にする。豆とよく混ぜたらドレッシングを作ろう。
ナッツのオイルに塩とスパイス、すりおろした豆とハルルの花の蜜を溶く。
盛り付けた豆サラダにドレッシングをかけて出来上がり。
「おっし出来た! ミミの方は?」
「できた。こんしんのできだ」
ドヤァ、とミミが皿に乗せたのは、ハンバーグ? ひき肉で作られた平たい楕円の焼き物だ。
「キョフテという。レクサスとスライムのにく
、パンをまぜてつくった」
「おおおー。キョフテっていうのか」
オーブンでパンを軽くトーストして、ミミ家のキョフテ&豆サラダランチ完成である。
テーブルに並べてお祈りしたらいざ実食!
まずはミミの作ったキョフテにフォークを差し込む。ふんわり柔らか。しっかりと火が通っていて、肉汁がたれる。
「はむ。むぐむぐ。うんまーい!!」
「キムラン、うるさい」
「だってうまいんだもん」
それも、みんな大好きハンバーグよ。異世界でハンバーグを食べられるとは思っていなかったよ。コクのあるレクサス肉に、ぷるんとしたスライム肉が柔らかさと弾力を与えている。
単品でもうまい肉たちは混ざり合うとさらにうまいんだな。よだれがとまらん。
オレ作のサラダも食べてみよう。ドレッシングが絡んだ豆をスプーンですくって一口。
ドレッシングが甘ずっぱうまい!
ほっくりした食感の豆たち、シャキシャキのピペ。見た目が彩り鮮やかでさらに美味しい。最強かよ!
「どうだ、ミミ。サラダうまいか?」
「もっもっも」
ほっぺを豆でいっぱいにして、ミミはひたすらサラダを口に詰め込んでいる。サラダの皿が空っぽになって残念そうに器を見ているから、オレの皿をミミの方に押し出す。
「オレ、キョフテでお腹いっぱいで食べきれないから、サラダはミミにあげる」
「そうか、しかたない。のこすくらいならたべてあげよう」
仕方ないなーと言いつつニッコニコでサラダを食べるミミ。かわいい生き物だ。次にこのドレッシングでサラダを作るときは、ミミの分を多めに持ってあげよう。
ごはんを食べたらジョウロ作りが始まる。
ビリー主導で、毎日ノコギリで板とカラカラの枝を切って組み立て、ユーイさんの指示で内部に魔法具を埋め込む。
そうして一週間で三十個を作ることができた。
あとはこれを町に売りに行くだけだ。
ちょうどいいタイミングでファクターが村に立ち寄ってくれたから、ファクターに十個託した。
村発展計画の一環であることをファクターも応援してくれて、ファクターを無限ジョウロ専属契約の商人に指名した。
これは無限ジョウロの偽物を売る人が現れたときのための対策だ。ファクターと村人以外が売っているならそれは偽物。
遠方の町へはファクターが行商してくれるから、残り二十個は自分たちで売りに行くことになった。
この世界にインターネットや電話がないから、実際に見てもらってその場で売る。
宣伝とパフォーマンスはユーチューバーであるオレの得意分野。頑張らねば!
代わる代わるポチに乗って駆け回っている。
うん、巨大な猫にまたがる子どもたち、脳みそバグりそうな光景だ。
「キムランおかえり」
「ただいまー。ポチに遊んでもらっていたのか」
「ちがう。わたしはおかあさんだから、ポチのあそびあいてになってやってる」
「そっかー。さすが母さん」
もうポチが弟ってとこにツッコミはしない。オレはいい息子だから、ミミかあさんに逆らわないのだ。
「ごはんにするか?」
「そうだねー。桶を作るところからはじめないとだから、ちょっと時間かかるし、先にごはん食べちゃおうか」
「よし、まってろ」
ミミはポチの背から降りて、家に走っていく。
ポチは何か物言いたげにオレをじーーっと見ている。あ、もしかして|土《ごはん》ですか。
オレはお兄ちゃんだから、弟のごはんを用意してあげないとね……うん。掘り起畑の片隅をクワで掘り返して、泥だんごを作る。
作ったそばから食べていくポチ。
「え、なに、ポチのごはんって土なの?」
「そだよー」
子どもたちが興味津々で集まってきた。土を食べるネコ、珍しいもんね。私たちもやるー、と自らクワを持って手伝ってくれる。
たくさんごはんをもらえて満足したポチは、庭にねころがって日向ぼっこをはじめた。
ネコって自由でいいなぁ。
家に帰ると、フライ返しを持ったミミが振り返る。
「ちょうどいい。キムラン、てつだえ」
「はーい。何すればいい?」
「サラダつくって。そこにマメがある」
「はーい」
フライパンの中ではコロコロと何か焼かれていて、肉が焼けるかおりが漂ってくる。
すでに煮てあるピヨ豆をはじめとする白い豆や緑の豆。畑で取れたからと村長がくれた野菜も切って加えようか。
手と野菜を洗ってから、野菜をまな板に乗せる。
中が空洞の、ピーマンかパプリカの仲間っぽいやつだ。ピペ、だったかな。
半分に切って種を取り除いて、1センチ角にする。豆とよく混ぜたらドレッシングを作ろう。
ナッツのオイルに塩とスパイス、すりおろした豆とハルルの花の蜜を溶く。
盛り付けた豆サラダにドレッシングをかけて出来上がり。
「おっし出来た! ミミの方は?」
「できた。こんしんのできだ」
ドヤァ、とミミが皿に乗せたのは、ハンバーグ? ひき肉で作られた平たい楕円の焼き物だ。
「キョフテという。レクサスとスライムのにく
、パンをまぜてつくった」
「おおおー。キョフテっていうのか」
オーブンでパンを軽くトーストして、ミミ家のキョフテ&豆サラダランチ完成である。
テーブルに並べてお祈りしたらいざ実食!
まずはミミの作ったキョフテにフォークを差し込む。ふんわり柔らか。しっかりと火が通っていて、肉汁がたれる。
「はむ。むぐむぐ。うんまーい!!」
「キムラン、うるさい」
「だってうまいんだもん」
それも、みんな大好きハンバーグよ。異世界でハンバーグを食べられるとは思っていなかったよ。コクのあるレクサス肉に、ぷるんとしたスライム肉が柔らかさと弾力を与えている。
単品でもうまい肉たちは混ざり合うとさらにうまいんだな。よだれがとまらん。
オレ作のサラダも食べてみよう。ドレッシングが絡んだ豆をスプーンですくって一口。
ドレッシングが甘ずっぱうまい!
ほっくりした食感の豆たち、シャキシャキのピペ。見た目が彩り鮮やかでさらに美味しい。最強かよ!
「どうだ、ミミ。サラダうまいか?」
「もっもっも」
ほっぺを豆でいっぱいにして、ミミはひたすらサラダを口に詰め込んでいる。サラダの皿が空っぽになって残念そうに器を見ているから、オレの皿をミミの方に押し出す。
「オレ、キョフテでお腹いっぱいで食べきれないから、サラダはミミにあげる」
「そうか、しかたない。のこすくらいならたべてあげよう」
仕方ないなーと言いつつニッコニコでサラダを食べるミミ。かわいい生き物だ。次にこのドレッシングでサラダを作るときは、ミミの分を多めに持ってあげよう。
ごはんを食べたらジョウロ作りが始まる。
ビリー主導で、毎日ノコギリで板とカラカラの枝を切って組み立て、ユーイさんの指示で内部に魔法具を埋め込む。
そうして一週間で三十個を作ることができた。
あとはこれを町に売りに行くだけだ。
ちょうどいいタイミングでファクターが村に立ち寄ってくれたから、ファクターに十個託した。
村発展計画の一環であることをファクターも応援してくれて、ファクターを無限ジョウロ専属契約の商人に指名した。
これは無限ジョウロの偽物を売る人が現れたときのための対策だ。ファクターと村人以外が売っているならそれは偽物。
遠方の町へはファクターが行商してくれるから、残り二十個は自分たちで売りに行くことになった。
この世界にインターネットや電話がないから、実際に見てもらってその場で売る。
宣伝とパフォーマンスはユーチューバーであるオレの得意分野。頑張らねば!