クリスマスだからね
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今日はクリスマスイブ
一年に一回だけ、夕ご飯を作らなくて良い日です。
ディナーは皆お出かけしたり、食べに行ったりするので作っても意味ないのだ
ナナはポポと遊びに行って、プリンはファルコと大乱闘をするとの事であたしは一人暇してます
誰でも良いから遊びに誘うなり、食べに行くなりすれば良いけども
レディ軍団は大概相手が居ますし、居ない人だって大好きな人達と遊んだりしてます。
良い例はロゼッタとインクリングがヤンガーズとパーティしてるって感じで
特に一人は寂しいわけではないけど、やっぱり日も日だし
「皆から取り残されてる」という所に虚しい感じになったりします
これがクリスマスマジックなのでしょうか…。
「ごきげんよう子猫ちゃん」
「!」
一人屋上でぼんやり星を眺めていた所、何処からか声が聞こえてきた
「あらー? もしかして一人なのかしら?」
「そうですけど…。というかベヨネッタもフリーなの?」
「私は皆の恋人、皆は私の恋人だから今日みたいな日は誰とも居ないわ」
そう何処からか飛んできたベヨネッタ
彼女のレベルになれば、そんな恐ろしい事言ったっておかしくはない
彼女は相手が誰であろうと平等に、妖艶に接するのでね。
「それに、私が神様の誕生をお祝いするわけないじゃなーい」
「確かに。」
それが一番最もらしく、誰もが納得できる理由ですね。
「それにしてもユズちゃんは寂しくないのかしら?
皆は一緒にわいわい騒いだり、好きな人とデートしたりよろしくやったり
今日明日じゃないと出来ない事もあると思うのだけどー」
「まぁプリン達はプリン達で忙しいし、あたしは相手も居ないフリーだし
正直言うとそこまで寂しいとは思ってないかな」
「そーう、まぁそれが良いならそれでも良いんだけどねー。
折角だから今回は貴女から彼を誘えば良いじゃなーい、何時も良くしてくれるんでしょー?
私だったらお礼兼ねてとりあえず彼を誘うけどねー、一人は寂しいじゃなーい?」
「そ、そうなんだけど」
確かに彼の事を考えると、お礼という感じでご飯を誘うとかはアリだなぁ
「誰がどう見てもユズちゃんをエコヒイキしてるでしょ?
まぁ基本女性には優しいけど、飛び抜けてユズちゃんを優遇してるわ
ユズちゃんの好き嫌いもよく覚えているし、お喋りも楽しそうだし、ピーチちゃん達は「あれは絶対好きね」ってよく話題にしてるわ
分かりやすく好意ぶつけてるのに、誘わないのは勿体無いわよ。」
「そ、そうかな…」
確かにベヨネッタの言う通り、自分で言うのはアレだけど
彼はあたしの事が好きなのか? って思わせるような言動をしてる
プリンもそう言う、ナナもそう言う、ルキナもそう言う。
…だから逆に言えば、ここであたしから誘って断るなら
完全にあたしを遊び相手としておちょくってるという事だ。
これはちょっと真相を探りたくなってきた…。
「ちょっと何か誘ってみようかな」
「そうね、それが良いと思うわ。」
「うん、ありがとうベヨネッタ」
一人で妙な退屈感、虚しさに塗れて終わるよりも
これは楽しそうで自分の為になりそうだ。
とりあえず中庭のミュウツーから彼の居場所を聞き出すと
どうやらルフレの部屋でパーティ擬きをしているらしい。
…流石にその中に飛び込んでいく勇気は無いな。
「気持ちは分かるが、今はそこに居るから仕方ない」とのミュウツーの後押しで
渋々ルフレの部屋へ向かった
部屋に着く前からワイワイしてる声が聞こえる
扉の前に着いたけど、中の楽しそうな騒ぎようったら水を差すのは悪い気がする。
恐る恐るドアノブを回すと、鍵は掛かっていない様子
ゆっくり扉を開くとお菓子ジュースを囲んで楽しそうにお喋りしてるエムブレム組が目に入った
ちょっと様子を見ていたら
丁度向かいら辺に座っていたルフレがこちらに気が付いたらしい
「あれユズちゃんどうしたの?」
「あ、あぁ…」
気まずくなって静かに扉を閉める
途端、部屋の中からドタドタ音が聞こえてきた
そして勢い良く扉が開いた
「ユズ、どうかしたのか?!」
出てきたのはルキナだけど、えらい凄い勢いで来たな…
「ルキナ、テンション高いね…。
エムブレム組でパーティしてるの?」
何時のもクールな感じはどこへやら、満面の笑みの彼女は珍しい
途中、ルキナは嫌な笑みを浮かべる
「ロイか…? ロイに用があるのか…?!」
「…。」
「分かってる分かってる…!
さっきもユズの所に行かないのか? って話をしてたんだ…! 来てくれて良かったよ…!」
「正直ルキナの言う事は合ってるんだけど…、ちなみに皆はご飯を食べたの?」
「あーうん…、食べたっちゃぁ食べたけど…
それくらいならホイホイついて行くって…!!」
「なんでルキナがテンション上がってるのか分からん。」
また閉じていた扉が開くと、今度は笑顔のロイが出てきた
目的の人だけども、もう来てしまったのか感が否めない
「どうしたの?」
「ユズがお前に用だとよ! ご飯のお誘いだぞ!」
「違うんだけど…。」
「それは行かないとね。皆にはルキナから言っといてよ」
「任せろ!」
何が「任せろ!」だよ…。
ウキウキルキナは飛ぶように部屋に戻っていった
さて、ここからが問題なのですが…。
「呼び出して早々申し訳ないんだけど…」
「どうした?」
特に用事っぽい用事はないんだよね…
何せ「あたしから誘って、受けるのか断るのか」
それだけを目的に動いていたので、この先は未定だ。
結果はお誘いを受ける。と分かったので、むしろ戻ってもらっても良いというか…。
これから何をすれば良いんだ? あたしは何を言えば良いんだ? 彼に何をお願いすれば良いんだ?
あ、そうだ
ベヨネッタが言ってじゃん。
何かお礼すれば良いんだ。
やっと結論に至った時、置いてけぼりだったロイは何故か笑っていた
「ごめんごめん、ロイには何時も良くしてもらってるから何かお礼がしたいなって
皆でワイワイしてる所に悪いけど…」
「大丈夫だよ、その内君に会いに行くつもりだったし。
…それで、お礼?」
「そうそうお礼、まぁ急な話だからあれだけど
何かこれ欲しいとか、してほしいとか、叶えられそうな希望があればどうぞ」
「うーん…」
「まぁ別に今日じゃなくても良いし、決まったら教えてよ
そりゃ今パッとなんて出てこないよね…」
良い感じで切れたし、お腹も空いているので「じゃぁこれで」とサクッと会話を終わらせる
立ち去ろうとしたら腕を掴まれて制止された
「そのお願いはなんでも良いの?」
「希望があればね」
「なーんでも良いの?」
「…常識良識の範囲内でね」
「まぁまぁ…。ちょっと星を見に行こうよ」
「星?」
先に行っててと言われたのは屋上
確かにここからなら綺麗な星々が見えるけど
それにしてもさっきはベヨネッタが居たんだけど、今はもう居ないのだろうか?
ベヨネッタと喋った場所で声を掛けて辺りを見回すけど、返事も無いし誰も居なそうだった
そこから外や空の風景を眺めていると、何か紙袋を持っているロイがやってきた
隣に来たんだけど、何時もよりもえらい近い距離…。
「ユズにプレゼントがあるんだけど」
「え?」
ロイの方を見ると、謎の紙袋から小さな箱を取り出した
何だろうと見ていると中にはまた、よくある感じの箱
思ってた通りの蓋の開け方をすると、シンプルでありながらも可愛い指輪が出てきた
「え”ぇー?! それは流石に悪いよー!」
「左手出して」
驚き半分焦り半分。
何処で買ったのか知らないけど、雰囲気とか流れのせいでやたら高価に見える
これは逆に貰わないと失礼になるんじゃないかって、思わず左手を出す
取り出した指輪はあたしの薬指にはめられた
「ふ、普通は中指とかじゃないの…?
というか、なんでサイズ分かるんだ…! ミュウツーか…?」
何か彼は答えていたけど、言葉は右から左
申し訳ない気持ちでいっぱいで改めて指輪を見ると、やっとデザインを認識出来た
これは大事にしよう。
でないとロイにも指輪にも申し訳ない…
「…喜んでくれてるみたいで良かったよ」
「ロイ…、あたしは貴方にこのレベルのプレゼントは用意してないよ…」
「別に良いよ、お返し目的で渡したわけじゃないからね。
さてさて、ユズへのお願いは何にしようかなー」
言葉にドキッとして彼の方を見ると、爽やかにニコニコしている
この顔では何を考えているのか分からない。
軽いお願いをしようとしてるのか、非道な事をしようとしてるのか
まぁでも何時ものロイなら凄い優しいし、紳士だし、真面目だし
安心と実績を兼ね備えているから畜生みたいな事はしないと思うけど
でも今日という日もあって、なんか進展も欲しいと思う自分だったりする。
…こういうイベントの時って気持ち変わるから不思議ですねー
「あたしにも出来る事にしてよ?」
「分かってるよ。
ところでさ、僕って何時もユズの為に頑張ってると思わない?」
「…。」
これは、答え次第であたしへの要求の難易度が変わりそうだ…。
「だったら今日くらいユズも僕の為にしてくれるよね?」
「あたしにも出来る事と出来ない事がありまして…」
「…さっき僕にお礼がしたいって言ってたよね?」
「そ、そうだけど…。」
あっ、ここは常識良識の範囲でって答えるべきだった…。
と、思っていたら間を詰めてきたロイ
咄嗟に防御で腕を出すと、一応止まってくれた
「はは、どうしたの?」
「い、いや何でもない…」
「それじゃぁ聞くけど、続きをしても良い? それとも止めて欲しい?」
「そ、それは…。」
「返事が曖昧って事は良いって事でしょ?」
「…。」
本当よく分かってるよ、そして紳士だよこの人は。
身体ごと抱き寄せられると近付く彼の顔
結局大きく拒まず、口付けを受け入れてしまった
暫く思考が止まってたけど、気持ちも落ち着いてきた…
てっきりもっと短く済むと思ってたけど、まだ離れそうにない
最初は熱なんて感じなかったけど、急に唇に他人の体温を感じるようになった
いよいよ友達という線を越えてしまったんだなぁ、と思う所もあり…
でもどこか嬉し恥ずかしという乙女な感情を持つ所もあり…
気が済んだのか、身体はそのままだけど口を離される
そのまま何も言わずに頭を抱き寄せられた
「熱いわねー、貴方達本当に付き合ってないのー?」
「「!!」」
突然の第三者の声に驚いて、ロイの腕の中から飛び出る
慌てて辺りを見回すと凄い近くにベヨネッタが居た
「えっ、ベヨネッタ何時からそこに居たの…?!」
「ずっとここに居たわよ、まぁ多少移動はしたけど」
チューされてる時よりも胸が高鳴ってるわ
ロイを確認すると、彼は大してどうとも思って無い普段顔。
慌ててるのがあたし一人とか馬鹿みたいだ。
落ち着こうと黙っているとベヨネッタは笑う
「それにしても吃驚したよ、さっきあたし呼んだのに返事しなかったの?」
「その時はここじゃなくて館の壁面で皆の部屋を覗いていたから、返事はしてないわ」
「覗きって…! あんたは何してるんだよ!」
「覗きも終わったから戻って来てみれば、貴方達よ」
「…。」
変な人に見られてしまったわ…。
そりゃピーチやプリンとかに見られるくらいなら、ベヨネッタで良いんだけどさ
「それで貴方達はそれでおしまいなのかしら?
この後、部屋に戻って皆みたいにイチャイチャよろしくしないの?」
「えっ…?! そ、それは流石に…。付き合っても無いし…」
「指輪貰ってキスもしてたのに?」
「そういう事言うんじゃないよ…!」
流石にその先の事は考えて無かったし、目を反らしてたけど
明らかにベヨネッタはその話をしてる。
屋上を出た後の気まずさはとてつもないよ…!
「そ、そうだった、あたしお腹空いてるんだよ…。
流石にそろそろご飯が食べたいわ…。」
「あらまだ食べて無かったの? じゃぁ一緒にディナーに行くのかしら?」
「いやいや、何か自分で作って食べるよ…。」
「まぁお料理デートも良いわね」
「そういうのじゃないんだけどなぁ…」
とりあえずここに居るのは気が進まないしご飯を食べに行こう
ロイに行こうと伝えて出口へ向かう
「頑張ってねー」と和やかに手を振るベヨネッタだけど、何を頑張れというのか…。
館内に戻って扉を閉める
途端にロイが飛びつく様に抱きしめてきた
「吃驚した…、ど、どうしたの…?」
「本当は皆とある程度ワイワイした後に、君に会いに行こうと思ってたんだけど
まさかユズの方から来てくれるとは思って無かったよ、ありがとう」
「あ、あぁそれはこちらこそ…」
「しかも何かお礼がしたいって…、そんな事気にしないでも良いのに…」
「まぁ何時も良くしてもらってるのは本当だからね」
抱きつくのを止めて離れたロイは、先に階段を降りていく
途中こちらに振り返った
「調理室に皆が買ったり用意したりしたご飯があるんだ
お腹空いてるんでしょ? 持ってきてあげるから僕の部屋に居てね」
そう言って彼は下の階へ降りて行った
言われた通り、ロイの部屋を目指してる途中にハッとする。
「そうやって上手く自分の部屋に連れ込むと…。
もしも意図的だったら自然過ぎて怖いわ…」
何の疑いも無く彼の部屋にお邪魔しようとしてたわ。
しかしあたしに他の当ても無いし、自分の部屋に行ったってそっちに来るに決まってるし、行くには行くのだけど…。
…というか折角のクリスマスイブだから、何か変な気分で居るのは良くないな
もしかしたら本当にやましい事は無く、楽しいお喋り会になるかもしれないし
よく分からないけど彼も嬉しそうだったし、水を差すような態度は良くないな。
自分の両頬をバシバシと叩いて考えを改める
…これもクリスマスだから良いかって思わせる、クリスマスマジックですかね?
クリスマスだからね
ロイの部屋でミニパーティ
元々誰のか分からないけど、美味しそうな食べ物を前に喋り明かす
「ふぁあ…、眠くなってきた…」
「もう日を越してるからね」
「そろそろ寝ようかな…、ゴミ片付けるね」
ベッドを背もたれの様にして床に座っていたのだけど
目に見えるゴミを片付けようと立ち上がる
「そんなの後で良いよ」
そう追って立ち上がったロイに腕を引かれ、ベッドに押し倒された
「ここまで来て何もしないで帰すわけないじゃん」
「あはは」
あーあ、結局こうなってしまうのか…。
まぁ絶対に無いとは言い切れないし、どこか期待してた自分もいるわけだけどね。
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