魔法少女ばあやの日常

 みんなの前で元の姿に戻ってしまったので、もうどうやってもごまかすことはできず。

 わたしとソフィアは騎士たちに囲まれました。

「魔法少女はエデルミラさんだったんですね!」
「知りませんでしたよ。もっと早く言ってくれればよかったのに」
「あああああ、わ、忘れてください」

 70歳になってふりふりミニスカで戦っていたなんて知られたくありませんでした。
 魔法少女の正体がわたしだなんて、みんなの夢をぶち壊しじゃないですか。

「ソフィアもごめんなさい。ミラがこんなおばあちゃんでがっかりしたでしょう」
「いえ、そんなことはありません! エデルミラさんのとても洗練された佇まい、あなたがミラお姉様なのだと納得しました」

 ソフィアは魔法少女であってもなくても強く頼もしい女性のようです。

「わたしも、あなたがソフィアで良かったと思うわ」
「ありがとうございます。ルークさんも、本当に騎士団長のルーカスさんだったんですね」
「疑われていたのか……」

 ルーカスはなんだか不服そうです。
 わたしが言うのもなんですが、ルーカスと魔法剣士ルーク、印象が全然違いますものね。

 騎士団のみんなにバレてしまった以上、陛下たちに隠すこともできず。

 私とソフィアはルーカスに伴われ、国王陛下と王妃様に謁見することとなりました。

「なんと。噂の魔法少女はエデルミラだったのか」
「もう。水臭いわよエデルミラ。はやく話してくれたら協力できたかもしれないのに」

 ルーカスが少年魔法剣士になっているのを目の当たりにしているため、わたしが魔法少女だったことについてあまり驚かれることはありませんでした。

 ただ一人をのぞいて。



「ば、ば、ば、ばあやが魔法少女だってーー!? そんなぁあああああ!!」

 アリーナと婚約破棄して魔法少女と結婚する! なんて世迷い言を言っていたダミアン王子は、魔法少女が二人とも40歳オーバーだったことを知り、顔面から倒れて寝込みました。

 これでもう魔法少女を嫁にするなんて言い出さないでしょうから、結果的に正体がバレて良かったのかもしれません。


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