その花。 美しい花を見つけた。
言葉を失ってしまう程、今まで出会った花で一番美しかった。
本当に美しいものを目の当たりにしたら、嫉妬なんて忘れてしまうことを知った。
自分のものだけにしたかった。
けれど、手折ってしまえば直ぐに枯れてしまいそうで僕は怖くて出来なかった。
ここに咲いているから美しいんだ。
僕は自分をそう納得させた。
ある日、その花を手折る者がいた。直ぐに枯れてしまうと思っていたその花はその者の手の中で枯れることなく美しい花弁を輝かせていた。その美しさは手折る前よりも増していた。
もし、僕が手折ったとしてもその花は枯れることは無かったのだろうか?
それとも──
終