ユーメシ! 〜ゲーム実況ユーチューバーの異世界メシテロ〜
ビリーから剣を習うようになってだいぶ経った。
オレがちゃんと戦えるようになっているかを確かめるために、ひと月ぶりに狩りに出ることとなった。
村の戦える男性陣と共に森の中を行く。
「今日こそ自分の手でモンスター討伐するぜ!」
「はっはっは。威勢がいいのはけっこうだ。また情けない声を上げながら逃げることにならないといいんだがナ?」
村長にポンと肩を叩かれて、ちょっとハートブレイク。ああ、まじでカッコ悪かったな。背中を向けて逃げるなんて、野山で熊と出会ったら絶対やっちゃダメなやつ。反省しているよ。
今日は逃げない。食材になるやつを最低一匹は狩る。それが目標だ。目標が低い? 初心者がいきなりエベレスト登山できるわけないだろう。身近な小さな山で慣らしてから行かないと痛いめ見るんだぞ。
訓練になるからと、ビリーがモンスターに見立てた木の的を作ってくれて、毎日ひたすらそれに切りかかっていた。
「村長。オレはあのときよりは剣をうまく扱えるようになってきたと思うんだ! いっちばん弱いモンスターならなんとかなる! たぶん!」
「だ、そうダ。どうだ? ビリー」
「うーん、実戦してみないとなんとも言えないな。化けきのこあたりで手慣らししてもらうか」
「化けきのこ」
どんなのだ。チラっとナルシェに視線をやると、ナルシェは俺が知らないと察して教えてくれる。
「化けきのこは、牙の生えたキノコ型モンスターです。ミミちゃんより小さいですし、素早くもないので狩りの初心者でも倒しやすいと思います。焼いたりスープにしたりすると美味しいです」
「よし。じゃあ今日のユーメシはきのこづくし(予定)だ!」
「あははは! キムランもう狩った気でいるのかよ〜。そういうの、取らぬレクサスの皮算用っていうんだぜ」
「うっせ!」
他の男たちが、さっき仕留めたレクサス(解体済み)を担いで笑っている。
「そこの丘を登ったあたりによくいるから、戦ってみな。キムラン一人じゃ無理だと判断したら俺達が手ぇ貸すから」
「おぅ! まず一人でがんばってみる!」
示された丘を登ると、一本の大きな木のあたりに動くきのこが数体いた。なるほど、ナルシェが言うように牙が生えている。見た目シメジみたいだなぁ。バター焼きにしたら美味そう。おっとヨダレが。
「きのとどもめ! おとなしく俺のメシになりな!」
〈シャーーーーー!〉
オレの声に反応して、化けきのこが一斉にこっちを向いて襲ってきた。
「こんの、馬鹿!」
「キムラン! 奇襲で声を上げるやつがいるか!! 気付かれないうちに殺るのが奇襲の常識だろう!」
茂みに隠れていたみんなに、異口同音で怒られる。
「ごめんなさい、心底反省しましたぁあああ!!」
化けきのこたちに取り囲まれるが、せいぜい一体一体が柴犬くらいのサイズだ。ビリーに習った動きを思い出しながら剣を振り下ろす。
噛み付いてきた化けきのこもいたが、以前呪いのごとくオレの手首にくっついた腕輪に弾かれて飛んでいく。
マジで鉄壁の防具じゃん! すげー!
〈ギャギャッ!〉
切り伏せた化けきのこが積み重なっていく。
目の前にいた三体は、なんとか一人で倒すことができた。
「ハッハッハ、だから言っただろう! オレでもやればできる!」
「たしかに倒せたガ……黙って奇襲していたならナ」
「うぐっ」
「今回はキムラン一人でやれる相手だったから良かったが、場合によっては味方全員を命の危険に晒すんだぞ。本当に反省シロ」
「ごめんなさい、本当にごめんなさい。もうしません」
みんなにコンコンと説教される。
そうだよな、下手したらみんなを危険に晒すんだよな。ちょっと剣を使えるようになったからっていい気にならないで、もっと注意深くなろう。
こうして、異世界に来て初!
オレは自分の力で倒したモンスターを、夕飯の材料として持ち帰ることが出来たのだった。
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オレがちゃんと戦えるようになっているかを確かめるために、ひと月ぶりに狩りに出ることとなった。
村の戦える男性陣と共に森の中を行く。
「今日こそ自分の手でモンスター討伐するぜ!」
「はっはっは。威勢がいいのはけっこうだ。また情けない声を上げながら逃げることにならないといいんだがナ?」
村長にポンと肩を叩かれて、ちょっとハートブレイク。ああ、まじでカッコ悪かったな。背中を向けて逃げるなんて、野山で熊と出会ったら絶対やっちゃダメなやつ。反省しているよ。
今日は逃げない。食材になるやつを最低一匹は狩る。それが目標だ。目標が低い? 初心者がいきなりエベレスト登山できるわけないだろう。身近な小さな山で慣らしてから行かないと痛いめ見るんだぞ。
訓練になるからと、ビリーがモンスターに見立てた木の的を作ってくれて、毎日ひたすらそれに切りかかっていた。
「村長。オレはあのときよりは剣をうまく扱えるようになってきたと思うんだ! いっちばん弱いモンスターならなんとかなる! たぶん!」
「だ、そうダ。どうだ? ビリー」
「うーん、実戦してみないとなんとも言えないな。化けきのこあたりで手慣らししてもらうか」
「化けきのこ」
どんなのだ。チラっとナルシェに視線をやると、ナルシェは俺が知らないと察して教えてくれる。
「化けきのこは、牙の生えたキノコ型モンスターです。ミミちゃんより小さいですし、素早くもないので狩りの初心者でも倒しやすいと思います。焼いたりスープにしたりすると美味しいです」
「よし。じゃあ今日のユーメシはきのこづくし(予定)だ!」
「あははは! キムランもう狩った気でいるのかよ〜。そういうの、取らぬレクサスの皮算用っていうんだぜ」
「うっせ!」
他の男たちが、さっき仕留めたレクサス(解体済み)を担いで笑っている。
「そこの丘を登ったあたりによくいるから、戦ってみな。キムラン一人じゃ無理だと判断したら俺達が手ぇ貸すから」
「おぅ! まず一人でがんばってみる!」
示された丘を登ると、一本の大きな木のあたりに動くきのこが数体いた。なるほど、ナルシェが言うように牙が生えている。見た目シメジみたいだなぁ。バター焼きにしたら美味そう。おっとヨダレが。
「きのとどもめ! おとなしく俺のメシになりな!」
〈シャーーーーー!〉
オレの声に反応して、化けきのこが一斉にこっちを向いて襲ってきた。
「こんの、馬鹿!」
「キムラン! 奇襲で声を上げるやつがいるか!! 気付かれないうちに殺るのが奇襲の常識だろう!」
茂みに隠れていたみんなに、異口同音で怒られる。
「ごめんなさい、心底反省しましたぁあああ!!」
化けきのこたちに取り囲まれるが、せいぜい一体一体が柴犬くらいのサイズだ。ビリーに習った動きを思い出しながら剣を振り下ろす。
噛み付いてきた化けきのこもいたが、以前呪いのごとくオレの手首にくっついた腕輪に弾かれて飛んでいく。
マジで鉄壁の防具じゃん! すげー!
〈ギャギャッ!〉
切り伏せた化けきのこが積み重なっていく。
目の前にいた三体は、なんとか一人で倒すことができた。
「ハッハッハ、だから言っただろう! オレでもやればできる!」
「たしかに倒せたガ……黙って奇襲していたならナ」
「うぐっ」
「今回はキムラン一人でやれる相手だったから良かったが、場合によっては味方全員を命の危険に晒すんだぞ。本当に反省シロ」
「ごめんなさい、本当にごめんなさい。もうしません」
みんなにコンコンと説教される。
そうだよな、下手したらみんなを危険に晒すんだよな。ちょっと剣を使えるようになったからっていい気にならないで、もっと注意深くなろう。
こうして、異世界に来て初!
オレは自分の力で倒したモンスターを、夕飯の材料として持ち帰ることが出来たのだった。
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