お互い様?
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さっきまで大乱闘をしていたのだけど、全く酷い試合の数々だった…
何時もなら勝ち負け半分くらいだというのに今日は大負けした、負け越しまくった。
もう思い返す程イライラする
切り札溜まったと思ったらバーストさせられたり
アイテムの巻き添えくらわされたり、本当色々な負け方をした。
とんでもなく気分が悪いので、いったん大乱闘を抜け出して気晴らしをしようと思う。
何個かお菓子と飲み物を手に図書室に向かう
…まぁ目的は図書室の隠し部屋ですけど。
今回は読書というよりDVD鑑賞
今夜は18禁恋愛ドラマパーティです!
現実逃避には、多少の過激さも必要だから。
それと例の部屋に居座って
「誰が入ってるんだ! 何時まで居座ってるんだ!」って輩達を締め出して笑ってやります。
前にピーチ達とその部屋の話をしてたのだけど、
一つの作品で凄まじい胸キュンの多さ、思わず悶えてしまう内容の数々。
何度「この世に本当にこんな恋愛があるのか…?!」と思った事か。
ちょっと押せ押せで男性が女性に詰め寄ってるシーンを見て
何度「あたしだってこんな恋愛してみたいわぁ」と思った事か。
とりあえずまたその力を借りて嫌な事を忘れましょう。
図書室には誰も居なかった
例の部屋の入口付近に来て先客の有無を確認すると、どうやら部屋の中も誰も居ないみたいだった
これはオールナイトで楽しめると思う。
お馴染みの本を取り出して、パスワードを入れる
そして出て来た扉の中へ素早く侵入した
「えへへー、オールナイトだー」
と、ワクワクしながら部屋の中に入って数歩
ここから見えるテレビ画面は付いている
パッと見、内容は事前が事後
それと同時にベッドのある所からこちらを見ているロイが目に入った
「失礼しましたーっ!!」
と、飛ぶ様に部屋を後にした。
まさか先客が居るとは思ってなかったんだ…。
扉ロック掛かってなかったから、そりゃ空き部屋だって思うでしょう…?
何で扉開けっ放しでお楽しみしてるんだって…
それが分かってたらあたし絶対に部屋に入ってませんから…
あれは彼の自業自得でしょ?
大丈夫大丈夫
顔しか見えなかった、何をしてたかは見てないから…。
気持ちを落ち着かせる為に、とりあえず館内を速足で徘徊する
…当てなんてありません。
この行き場の無い感情を、歩行にぶつけます
「ユズ…! ちょっと待って…!」
「!!」
一階の至る所を行ったり来たりすると
ちょっと離れた所に、さっき見た赤髪が立ってるのが目に入る
その人は今まで走ってたのか、まぁまぁ息を切らしてた
「ちょっと待って…! ちょっと待って…!」
そして物凄い速さで駆け寄って来た
「あ、あたしは、お兄さんの邪魔をするつもりはなくてですねー…!」
「分かってるよ…! 僕が扉の鍵をかけ忘れてたからでしょ…!」
「あ、あああたしは、何も見てないからね…!? 大丈夫だからね…っ!!」
テレビ画面とこちらを覗いてる彼の顔は見たけど
それ以外は本当に何も見てません…!
あたし自身は何も悪い事はしてないと思うけど内容が内容で、とてもじゃないが彼の顔が見れない…。
「変な事してないから…! ただDVD見てただけだよ、誤解しないで…!」
「分かった…! 分かった…!」
無心で分かったと答えたものの、そんな言葉を信じろという方が無理である…。
大体あの部屋はそういう部屋であって…
「あの部屋を使いたいんだろ? 僕はもう良いから誰かが来る前に行った方が良いよ」
「えっ…?! あ、あたしは大丈夫だよ、もう大丈夫…」
「そうなの…? なんかオールナイトするって言ってたよね。
その持ってるお菓子とかもそういう事でしょ」
「あ、あぁ…、そ、そうだね…」
手に持っていたお菓子とジュースを見たら、少し気持ちも落ち着いてきた
冷静になった今だから分かるけど
精神的に何か負ったのはあたしだけではなく、彼もまた被害者である。
寧ろあたしより彼の方が可哀想だろう
見られてないにしても、お楽しみの最中に邪魔されるなんて…
明日、彼の夕ご飯にお詫び入れておこう…。
「本当に申し訳ない…、本当に申し訳ない…。」
「別に良いって…! 変な事してないから…!
それにお互い様だろ…、君もあの部屋に来たんだから、それが目的なんでしょ…?」
「あ、あたしは大乱闘大敗の気晴らしで来ただけであって、目的が違うので…!」
「いやいや、そういうものしかないでしょあの部屋…。」
「いやいや…! 男性向けの物と女性向けの物は違うから…!
素晴らしい胸キュン満載のストーリーがメインだから…! それ以外はおまけ程度だから…! 今度見てみなよ…!」
「そんな必死になったって…」
本当の事を言ってるのだけど結果弁解してるっぽくなってしまって、
そんなあたしを憐れんでるのか、苦笑いしてるロイ…
なんとも言えない、この苦い思い…
とりあえず正気を取り戻して咳ばらいをする
これ以上必死になって何か言っても、ダメな方向にしかいかないだろうから
「ごめんごめん…、あたし頭ピヨッてたよ…、ちょっと落ち着いた…。
次からはちゃんと戸締り確認するんだよ…?」
「分かってるって…!」
という事で顔を真っ赤にしているロイを置いて、図書室の方へ向かった
部屋は空いたらしいのだけど
この一件のお陰で大乱闘大敗のイライラは吹き飛んでいきました…
ので、あの部屋に用は無くなりました。
でも一応「図書室に向かう」という形だけは残しておかないといけないから
この後は図書室の本を読みたいと思う。
お互い様?
例の部屋を覗くと本当に誰も居ませんでした
本棚を戻した後、その場で他の本を立ち読みをしていたのだけど
何人かのファイターがここにやって来ると、何もしないで帰っていきました
立ち読みしてるあたしに軽く挨拶をしてくるから、どうしたのかと聞いてみれば
「なんでもないよ」と立ち去る者もあれば、言葉を濁す者もあり
皆はこの部屋に入る所をあたしに見られたくないんだろうな
これはこれで本来の目的の一つだった「部屋の占領」が叶ってるみたいで、面白いっちゃ面白いけども。
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