「まあ」
書類が乱雑に置かれている俺の机の上を自主的に整理整頓してくれている
優紫の背中をソファに寝転がって眺めていると隊首室に感嘆の声が響いた。
「これ、もしかして私にですか?」
優紫が何の事を言っているのか見当が付かず、重い腰を上げて
優紫の後ろから手元を覗き込んだ。ついで腰に腕を回しておく。
「こんなにお手紙を書いて下さったんですね」
「手紙?」
優紫の手には数枚の紙が握られていた。そこには勤務中の俺が退屈凌ぎに落書きをした愛の言葉とも言えない「好き」だとか「愛してる」、「会いたい」だとかという言葉が書かれている。もちろん
優紫に向けてのものだ。
「っ!」
「あっ!」
その行為がガキみたいで恥ずかしくなった俺は急いでその紙を引ったくった。
優紫は眉頭に皺を寄せて、むすっとしながら俺を見上げた。
「折角だから頂こうとかと思ったのに……」
「捨てる」
「私への想いを捨てないで下さい」
そんな事を言われてしまったら、引ったくった紙をまた
優紫の手へ戻すしか無かった。
優紫は嬉しそうにそれを受け取って、俺が書いた下手くそな字を愛おしそうに人差し指でなぞっていた。そして、また俺を見上げる。
優紫は頬をほんのり赤く染めながら笑っている。
「お返事を書いたら読んでくださいますか?」
俺は気恥ずかしさがまだ抜けず赤いままの顔を
優紫から隠すようにそっぽを向き、小さく頷いた。
終