掴み・掴まれ
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いっぱい食材買ってきて出来た大量の空箱
何回かに分けて持っていくのは面倒くさいので、まとめてごみ置き場へ持っていこうと思う。
綺麗にまとめて抱えたら前が見えなくなってしまった…。
でも流石に前からこんなのが来たら、皆避けてくれるよね?
…と、思っていたのだけど
転送室の近くらへん、何かにぶつかって持ってた箱を全部落としてしまった
ガタガタと音を立てて分離していく段ボール達
まさか直進の廊下なのに…
部屋の扉の前というわけでもないのに…
「ご、ごめん!」
「だ、大丈夫だよ、あたし前が見えなくて…」
「そりゃ前見えないでしょ、僕がちゃんと前を見てなかったから」
衝突したのはロイだった
珍しく今、彼は一人らしい。
段ボールをまとめて積み直す
改めて抱えると、視界を邪魔していた段ボールが移動した
「半分持ってあげるよ」
「ありがとう、何回も運ぶの面倒くさかったんだよね」
という事でお手伝いをつけて、改めてごみ置き場へ向かった
「なんかロイが一人で居るのって珍しい気がする。
何時もマルスとかアイクとか、エムブレム組と一緒なイメージがある」
「うーん…、間違ってはないけど…」
「方向的には転送室から出てきたんだよね?
まさかトイレに行こうとしてたのに、お手伝い優先した、とかじゃないよね?」
「違うよ、ちょっと気晴らしに部屋を出てきただけ」
「気晴らしですか」
ごみ置き場、段ボールの山の中に新たな段ボールを加える
なんかよく分からないけど、彼は鬱憤が溜まっているらしい
お手伝いもしてくれたし、ここはあたしが一肌脱いでやろうと思う。
「それじゃぁお手伝いしてくれたお兄さんに、お礼の品をあげよう」
「別にそんな大した事してないよ」
「まぁまぁ。良い気晴らしと言ったら「食べる」事だよね、特に好きな物とか。
マスターと食材いっぱい買ってきたから今なら何でも作れるよ。さぁさぁ行きましょう!」
誘ったのに断られるとあたしのメンタルがボロボロになるので
ここは無理矢理連れて行く為に彼の手を掴み引いて、来た道へ駆けた
「今お腹はどのくらい空いてるの?」
「まぁまぁ空いてる」
「なんか食べたいのある? なーんでも作れるよ!」
「そうなの?」
凄い自信たっぷりに表現すると、終始無感情だった彼はやっと笑った
得意な物で良いよと彼は言ったので、間髪入れずに冷蔵庫に向かう
別に既に作ってたとかではありません
言われた通り得意な物を作るのだけど
それだけじゃつまらないので、さらに彼好みの物にアレンジしようと思います!
「すぐに出来るからそこに座っててね」
ある程度の材料を持ってキッチンへ
あたしの得意料理プラス彼の好物、これで彼の心は気分晴れ晴れ!
良い気晴らしになるに違いない
何時もとはちょっと違う作り方だけど、それっぽく作りあげた
「へいお待ち! カレーピラフのオムライス!
…の、量が何時もよりもちょっと少ないやつ!」
スプーンとプレートを持って駆け寄ると、彼はまた笑う
「これはオムライスなんだけど
ロイはカレーが好きらしいからね、ご飯をカレー味にしたよ。かなりスパイシーだけど」
「ありがとう」
正直、創作料理みたいなものなので味はどうなのかは不明だ
一口食べた彼はとても驚いた表情をしたので、へんな緊張感があたしを襲う
「…これめちゃくちゃ美味い」
「本当…?!」
「うん、物凄く美味い」
まぁ彼のテンションが1.5倍くらい上がっているみたいなので、嘘は言ってないと思う
どうやら好物作戦は成功したようだ。
これで多少の鬱憤がなくなれば良いね
自分もルンルン気分で料理の後片付けに向かった
量は少なめだったからか、お腹が空いてたのか、はたまた想像以上に口に合ったのか
思ってたよりも早く空プレートを流しまで持ってきてくれた
「ごちそうさま」
「どう? 良い気分転換になった?」
「そうだね、とても美味しかったよ」
「途中で味見した時、あたしには辛すぎて堪らんかったのにね。」
「そうそう、僕は辛い物が好きだからね、よく知ってるね」
「最近ね、「ロイは辛い物に強い」とルキナから聞いて、ちょっと前に試しでとあるおかずを改造したんだよ。
ロイは全く動じず食べててさ、敗北を悟ったよね…、あたしは負けたんだって…。」
「何と勝負してたの」
「何してくれてるんだ」って怒るかもと思ってた内容だけど
最後のクッションがちゃんと役割を果たしたのか、彼は大笑いしていた
「また作ってあげるからね、食べたかったら言ってね」
「はは、ありがとう」
多少は気が紛れたのかもしれない
さっきよりも彼の表情が明るくなっていた。
「僕も何か手伝うよ」
夕ご飯の片付け中、三人で雑談していると部屋に誰かがやって来た
三人でそちらを確認すると、それは珍しくもロイ一人
なんだろうと首を傾げていると、彼はそう言った。
あたしとナナは皿洗い役、プリンがその皿を拭く役をやっている
ので、誰かと言われればプリンの方が人手を欲しがっていると思う
そして思った通り、あたし達の近くまでやってきたロイにプリンは飛びついた
「よく分からないがありがとう! それじゃぁイケメンはプリンと皿拭きだー」
「珍しく受け入れが早いねプリン」
「見たい映画があるんだよー
皿洗いは二人だから皿拭きをお願いしたいぞ!」
「あ、そしたらロイさんに皿洗いをお願いしようかな?
私とプリンで皿拭き係りすれば、片付けも早いでしょ?
ロイさんは皿の置き場所とか知らないと思うし」
という事でナナは皿拭き班に加わり、ロイが皿洗いに参戦する事になりました。
「それにしても、突然どうしたんだイケメン。
「お手伝いするよ」って、なんかダメな物でも食べたのか…?」
「…いや、…気分転換。」
「気分転換でわざわざ面倒臭い仕事をやろうとするんだから、相当嫌な気分だったんだな…。」
「前々からちょっとその場面を見かけたり、ルキナから話を聞いたりしてたけど
三人のやり取りはとても面白いよね、見てて笑っちゃうよ。」
「成程な。プリン達三人のハピハピハッピーな気を浴びたいというわけだ。
良い気を貰って元気モリモリ! グッドチョイスだ!」
「私というよりユズちゃんと、殆どプリンが…」
「あたしもプリンの語彙力と話術には関心するよ…
プリンの面白さは天性の物だと思う、あたし達じゃ到底届かない世界だ」
「そうかな? 僕はさっきオムライス作ってくれた時、君の話し方はちょっと面白いと思ったよ」
「良かったじゃないかユズちゃん、ここから修行だな」
水切りバスケットに皿がだいぶ溜まったので、それを二人の所に運ぶ
流石に二人掛かりだと片付けが早く
さっきまでテーブルの上に積まれていた皿は、既に棚の中
「それにしてもロイさん、ルキナさん達の所に行かなくて大丈夫ですか?」
「何時も病気かって程、エムブレム組で大乱闘しているよな」
「うん…、大丈夫…。」
「なんだなんだ…、全然大丈夫じゃないじゃないかぁー…
悩みでもあるのか? お姉さん達に言ってみなさい。」
「プリンと私は一応分類的にはヤンガーズだよね…。」
「…うーん、…今回は止めておくよ」
「あたしでも空気読もうとしたのに…。誰にでも触れられたくない所があるんだよ…
プリンだってファルコとの事言われたら「黙ってろ」って言うでしょ」
「その通り。焼鳥の話題はタブーだ。」
「どうしたの? 二人は喧嘩したの?」
「あーいや、皆付き合うだ付き合わないだうるさいんだよ…。
プリンと焼き鳥は! 決して! そういう関係ではないのであって!」
「えっ?! …僕はてっきり付き合ってると思ってた」
「どうしてだぁーッ!!」
「どうしてって、日頃の様子? マルス達もそうだって信じて疑ってないよ」
「ほら見ろプリン、対して関わり無いエムブレム組ですらそう思ってるんだから
もう二人はその道しかないって。」
「こ、これは対策委員会を立ち上げなければならんな…。」
「なんの対策委員会…?」
そう問いかけても、プリンは口を真一文字に閉じていた。
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