名前を変えるのです。
プリンの逆襲
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夕ご飯を作る為に調理室に向かうと、そこにはプリンとナナがいた
あたしよりも先に夕飯の準備を始めたのか? 珍しい。
とか思ったけど、それは有り得ない話だし
今日は二人に夕ご飯のお手伝いを依頼していないので
多分違う理由でいるんだろうな…
どうしたの? と二人に歩み寄るとなんと汚い
珍しいけどプリンが料理をしていた
乱暴に包丁を扱って、適当な大きさに裁断された野菜と肉は
まな板を飛び出して散らばっている…
吃驚というか引くというか…
なにやらプリンは怒り狂ってるようです
「どうしたの…?」
「ん…? 実はね…」
とりあえずプリンの隣でドン引きしていたナナから、こうなった理由を聞く事にした
「プリンが何時もみたいにファルコさんと突っ掛かり合ってたら
今日は何時も以上にプリンは敗北したの…。それで怒りを料理に向けてて…」
「えぇ!? 食材が勿体無いよ!」
「うるさい! ユズちゃんにはこの怒りが分かるか!」
ガンガンバンバンと野菜と肉を叩きっ切るプリン
彼女の目は血走っている。
「…相当だな。」
「そうなの…。
だから思いっきり適当に作った料理をファルコに夕飯として出してやるって、こういう状況」
「うーん…、まぁ良いよ別に
一人分減ったところで何も変わらないし」
「本当に良いの?」
「うん、それでプリンの気が晴れるならね」
「あのクソチキンめ痛い目に合わせてやる…!!」
「…結果的にはあたしも巻き添え?」
「これが終われば元に戻るから付き合ってあげようよ」
「まぁいいけど…」
渋々準備をしながらプリンの様子を伺っているけど
中華鍋に適当な野菜と色々な肉を入れて激しく混ぜている
食材が勿体無いな…、とか思っていると
冷蔵庫の方へ移動して戸を開いて、パッパと色々な食材、調味料を取り出して
そのまま鍋の方へ向かう…
…まさか入れるのか? と思っていたらその通りになった
味噌、牛乳、蜂蜜、ケチャップ、マヨネーズ、卵、マスタード、なんかのドレッシング他…
…大丈夫なのか? と思っていた矢先
豆板醤の瓶をひっくり返して中身を全部投入するプリン
「…辛そう。」
「舌をぶっ壊してやる…!!」
ナナの「辛そう」という呟きを聞いたからか
野菜置き場から、にんにく、とうがらし、しょうがをもってきたプリン
皮のまま簡単に刻んで中に入れた
自分の準備はそっちのけで、心配して中華なべを覗くと
言う表すなら「真っ赤な汁だく野菜肉炒め」が出来上がっていた
「これだけでプリンが許すと思うな!」
そう怒鳴り散らしながら、今度引っ張りだしてきたのは小さな鍋
そこに水を入れて、ダシ昆布と鰹節、煮干、干し椎茸
さっき買ったらしい甘海老(頭だけ)を入れて火にかけだした
「味噌汁ね…」
「勿体無いよ…! 旨み使いすぎだよ…!」
「甘く見るな! プリンの逆襲はこれからだ…!」
普通に味噌を入れると、普通の味噌汁みたいになった
そこに適当に小さなおふと豆腐を投入、戻したわかめも少々
本格的に味噌汁風。と思っていると、近くにあった瓶を鍋の上で引っくり返す
(まだ)マシだと思っていた味噌汁に大量の角砂糖が投入された。
「ファルコさん、今日の夕ご飯は無いに等しいね…。」
「そうだね。
仮にも乙女のプリン相手に、小学生の様な接し方するファルコのそういう所は好きじゃないから、協力してあげよう」
「良いの? 怒られるかもよ…?」
「いいや! ユズちゃんが涙目で「不味い…?」って聞いたら「不味くない」って答えるだろう!
奴はプリン以外の女の子には優しいもんね!」
「その時にならないとどうなるかわからないけど
ピンチになったらマスターに助けてもらうから大丈夫よ」
「…ことごとくファルコさんが不利だね。」
その後も物凄い量の塩がもみこまれた甘エビサラダや
旨味を取り去った上に、全く味付けをしていないサイコロステーキ
ご飯には旨味調味料がふり掛けられた
試しに味見をしてみたのだが、どれも食べられる様なものじゃない…。
夕ご飯は来た順に自分の席に着いて、ご飯を食べ始めます。
今日の献立はプリンの究極復讐料理の不自然さを薄くさせる為に
辛めの味付けをした野菜と鶏肉炒め、普通の海老サラダ、普通のサイコロステーキ
普通のご飯と、おふと豆腐とわかめの味噌汁です
「…今日は質素なのね。」
「まぁ、たまにはこういうのも良いじゃない」
首を傾げるピーチ達ですが、あなた達のはちゃんと作ってあるんですから良いじゃないですか…
たった一人だけ、クレイジーな味付けされた物があるんですから…
「ご飯ごはーん♪」
「お前うるせぇよ…」
やってきた目的の人のグループ
それと同時にワイワイ話をしていたプリンはツンとすましてテーブルに向かった
今日は席替えをしてプリンは彼を背にしています
彼はいつも通りに席に着いて、何も言わずに箸と味噌汁を手に取る
プリンと席替えをしたので今日はあたしが見える位置です
いただきまーすと嬉しそうに手を合わせるフォックスと
いきなり肉を食べているウルフの間にいる目的の人…
結構な量を啜ると、普通に何事も無くテーブルに茶碗を戻した
「ん…?」
「どうしたの…?」
思わずいつも通りのファルコに吃驚して凝視をしていると
ナナも同じ方に目を向ける
「…激甘の筈の味噌汁を普通に飲んだぞ」
「えっ!?」
ユズの言葉に飛び跳ねるプリン
プリンも振り返ると、そこには普通に塩サラダを食べているファルコが…
「…あいつ、味覚大丈夫か?」
「うわっ…、塩サラダを普通に食べてるよ…。」
「味分かってるのかな…、ファルコさん…」
結局、ヤバイ料理全部残さず食べたのでした
先に食べ終わって三人で片づけをしていた所
皿を片付けにやってきた動物三人組がやってきた
「ユズ、ごちそうさま」
「あー、うん」
「鳥。」
「あ"ー?!」
皿拭き担当だったプリンは皿を拭きながら例の人に語りかける
…相変わらずファルコはプリンに厳しい。
「これからも頑張れよ。」
「…はぁ?」
「どんなに苦悩を抱えていても、決して屈するな?
プリンはお前の事を応援しているぞ」
「…。」
そう優しく諭すプリンの眼差しは、それはそれはとても哀れんでいた。
「んだよ…、急に…」
「もういいんだ…、無理だけはするんじゃないぞ…
何かあったらプリンに相談しても良いぞ。出来る限り手伝ってやるからな…。」
「…。」
近くでドン引きしているフォックスとウルフ
その原因は間違い無く、つい数時間前と打って変わったプリンの態度だろう
だけどもそのプリンの気持ち、分からない事も無い
「私も応援してますよ…、ファルコさん…」
「あたしも…」
あんた達は知らないんだもの、仕方ないよね。
「お前…、後で三人に殺されるんじゃないのか…?」
「バーロー…! 怖い事言うんじゃねぇよ…!」
「じゃぁなんで急にあんな優しくなったんだよ…」
ブツブツと呟きながら部屋を後にする三人組み、それを優しく見送った
「あの鳥…、救えないなぁ…」
「あれほどとは思ってなかったよ…」
「偏食しすぎて味覚崩壊したんじゃないの?」
「わからん。
だがこれからちゃんとプリン達が管理してやらないと、あいつは食べ物に殺されるぞ。」
「「確かに。」」
プリンの逆襲
「毎日殆ど暇だから、これから鳥の味覚の正常化を目指そう」と意気込むプリンを見て
もしかしたら二人の仲の安泰は近いかもな、と思った。
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