や〜れやれ、やっと終わった

テストすんのは良いけど、この添削が面倒なんだよなァ

ま、何とか終わったし、さっさと帰って飯にーー

……ん？

俺以外にも未だ残ってる先生がいたのか

あれは……

せーんせ、もう8時回ってっけど

未だ終われそうにないんですか〜？

あとどのくらい残って……

げ！

マジかよ、未だ半分残ってんのか

この調子じゃァ、いつ帰れるか分かんねェな

でもさすがにこの量を一人でやろうと思ったら、相当の時間……

え？　心配無い？

きちんと終わらせるから大丈夫って

いや、いくらなんでもこれはーー

……

へーへー、分かりました

邪魔者はさっさと帰りますよ

そんじゃァお先に失礼しまっす

どォもォ、銀印の宅配便でっす

こちらがお品物になりま〜す

先生は確か、甘いカフェオレが好きだったよな？

弁当とコンビニスイーツも買ってあっから

……はい？

何でこんな事をするのかって？

それはだなァ……

家に帰って一人で飯を食うより、先生と一緒の方が美味いだろうなと思ってよ

食ったら俺も手伝ってやるから、少し休憩しようぜ

んじゃ、早速

いっただっきま……

って、えェェェェッ！？

何で俺、怒られてんのッ！？

俺が先生を甘やかすから？

けどよォ、同僚がキャパオーバーになりながらも必死に頑張ってんだ

少しくらい手伝おうって気になってもおかしかねェだろ

それにこれは甘やかしてんじゃなくて、頼れっつってるだけ

こういう時は一人で抱えこもうとせず、素直にヘルプすりゃァ良いんだって

先生がいつも一生懸命頑張ってるってのは、分かってっからよ

たまには肩の力を抜いてみようぜ

ってなわけでほれ、まずは一口

それとも俺のカフェオレは飲めねェってか？

なんつって

……

……ったく……

ずっと気持ちが張り詰めてたんだろ

せっかく甘いやつを選んだのに、このままじゃ塩っぱくなっちまいそうだなァ

あんまきれいじゃねェけど、銀さんのハンカチ貸してやっから

……ん？

あァ、そういや普段学校じゃァ、自分を『銀さん』とは言ってねェか

さっきタイムカードを打ったから、気ィ抜いちまったわ

これは二人だけの秘密、な

……どした？　顔が赤いぜ

ひょっとして、銀さんを意識しちまった？

……すんません。調子に乗りましたァッ！

……

良い顔すんじゃねェの

いや、こっちの話

とりあえずさっさと食って、さっさと終わらしちまおうぜ

やーれやれ

何とか日付が変わる前に終わったなァ

おう、お疲れさん

そんじゃァ帰るとしますか

銀八タクシーで家まで送ってやるから、駐車場に行くぞ

あん？　そこまで甘えられないって？

さっきも言ったじゃねェか。先生はもっと人に頼れば良いって

……なかなか頑固だねェ

んじゃ、言い方を変えっか　

手伝ったご褒美として、銀さんに送らせてくださ〜い

それでもダメか？

……

そんなに優しくしないでって、何でだよ

甘えそうになるから？　

結構なことじゃねェの

銀さんこう見えてふところデカイからね

先生の一人や二人や三人や四人、かる〜く受け止められちゃうからね

え？　いくらなんでも多すぎって？

そりゃまァ先生は一人しかいねェもんな

それが分かってんなら、銀さんには余裕ってのも分かるだろ

……

あのなァ……

甘えちゃいけないなんて、誰か言ったか？

勝手に自分で思い込んでるだけなんじゃねェの？

銀さんが良いっつってんだから、素直に甘えておきなさいって

っつーかむしろ甘えてくんないと、ここまで言ってる銀さんの立つ瀬がないんですけど

そこで吹き出すゥッ！？

しかもこういう時にその笑顔は反則だろ

んな可愛い顔見せられたら、今まで我慢してきた俺の苦労が……

べ、別に！　何でもねェよ！

ほら、いい加減帰るぞ

……え？

頭に手を置いただけでその反応！？

なるほどねェ……要は甘え方を知らないっつーことか

違うって。バカにしてるわけじゃねェよ

それどころか……

……

この小せェ体でよく頑張ってんなと思ってる

……なァ、銀さんの体って大きいだろ

先生をこうして抱きしめて支えるくらい、簡単だと思わねェ？

だから……不器用でも良い。間違ってても良い

甘えたくなったら、いつでも銀さんのトコに来なさい

いくらでも甘やかしてやっから

今日から銀さんの腕の中は、先生の指定席って事で

ん？

どんな風に甘やかすつもりかって？

そうだなァ

その辺は……

今度の休みに、たっぷり一日かけて教えてやるよ