逆さまのキス(銀時)

  • その日、私は銀ちゃんと二人で万事屋にいた。

  • グダグダと見ていたテレビ番組の中で、『彼に好きって言われてる?』というインタビューのコーナーがあり、ふと気付く。

  • ――私、銀ちゃんに好きって言われた事……あったっけ?

  • まどか

    そう言えば銀ちゃんって、『好き』って言ってくれた事ないよね

  • 銀時

    そうだっけか?

  • まどか

    そうだよ。ねえ、この機会に言ってくれない?

  • 銀時

    そーですね

  • まどか

    ほら、すぐにそうやって茶化す

  • まどか

    ねえ、好きって言ってよ

  • 銀時

    ウッキー

  • まどか

    そうじゃなくて!
    じゃあ大好きって言ってよ

  • 銀時

    台ふきーん

  • まどか

    もう、銀ちゃんのバカッ!

  • ふざけるばかりの銀ちゃんに腹を立てた私は、怒って万事屋から出て行こうとした。

  • すると突然後ろから抱きしめられる。

  • まどか

    放してよ!

  • 銀時

    ……なあまどか

  • まどか

    何よ!
    今更謝ったって許さないんだからね

  • 銀時

    お前『逆さまのキス』って知ってるか?

  • まどか

    知らないわよ、そんなの

  • 銀時

    そんじゃ、教えてやるよ

  • そう言った銀ちゃんは、私の顎を持ち上げて上を向かせた。

  • そこに上から覗き込むようにして、逆さまの形で私の唇にキスを落とす。

  • まどか

    ……別に、上下逆さまのキスってだけでしょ

  • 銀時

    まァな。でもその逆さまってのが重要なわけよ

  • まどか

    どう言う事?

  • 銀時

    キスを逆さまに言ってみな

  • まどか

    キスを逆さま?……スキ……

  • まどか

    好き!?

  • 驚いて叫んだ私に少し照れ笑いを見せた銀ちゃんは、

  • 銀時

    そーゆーこと

  • と言って、もう一度私に逆さまのキスをしたのだった。

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