友情の一歩先「そんなの簡単さ。告白すれば良いんだよ」
こいつは恋する乙女心が分からないのだろうか。お腹が空いたら何か食べれば良い。そんなノリで言った。
「それができてたら弓親なんかに相談しない」
あたしが吐き捨てるように言った言葉に、弓親は肩をすくめて鼻で笑った。腹が立つ。
「おい、
なつめ!」
声が聞こえた方に顔を向けると上裸になった一角が右手に握った木刀で肩を叩いていた。
「なにー?」
「相手しろ」
「いやでーす!」
「あ!?」
一角が大きな足音を立てながらこっちに近づいてきた。
「お前、最近サボりすぎだろ。腕鈍るぞ」
「余計なお世話だし!」
こうやって茶化せて、馬鹿を言い合う関係が丁度良いんだ。
「気持ちを伝えて変に関係を壊そうとするより、やっぱりこのままでも良いかもしれないね」
あたしは弓親だけに聞こえるよう呟いた。
終