「剣八さんっ! お仕事の日の朝はしないって約束したはずですよ!」
朝食の準備を終え、俺を起こしに来た
優紫の腕を掴んで自分の下に組み敷くとそう言って訴えてきた。逃げ出さないように腕を掴んだまま腰を捕らえる。
「
優紫は仕事じゃねェだろ?」
「そう、ですけど……」
「じゃあ良いじゃねェか」
「良くないです……! 剣八さんはお仕事です!」
「たった今、休みになった」
「それは嘘です!」
「嘘じゃねェよ。隊長の俺に全て権限がある」
「職権乱用ですよ! それに、昨日も……したんですからっ!」
眉間に少し皺を寄せてこちらを睨んでいる。
優紫は自分で言っておいて、昨日のことを思い出したのか顔は赤い。はっきり言って全く怖くない。赤い顔も相まって、ただ可愛いだけだ。
抵抗したいのならば頬を引っ張叩くなり、胸を押し返したりして抵抗すれば良い。無理矢理は抱きたくはないが、
優紫は言葉だけでそれをしない。
本気で嫌ではない、と勝手に受け取って、
優紫の唇を奪う。はじめは、優しく啄むように。
つぎに、深く深く息を奪うように。
「んっ……、ん」
鼻にかかった
優紫の甘い声と唾液が混ざる小さな水音だけが部屋に響く。ゆっくり唇を離す。はあ、と
優紫の口から熱を孕んだ息が漏れた。
「けんぱち、さん……」
甘い声で名前を呼ばれ、目尻が下がった蕩けた瞳で見つめられる。俺はそれに自然と口角が上がるのを感じた。
優紫の襟元に手を忍び込ませながら、もう一度唇を重ねた。
終