卯ノ花は仕事で此処へ隊士を送る必要がある時は、意図的に
優紫以外の奴を寄越す。
優紫だと俺が中々帰さない事を知っているからだ。他の奴を送るより十一番隊の事をよく知っている
優紫の方が適任ではないのか、と直談判した事がある。しかし、卯ノ花はそれを決めるのは俺ではなく自分だと言った。あの時の顔は何度思い出しても腹が立ってしまい、つい舌打ちを打ちたくなる。
今日は日頃サボっていた書類仕事を部下である弓親に強いられ、一日中、隊首室に篭っていた。紙切れと顔を合わせていると今日は珍しく書類を持って
優紫が現れた。姿を見せた
優紫に考えるより先に身体が動いた。椅子から立ち上がり、
優紫の元へ足早に歩く。そして、苦手な仕事に疲れた身体を癒す為に
優紫の腕を引いて、自分の腕の中に閉じ込める。キスをして良いかと尋ねると、一度だけならと許しが出た。
ゆっくりと顔を近付け、柔らかい唇に自分の唇を重ねた。しばらくそのまま柔らかいそれを味わった。次第にそれだけではもの足らなくなり、舌で
優紫の唇を撫でる。すると、小さく唇が開かれる。その隙間に舌を入れる。遠慮がちに俺の舌に触れる
優紫の舌を捕らえた。
優紫はびくりと小さく肩を震わせる。この反応が毎度可愛らしくて口角が自然と上がってしまう。
舌の交合に
優紫の息が上がってくる。甘い吐息を漏らしながら、縋るように俺の死覇装の胸元を掴んでいる。その手にそっと触れ、死覇装の代わりに俺の指を深く絡めた。そしてより一層深く彼女に口付けて、息を奪う。
俺の背に回っている手で限界だと言うように叩かれる。唇を離すと、肩で息をしながらぐったりと俺の胸に身を預ける。抱き締めて息が整うのを待つ。規則的な呼吸になったのを確認して、彼女の顎を掬った。もう一度、と顔を近付ける。
しかし、
優紫の掌にそれは阻まれてしまった。
「一度だけと言いました」
頬を紅潮させたまま眉間に皺を寄せて俺を上目遣いで見つめている。それで睨んでいるつもりなのだろうか。掌なんか簡単に払い除ける事が出来る。怒っている顔も好きだが、機嫌を損ねたい訳ではないため大人しく俺は諦める事にした。
終