ドブネズミの革命 〜虐げられる貧民たちは下克上する〜
スラムへの夜襲から三日。
医務室は今も兵の治療にかかりきりのため、召使いや侍女は各自で手当をしている。
ディヤもまた、召使い用の休憩室で手当を受けていた。
「頼むわね、アスハブ」
「任されたっす、ディヤさん」
ディヤがズボンの裾をまくると、縫合された傷口があらわになる。それなりに深く切ってしまっているため、塞がるまではまだ日数がかかりそうだ。
アスハブは慣れた手つきで傷口を洗い、新たなあて布を貼り包帯を巻く。
「いつ見ても医者顔負けねぇ」
「へへっ。ありがとうございます。小さいときは、治療費の代わりとして先生の手伝いしてたんす」
「そうなの。道理で手つきが熟練のはずだわ。その先生の教え方がうまかったのね」
「先生は教えるのうまいんす。おいら父親がいなかったから、先生が父親の代わりだと思ってたっす」
アスハブが心底、その先生を尊敬しているのが伝わってくる。
「ディヤさんのお父さんはどうだったっすか? 父親ってやっぱり優しくてあたたかいものです?」
「…………知らないわ。平民でも、両親が揃っていて、普通の暮らしができるとは限らないわよ」
裾をおろして立ち上がる。
ディヤは優しい父親というものを知らない。
ディヤの母は、ディヤが物心つく前に他界した。
育ててくれたのは三人の姉だ。そのためか、ディヤの口調は姉たちと同じ。好むものは男の子たちと走り回ることではなく、化粧品や可愛らしい雑貨だった。
それが気に食わない父は、幼いディヤを殴る蹴るした。姉たちが庇うと、父はさらに激高した。
ある時、一番上の姉が耐えきれず、父を刺し殺した。
ディヤは姉のおかげでようやく自由になれたのだ。
かつて父は、泣こうと謝ろうとディヤを殴った。
だから、怒りの回避方法があるガーニムを恐れることなどない。
『ガーニムにとって都合のいい人間』でいる限り、矛先はディヤに向かない。
「アスハブ。少し遣いに出てくれない? 昨夜陛下が手を付けなかった果物を処分してほしいの」
「はいっす」
ガーニムは出されたものをすべて食べるわけではない。気に入ったものだけ。
かと言って食べるであろう分量のみを予測して運ぶというのも許さない。
王のために献上されたのに、触れることすらされないまま、捨てられる。
果物が実るまでどれほどの年月を要するのか、理解してほしい。
調理場に入ると、先客がいた。
今日の配膳担当に割り振った覚えのない侍女、デカ。
ディヤとアスハブが入ってきたことにも気づかず、大きな独り言を溢している。
「──クククク……これであの女は陛下の子を産めないわ。愛されているとでも思ったのかしら。二十歳そこそこの小娘が勘違いも甚だしい。あの忌々しいナジャーが居ないなら、誰も私を止められないわ」
デカの手にあるのは、王妃用の軽食だ。ポットに入っているのはおそらくお茶。
手のひらにすっぽり収まる陶器のグラス。
茶菓子はバクラヴァ。薄い生地にナッツやアーモンドを挟んで焼き上げ、濃いシロップに漬けた菓子だ。
一見普段の王妃用の食事だが、いまさっきの独り言を加味すると、何かを仕込んでいるように思えてならない。
アスハブに下がるよう指先で指示して、ディヤはわざと足音を立てて今来たふうを装う。
「デカ。あんたの持ち場はここじゃないでしょう。それはちゃんと担当者に渡しておくから行きなさい」
「あらあー。これはディヤさん。陛下のところじゃなかったのですかぁ?」
「あいにくね。あたしは今日休みなの。つい癖で来ちゃっただけよ。本来の担当、中庭の掃除に行ってらっしゃい」
「そ、そうでしたわね、ほほほ」
ひきつった顔をしながら、デカはトレーを置いて出ていった。
デカの足音が遠のいてから、アスハブが入ってくる。
「わざとらしぃ。あのオバサン何したんでしょう」
「毒味しといたほうがいいわね」
添えられていた器にお茶を注ぎ、口をつける。
砂糖がたっぷりなのはいつもどおりだが、嫌に苦い。そしてかすかに鼻に通るにおい。
ディヤはガーニムに酒を給仕しているため、それが何かわかった。
「おそらくリキュールを混ぜてあるわ。でも、この苦味はリキュールでは出ないと思う」
「……もしかして、なにかの薬っすか?」
「詳しくはわからないわ。けれど、さっきの言葉から推測するなら、堕胎薬。キナノキあたりかしら。花売り女がよく買うやつね」
「侍女のすることじゃない」
アスハブが鼻しらんだ。
ディヤはガーニムから『マッカにも同じ葡萄酒とチーズを』と言われたとき、マッカの分だけは葡萄汁に変えた。
妊娠する可能性のある女性に酒など、以ての外だ。下手をすれば胎児の奇形や堕胎を招く。姉が何人もいるから、それを知っている。
ガーニムにはたぶん、そこまでの知識はない。
王妃が口にするものを精査するのは使用人たちがすることで、ガーニムが覚えなくても問題ないことだ。
マッカは敬虔なマラ教の民。酒など見たことも飲んだこともないだろう。これを飲んだとしても不思議なお茶だ、くらいにしか思わないはず。
この茶に添えられた器が銀器でないのも、デカの作為を感じる。
ウスマーンが大切にしている妹を、こんな形で傷つけられるなんて。陶器を握る手が震えた。
ポットを逆さにして、中身をすべて捨てる。菓子の方にも何を盛られたのか、わかったもんじゃない。
「あたしは、デカのしでかしたことを陛下に報告してくるわ。アスハブはこれを、果物と一緒に持っていって」
「はいっす」
懐に忍ばせていた紙片をアスハブに握らせる。
この紙には『ガーニムが毒薬をとりよせる、気をつけろ』と走り書きしてある。
本当は命令が出た当日のうちに伝えるべきだったが、それでは情報を漏らしたのがディヤだとばれる可能性が高い。
もうスハイル領から武器と毒薬が発送されたことだろう。
多少反乱軍にとって不利になるが、せめて毒への警戒だけでも伝えたい。
アスハブがマンゴーやりんごの入ったカゴを抱えて裏口から出ていくのを見届けて、ディヤは国王夫妻のいる部屋に向かった。
デカはこの場にいない。注意された上でこの部屋にいたら神経がどうかしている。
「どうした、ディヤ。珍しく眉間にシワを寄せているな」
ガーニムが銀茶器を片手に、ディヤを見る。
マッカの手元にも、別の侍女が用意したらしいお茶が。
もしかして、先程のあれは追加分だったのではないか?
「陛下。今、王妃様の飲んでいるものを運んできたのは誰です?」
「……名前は覚えてないが、あの嫌によく喋る女だ」
やはり。
ディヤはすぐにマッカのそばに置かれたポットをとりあげた。
「王妃様。それを飲んではなりません。あの女、デカは貴女に薬を盛っている。おそらくは堕胎の」
「……え?」
ガーニムが即座にマッカの手から器を奪い、自分の器に入れた。ツヤのあった茶器の肌が、じわりと黒ずむ。
短く舌打ちしたあと、入り口にいる兵に命じる。
「おまえたちはマッカの護衛を。ディヤ、あの女はどこにいる」
「今の時間なら、中庭掃除の担当です」
「そうか」
ガーニムは腰にさげた剣の柄を確認し、足音荒く歩き出した。
これから何が起きるか、想像するまでもなかった。
掃除の仕事が増えるとわかっていたので、ディヤは召使いを二人連れて中庭に向かった。
本来なら白いセージの花が映える場所なのに、今は赤い花が占めている。
首は、胴から離れたところに落ちていた。
それを見下ろして、いつもより怒りが激しいな、などと他人事のように思う。
部下たちは自分が連れてこられた理由をわかっていた。淡々と、デカだったものを片付ける。
「ディヤ。よくコレの邪心に気がついた。褒めて使わすぞ」
ガーニムはもう、いつもの顔に戻っていた。
返り血を浴びた状態で日常会話をできる神経は、いっそ尊敬に値する。
「いいえ。姫の側にナジャーがいたときにも、『罪人の妻ごときが、姫様の側にいるのが許せない』と、毎日言っていましたから」
「馬鹿な女だ。マッカをどうこうしたところで、自分がその座につけるわけではないのに」
「あたしにもわかりません。野心を持ったことなんてないから」
反乱軍を率いているファジュル。貧民として生きてきた人。
もし彼が王になったら、国民の抱く負の感情は計り知れない。
ファジュルの妻になる人もまた、マッカの身に起きたことと同じ危険にさらされる。
ドブネズミごときが自分より優位に立つのか、と憤る者はいくらでもいるだろう。マッカを妬んだデカのように。
ガーニムが手を上にしてディヤを見る。剣を拭うための布を渡すと、乱暴に剣を拭い、ディヤに投げ返す。
「お顔の血も落とされたほうがよろしいですわよ。王妃様が怯えます。湯殿の準備をさせますね」
「そうだな。お前に任せる」
「かしこまりました、陛下」
ディヤはガーニムに一礼して、その場を離れた。
召使い用の部屋に顔を出し、手の空いている者に湯殿の準備を指示した。
すべて終えて、召使いの頭に与えられている私室で横になる。
目を閉じて、ぼんやり考えた。
今回ガーニムが動いたのは、自分が何かされたからではなく、マッカが狙われたから。
彼の中には、マッカを守ろうと思う心がある。
だからだろう。ひとかけらでも誰かを愛する心を持つから、ガーニムはディヤの恐れる対象ではないのだ。
医務室は今も兵の治療にかかりきりのため、召使いや侍女は各自で手当をしている。
ディヤもまた、召使い用の休憩室で手当を受けていた。
「頼むわね、アスハブ」
「任されたっす、ディヤさん」
ディヤがズボンの裾をまくると、縫合された傷口があらわになる。それなりに深く切ってしまっているため、塞がるまではまだ日数がかかりそうだ。
アスハブは慣れた手つきで傷口を洗い、新たなあて布を貼り包帯を巻く。
「いつ見ても医者顔負けねぇ」
「へへっ。ありがとうございます。小さいときは、治療費の代わりとして先生の手伝いしてたんす」
「そうなの。道理で手つきが熟練のはずだわ。その先生の教え方がうまかったのね」
「先生は教えるのうまいんす。おいら父親がいなかったから、先生が父親の代わりだと思ってたっす」
アスハブが心底、その先生を尊敬しているのが伝わってくる。
「ディヤさんのお父さんはどうだったっすか? 父親ってやっぱり優しくてあたたかいものです?」
「…………知らないわ。平民でも、両親が揃っていて、普通の暮らしができるとは限らないわよ」
裾をおろして立ち上がる。
ディヤは優しい父親というものを知らない。
ディヤの母は、ディヤが物心つく前に他界した。
育ててくれたのは三人の姉だ。そのためか、ディヤの口調は姉たちと同じ。好むものは男の子たちと走り回ることではなく、化粧品や可愛らしい雑貨だった。
それが気に食わない父は、幼いディヤを殴る蹴るした。姉たちが庇うと、父はさらに激高した。
ある時、一番上の姉が耐えきれず、父を刺し殺した。
ディヤは姉のおかげでようやく自由になれたのだ。
かつて父は、泣こうと謝ろうとディヤを殴った。
だから、怒りの回避方法があるガーニムを恐れることなどない。
『ガーニムにとって都合のいい人間』でいる限り、矛先はディヤに向かない。
「アスハブ。少し遣いに出てくれない? 昨夜陛下が手を付けなかった果物を処分してほしいの」
「はいっす」
ガーニムは出されたものをすべて食べるわけではない。気に入ったものだけ。
かと言って食べるであろう分量のみを予測して運ぶというのも許さない。
王のために献上されたのに、触れることすらされないまま、捨てられる。
果物が実るまでどれほどの年月を要するのか、理解してほしい。
調理場に入ると、先客がいた。
今日の配膳担当に割り振った覚えのない侍女、デカ。
ディヤとアスハブが入ってきたことにも気づかず、大きな独り言を溢している。
「──クククク……これであの女は陛下の子を産めないわ。愛されているとでも思ったのかしら。二十歳そこそこの小娘が勘違いも甚だしい。あの忌々しいナジャーが居ないなら、誰も私を止められないわ」
デカの手にあるのは、王妃用の軽食だ。ポットに入っているのはおそらくお茶。
手のひらにすっぽり収まる陶器のグラス。
茶菓子はバクラヴァ。薄い生地にナッツやアーモンドを挟んで焼き上げ、濃いシロップに漬けた菓子だ。
一見普段の王妃用の食事だが、いまさっきの独り言を加味すると、何かを仕込んでいるように思えてならない。
アスハブに下がるよう指先で指示して、ディヤはわざと足音を立てて今来たふうを装う。
「デカ。あんたの持ち場はここじゃないでしょう。それはちゃんと担当者に渡しておくから行きなさい」
「あらあー。これはディヤさん。陛下のところじゃなかったのですかぁ?」
「あいにくね。あたしは今日休みなの。つい癖で来ちゃっただけよ。本来の担当、中庭の掃除に行ってらっしゃい」
「そ、そうでしたわね、ほほほ」
ひきつった顔をしながら、デカはトレーを置いて出ていった。
デカの足音が遠のいてから、アスハブが入ってくる。
「わざとらしぃ。あのオバサン何したんでしょう」
「毒味しといたほうがいいわね」
添えられていた器にお茶を注ぎ、口をつける。
砂糖がたっぷりなのはいつもどおりだが、嫌に苦い。そしてかすかに鼻に通るにおい。
ディヤはガーニムに酒を給仕しているため、それが何かわかった。
「おそらくリキュールを混ぜてあるわ。でも、この苦味はリキュールでは出ないと思う」
「……もしかして、なにかの薬っすか?」
「詳しくはわからないわ。けれど、さっきの言葉から推測するなら、堕胎薬。キナノキあたりかしら。花売り女がよく買うやつね」
「侍女のすることじゃない」
アスハブが鼻しらんだ。
ディヤはガーニムから『マッカにも同じ葡萄酒とチーズを』と言われたとき、マッカの分だけは葡萄汁に変えた。
妊娠する可能性のある女性に酒など、以ての外だ。下手をすれば胎児の奇形や堕胎を招く。姉が何人もいるから、それを知っている。
ガーニムにはたぶん、そこまでの知識はない。
王妃が口にするものを精査するのは使用人たちがすることで、ガーニムが覚えなくても問題ないことだ。
マッカは敬虔なマラ教の民。酒など見たことも飲んだこともないだろう。これを飲んだとしても不思議なお茶だ、くらいにしか思わないはず。
この茶に添えられた器が銀器でないのも、デカの作為を感じる。
ウスマーンが大切にしている妹を、こんな形で傷つけられるなんて。陶器を握る手が震えた。
ポットを逆さにして、中身をすべて捨てる。菓子の方にも何を盛られたのか、わかったもんじゃない。
「あたしは、デカのしでかしたことを陛下に報告してくるわ。アスハブはこれを、果物と一緒に持っていって」
「はいっす」
懐に忍ばせていた紙片をアスハブに握らせる。
この紙には『ガーニムが毒薬をとりよせる、気をつけろ』と走り書きしてある。
本当は命令が出た当日のうちに伝えるべきだったが、それでは情報を漏らしたのがディヤだとばれる可能性が高い。
もうスハイル領から武器と毒薬が発送されたことだろう。
多少反乱軍にとって不利になるが、せめて毒への警戒だけでも伝えたい。
アスハブがマンゴーやりんごの入ったカゴを抱えて裏口から出ていくのを見届けて、ディヤは国王夫妻のいる部屋に向かった。
デカはこの場にいない。注意された上でこの部屋にいたら神経がどうかしている。
「どうした、ディヤ。珍しく眉間にシワを寄せているな」
ガーニムが銀茶器を片手に、ディヤを見る。
マッカの手元にも、別の侍女が用意したらしいお茶が。
もしかして、先程のあれは追加分だったのではないか?
「陛下。今、王妃様の飲んでいるものを運んできたのは誰です?」
「……名前は覚えてないが、あの嫌によく喋る女だ」
やはり。
ディヤはすぐにマッカのそばに置かれたポットをとりあげた。
「王妃様。それを飲んではなりません。あの女、デカは貴女に薬を盛っている。おそらくは堕胎の」
「……え?」
ガーニムが即座にマッカの手から器を奪い、自分の器に入れた。ツヤのあった茶器の肌が、じわりと黒ずむ。
短く舌打ちしたあと、入り口にいる兵に命じる。
「おまえたちはマッカの護衛を。ディヤ、あの女はどこにいる」
「今の時間なら、中庭掃除の担当です」
「そうか」
ガーニムは腰にさげた剣の柄を確認し、足音荒く歩き出した。
これから何が起きるか、想像するまでもなかった。
掃除の仕事が増えるとわかっていたので、ディヤは召使いを二人連れて中庭に向かった。
本来なら白いセージの花が映える場所なのに、今は赤い花が占めている。
首は、胴から離れたところに落ちていた。
それを見下ろして、いつもより怒りが激しいな、などと他人事のように思う。
部下たちは自分が連れてこられた理由をわかっていた。淡々と、デカだったものを片付ける。
「ディヤ。よくコレの邪心に気がついた。褒めて使わすぞ」
ガーニムはもう、いつもの顔に戻っていた。
返り血を浴びた状態で日常会話をできる神経は、いっそ尊敬に値する。
「いいえ。姫の側にナジャーがいたときにも、『罪人の妻ごときが、姫様の側にいるのが許せない』と、毎日言っていましたから」
「馬鹿な女だ。マッカをどうこうしたところで、自分がその座につけるわけではないのに」
「あたしにもわかりません。野心を持ったことなんてないから」
反乱軍を率いているファジュル。貧民として生きてきた人。
もし彼が王になったら、国民の抱く負の感情は計り知れない。
ファジュルの妻になる人もまた、マッカの身に起きたことと同じ危険にさらされる。
ドブネズミごときが自分より優位に立つのか、と憤る者はいくらでもいるだろう。マッカを妬んだデカのように。
ガーニムが手を上にしてディヤを見る。剣を拭うための布を渡すと、乱暴に剣を拭い、ディヤに投げ返す。
「お顔の血も落とされたほうがよろしいですわよ。王妃様が怯えます。湯殿の準備をさせますね」
「そうだな。お前に任せる」
「かしこまりました、陛下」
ディヤはガーニムに一礼して、その場を離れた。
召使い用の部屋に顔を出し、手の空いている者に湯殿の準備を指示した。
すべて終えて、召使いの頭に与えられている私室で横になる。
目を閉じて、ぼんやり考えた。
今回ガーニムが動いたのは、自分が何かされたからではなく、マッカが狙われたから。
彼の中には、マッカを守ろうと思う心がある。
だからだろう。ひとかけらでも誰かを愛する心を持つから、ガーニムはディヤの恐れる対象ではないのだ。