香りに誘われる
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プリンとナナとあたしの三人で
「プリンとファルコの関係性」を熱く語りながら廊下を歩いていた
「この館内の誰もが二人の仲を見抜いているぞ」
「だーかーらー! プリンと糞鳥は一切やましい関係は無くて、いがみ合ってる、それのみなんだってば!」
「本当に嫌いだったらまず距離を取るし、口も利かないよね…?
プリン達は嫌いかもしれないけど、行きつく所は円満エンドだと思うよ」
突然「こん畜生!」と叫んだプリン、突然メガトンキックを繰り出してきた
唯一先に歩いていたあたしは、想像以上の威力に吹っ飛ばされる
床とぶつかると思ったがその後すぐ、急に集団が目の前に現れた
「なっ!」
「ぎゃぁ!」
「うわちょっと!」
T字路の所で丁度やってきた他人の群衆に突っ込んでしまった感じ
数人巻き添えで倒れこむ
「あー! ユズちゃん!」
「これはやり過ぎた…。」
「ユズ急に飛び出すなよ!」
「…。」
下敷きになっているルキナが怒っているけど、今はそれよりも驚いた事がある
驚いたというよりも衝撃的というか、不意にというか…
確認の為に、ルキナに顔を近づける
「な、なんだ…、早く退いてくれ…。」
「違う…」
「はぁ?」
やっぱりルキナではない。
方向がそもそも違うので何となく分かっていたのだけど、やっぱり普通は女性のルキナだと思うだろう。
隣では尻もちしたカムイとマルスが居るので、その二人にも顔を近づける
「ど、どうしたの?」
「ユズちゃん、何してるの?」
こちらにやって来たプリンとナナだけど、それよりも確認したい事がある。
結果カムイでもマルスでもない。
ので、もう一人下敷きにしていたロイに顔を近づけた
「…あぁ。」
「どうしたユズちゃん」
「お兄さん、何の香水を使ってるの?」
「え”ぇ…?!」
まさかこの状況でそんな事を言われるとは思って無かったのか
凄い驚いた表情を浮かべるロイだけども…
「いやー、吹っ飛ばされてここに飛び込んだ時、一瞬良い匂いがしたんだよ
それでルキナかなって思ったんだけど違うし、巻き込んだ二人かなってそれも違うし。
ロイだったんだね。それで何の香水を使ってるの?」
本当、今まで嗅いだ事が無い香りで
大体の香りならジャンルくらい分かるけど、この香りだけは全然分からない。
もう一回ロイの匂いを嗅ごうとすると、彼は顔を赤くして、止めるような素振りをした
「まぁまぁユズちゃん、まずは退いてあげようよ」
そうプリンナナに引っ張られて、ルキナロイの上から移動させられた。
そしてようやく立ち上がるエムブレム組数人
「わ、私はロイよりも臭いのか…?」
「ルキナ落ち着いて…。」
「すみません、うちのプリンがユズちゃんを吹っ飛ばしたら
丁度ルキナさん達が通りかかったみたいで」
「どこからかプリンの怒鳴り声が聞こえるな、とは思ってたけど
まさかユズが飛んでくるとは思って無かった」
「ごめんごめん…」
そう言いながらも再度ロイに近寄ると、それはもう驚いた様子で手を出して制止してきた
「僕達ついさっきまで大乱闘してたんだけど」
そんなルフレの発言を聞いたプリンは、咄嗟にあたしの頭に飛び乗ってあたしの首を別の通路の方に向ける
「ユズちゃん、プリン達には「夕ご飯を作る」という大事な使命があるだろう。
こんな所で油売ってる場合じゃないんだぞ」
「あぁそうだった…。
元々は夕飯作りに行こうとしてたんだったね…。」
よく分からないけど、あの咄嗟のプリンの反応は彼らの何かを察知したんだろう
後でどういう事が聞いてみようと思う。
プリンの首固定から解放されたので、ロイにとりあえず謝っておく
必死に止めていたので相当嫌だったんだろうし
エムブレム組から分かれてすぐ、先を歩いていたプリンはこちらに振り向いた
「ユズちゃんってば分かってないな。
奴等はさっきまで大乱闘してたって言ってたろ? 多分汗かいてるんだよ。
それなのに匂いを嗅ごうとしちゃダメだー、気にするに決まってるだろー」
「お前! しっかり聞こえてるからな!!」
やっぱり聞こえていた様で、後方からルキナの怒鳴り声が聞こえてきた
まぁプリンは意図的にやったと思うけど…。
本当にエムブレム組から離れた所にやってくると、ナナがボソッと呟いた
「…どちらかと言うと、叫びたいのはロイさんだと思うけど。」
「まぁユズちゃんが嗅ごうとしたのはロイだからな。
というかそんなに良い匂いだったのか? 運動後だぞ?」
「うーん…、一瞬だけだったんだけど、凄い良い匂いだったんだよねー…」
「良い汗の匂いなのか…?」
「正直何の匂いか分からなかった…。だから香水かと思ったんだけど…。」
「答えなかったし、嗅がれるのを嫌がってたって事は
ロイさんは香水を使ってなかったんだろうね」
そうなったらもう何だか分からないけど、後でミュウツーに相談してみよう。
香水じゃなかったら洋服用洗剤かもしれないし、もしかしたらボディソープかもしれないし。
「それかもしかしたらよく聞く「良い匂いと感じる異性とは相性が良い」ってやつかもな。」
「え? 何それ」
「性格とかじゃなくて、遺伝子レベルでの相性の話だー
良い匂いがする人は遠い遺伝子、不快な匂いがする人は近い遺伝子
近い遺伝子が混ざると病気に弱くなったりするから、本能的に近い遺伝子を避けようとするんだって。不快な匂いだったら近寄ろうとしないからな」
「そ、そうなんだ、あんた風船なのになんでも知ってるね
こういう話が好きなだけあるよ…。」
「ユズちゃんはロイのフェロモンに反応したんだな。
…大乱闘後という己が全開の時だったらしいし、そうだろうな」
「なんか聞いてるこっちが恥ずかしいわ…。」
やっぱり後でミュウツーの意見も聞いてみよう…
果たしてミュウツーがこの謎を解決してくれるかは分からないけど…。
「というわけで聞きに来たのです」
「分かっている。」
夕飯後、お片付けも済ませて早速一人でミュウツーの所に乗り込んだ
事情は知ってるだろうけど一応あたしの話は聞いてくれた。
「香水は使っていないのは確かだ。
まぁお前の感覚を見ると、使ってる洗剤もソープも違う様だからプリンの言ってる事が正解ではないのか?」
「本当にそういうのって匂いで分かるの?」
「私自身体験した事は無いから言い切れないが、あってもおかしくは無いと思う。
匂いは好き嫌いが早くはっきりするからな」
「そうかー…、でも仮にそうだったとして
それであたしとロイに何の得があるんだよね…。」
そこで相性が良かったとしても、容姿がタイプじゃないとか、性格が合わないとか、親密行動の相性は悪いとか
遺伝子レベルの話に至るまで何個も問題があるのに、それらをすっとばして遺伝子の話をされてもね…。
「まぁ香りを嗅いで気分が穏やかになるとか、そういう感じではないか?
プリンからのイライラはロイの匂いで解消する」
「そんなのに使われるロイが可哀想だ…。
いくら良い匂いだからってロイを付け回すわけにもいかないし、たまーに嗅ぎに行こうと思う。」
「…それでも嗅ぎに行こうとはするんだな。」
謎は解決したのでプリン達が先に行った転送室に向かう
約束通り、部屋でお喋りして二人は待っていてくれた。
「おー、ユズちゃん待ったぞー」
「ミュウツーさんは何て言ってたの?」
「プリンの言った事が正しいんじゃないか? って言われたよ」
「そうだろうよ。汗臭いのに良い匂いって、ユズちゃんの鼻おかしいだろ」
「それロイさんに聞かれてたらどうするのプリン…。ショック受けちゃうよ…。」
「大丈夫大丈夫、ユズちゃんは好きなんだから。」
「そういう問題じゃないような…。」
三人vsCPで数回大乱闘をし終わった時
部屋に戻るとエムブレム組が居た
大乱闘部屋はいっぱいだったからか、部屋が空くまで待っていたっぽい
「あ、ルキナさん達だ。部屋使いますか?」
「え? 使っても良いのか?」
「二人は大丈夫?」
「プリンは大丈夫だぞー」
「構わんよー」
それじゃぁと転送装置に向かうエムブレム組
目の前を通って行くのだけど、ロイが通る時に彼に顔を近づけた
今回は赤くならなかったものの、やっぱり驚いていた
その後ろに居たルキナもつられて止まる
「やっぱりやると思ったぞユズちゃん」
「お前、そんなにロイの匂いが好きか?」
「いや…、今は分からなかったかな…?
ごめんごめん、進んでどうぞ」
エムブレム組を見送った後、休憩スペースで三人お喋りする。
「今は好きな匂い無かったの?」
「うん、少ーし洋服から良い匂いがしたかもしれないって程度」
「あの後お風呂入ったからじゃないの?」
「だったら何回か大乱闘した後に嗅ぎに行ってみてほしいわ。
そこで本当に奴から良い匂いがしたらマジだぞ。」
「そうだね」
「プリンから言っといてあれだが、なんで乗り気なんだよ。」
プリンの言う通りにちょっと経ったら嗅いでみよう。
それまでは他のグループの大乱闘に混ぜてもらって時間を潰そうと思います。
しかし、お邪魔した所にはフォックスやファルコが居て
やっぱりプリンとファルコが因縁付いてしまい、かなり長い時間同じグループと大乱闘をする事になってしまったのだった…。
大体一時間くらいぶっ通しで戦っていたのだけど
流石に疲れてきたので怒り狂ってるプリンを止めに入る
「プリン、もう良いじゃん…」
「そうそう、8勝9敗なんて殆ど引き分けだよ…」
「いいやまだだ! 先に10勝した方が勝ちなんだ!」
「じゃぁ一回休憩を挟もうよ…。」
ファルコ達にはお先にどうぞと伝えて
ナナと二人、休憩場目指してプリンを引っ張っていく
離せと喚き散らかすプリンを抑え込んで、落ち着くように言い聞かせ宥めていると
また別の部屋から試合を終えた人達が出てきたようだった
そちらを見るとエムブレム組だ。
プリンもそれに気が付くと、打って変わって静かになる
「ユズちゃん…、そろそろ香ばしくなった頃だろう…、早く匂い嗅いで来いよ…」
「言葉が酷過ぎる…。」
言われなくともと、早速七人の方へ歩み寄る
あたしに気が付いたマルスやルフレは笑い出した
「きっとロイに用事だろうね」
「お前諦めないな、…その粘りは誉めるに値するかは分からないけど。」
「さぁお兄さん、逃げてはダメですよー」
と、分かりやすく手と腕を動かしながら歩み寄る
覚悟を決めたのか諦めたのか知らないけど
彼は苦笑いしながらも逃げたり止める事はしなかった
せめてもで、あからさまに匂いを嗅いでる音や感じは出さない様にしよう。
そう、まるで匂いを嗅ぎに来たのではなく、抱きつきに来たような感じを見せるのです
勿論抱きついたりはしませんけど…。
という事で静かに香りを探す
「どうだ? 気が済んだかユズちゃん。」
「本当にロイさん申し訳ないです…。」
「あ、あぁ…、まぁ…」
「おいユズちゃん、微動だにしてないけど生きてるか?」
「生きてるよ…!」
プリンの方に振り返ってから突っ込みを入れる
まぁ結論的に言うと、夕方に嗅いだ香りは無かった
でも何故かその時よりも良い香り
それはさっき彼らが大乱闘を始める前に嗅いだ服の香りよりもずっと良い。
服の香りは多少感じるから、多分何かプラスされて良い感じになったと思うんだけど
だとすると例の彼のフェロモンとやらなのか?
これが彼の匂いの力なのだろうか。
それにしても本当に良い香りで、思わずため息を吐きたくなる程穏やかな気持ちになる
もう嗅げないかもしれないし、もう一回嗅いでおこうとロイの方へ振り返ると、彼の顔が目の前にあった
驚いて距離を取る。
「ロイ、セクハラはダメだぞ。」
「あはは、違うよ」
何も言えずプリン達の方を見ると、暫くこちらを細い目で見ていたプリン
そしてあたしの後ろに視線をずらした
「どうだった? ユズちゃんの匂いは」
その言葉でやっとロイの行動を理解した
プリン達の方を見てる間、あたしが匂いを嗅がれてたんだ
突発的に恥ずかしさが沸きあがり、無意識にプリンの方へ駆け寄り持ち上げる
そしてよく揉んだ
「ぎゃー! 助けてー!」
「いやいや、それはユズもやってた事だろう。しかも何回も。」
「やられて初めて分かる恥ずかしさ…。」
「まぁまぁ、これでロイさんとおあいこって事で」
何がおあいこなのかは分からない。
回数的にはロイの方がダメージを多く負ってると思うし
それにしても準備してない状態、運動後でちょっと汗ばんでる時に匂いを嗅がれるのって、こんなにも恥ずかしい事だったなんて
あたしは何て酷い事を彼にし続けたんだろう…。
恥ずかしさにプラス、申し訳なさで彼が見れません…。
「ユズって良い匂いがするね」
「!!」
まさかのロイの発言に、反射的に持っていたプリンを彼に投げつける
そして飛ぶように部屋を後にした
「まぁお前が良い匂いだと言って、それが遺伝子レベルの理由なら
向こうからも良い匂いに感じるのは不思議ではないだろう…。」
「うん…、うん…」
中庭に飛び込んで、ミュウツーに物理的に冷やしてもらった
言われた瞬間は沸騰したかのように一瞬で全身が熱くなって、思わず暴力を振るってしまったよ。
後で謝っておこう…
「ちなみにロイは怒ってる?」
「怒ってはない。
匂いを嗅ぎに来た時と嗅がれた時との落差を見て、面白い奴、可愛い奴と思っているようだ。」
「ロイ心広過ぎでしょ…。」
「お前が逃走した後の皆の会話が良かったのだろうな。
代わりに投げつけられてたプリンは怒っているようだが?」
「プリンは良いんだよ、どうでも…。」
「まぁこれで懲りただろうから、ロイを付け回すのは止めるんだな」
「付け回すまではしてないと思うけど…。もうあの匂いは嗅げないのかな…。」
「…それでもなお挑もうとするお前に関心する。」
香りに誘われる
「そんなに奴の匂いが好きで嗅ぎたいのなら、もう堂々と公表して堂々と嗅げるようにしたらどうだ?」
「それは彼にダメージになるからしない…。隙を見て嗅ぐよ…。」
「お前が嗅いでる間に向こうもお前の匂いを嗅ぐのだからWinWinだろう。
向こうもお前の匂いが好きそうな様子だが」
「あ"ぁー! 恥ずかしいからそんな事言わないでー…!」
「ならば諦めるのか?」
「諦めない!」
「…。」
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