花言葉で愛を告ぐ「ただいま」
玄関の扉が開いて、背筋がピンと伸びた。椅子から急いで立ち上がって、急いで玄関へと向かった。帰りを心待ちにしていた、ちかちゃんの姿が見えた。
「ちかちゃん!」
目を細めて優しそうに笑っているちかちゃんと目が合う。おかえりなさい、と声を掛けて出迎えようととした瞬間、目の前に紫色と華やかな香りが広がった。突然なことに驚いてしまい、数秒程身体が固まった。
「……今日は、ちかちゃんのお誕生日だよね?」
一瞬、自分の誕生日かと思ってしまった。しかし、今日は確実に九月十九日。つまり、ちかちゃんの誕生日。朝から何度も日付を確認して確かめた。テレビのニュースでも日付を確認した。綺麗なアナウンサーさんが凛とした声で九月十九日と言っていたのをしっかりこの耳で聞いた。
「これを
名前が受け取ってくれることが、僕にとって一番嬉しい誕生日プレゼントだから」
微笑んでいるちかちゃんの手には綺麗な藤の花束が握られていた。わたしはその花の意味を理解して、頬に涙が伝った。わたしはそれに手を伸ばして、ちかちゃんから受け取る。
「わたしも絶対に離れないよ、ちかちゃん」
次から次へと溢れる涙を拭おうとすると、ちかちゃんにその手を絡め取られた。
「
名前、愛してるよ」
涙で視界がぼやけてしまい、かちゃんの表情は見えなかったがその声は穏やかで柔らかく微笑んでいるちかちゃんが頭に浮かんだ。またひとつ頬に涙が流れると、頬に優しいキスがおちた。
終