香水「ちかちゃん、おかえりなさい!」
玄関の扉を開くと
名前が胸に勢い良く飛び込んで来た。一緒に倒れてしまわないようにしっかり抱き止める。
「ただいま。僕が帰ってくるのここでずっと待ってたの?」
「うん! 『今から帰るよ』ってメッセージくれたから、そろそろかなあって待ってたの」
口角を上げて、にっこり笑った
名前は僕の胸に顔を埋めて、ぎゅっと再び抱きついた。
名前の頭を撫でるとさらに嬉しそうに笑っていた。犬のように尻尾があればちぎれそうな勢いで振っているだろう。そんなことを考えていると、鼻をすんすんと鳴らしている音が胸の中から聴こえた。
「ちかちゃん……?」
僕を見上げて不安そうな顔をする
名前が何を考えているか手に取るように分かった。
「撮影で香水を使っただけだよ」
安心したように笑顔を見せる姿に、可愛いなあとつい頬が緩んだ。
終