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プリンとナナ、あたしの三人で緩ーい大乱闘をしていたら
途中、ニコニコしたルキナがこちらにやってきた
「お前等面白い大乱闘をしてるな、アイテム縛りか」
「そうだぞ。今のはアイテムのみの攻撃縛りをしてたんだー
ユズちゃんはポンコツだからこういう感じの大乱闘をしてるんだ」
「ポ、ポンコツ…?」
一言余計なプリンだけど、その通りあたしは大乱闘が下手糞である。
「そう言えばお前達とはあんまり大乱闘をしないな。
折角だから私達と大乱闘しないか?」
「プリンは良いぞ! 二人はどうだ?」
「私も良いよ。ユズちゃんは?」
「あたしは皆の大乱闘を見守ってるよ…。」
「そんな事言うなって、正直ユズと大乱闘した事無いから戦ってみたいんだ」
「…今プリンがポンコツって言ったの聞いてましたよね?」
話を聞いてるの分からないルキナに無理矢理連れられて
あたし達三人はエムブレム組の所にやってきた
大して仲良くも無いのに、六人はやたらウェルカムな感じだ
彼らは口を揃えて言うのです。「お前と戦った事ないから」と。
正直あたしは全く乗り気ではない…。
いかに自分かポンコツか
今までの戦歴を皆に見せてそれを説明をすると
「じゃぁ最初は優しい人達から」という、全く意味の無い慈悲を頂いた
あたし、プリン、ナナ、ルキナ、マルス、ロイ、ルフレ、カムイ
このメンバーが優しいらしいので、この8人で乱闘をする事になりました
せめてもで汚い戦い方の出来る射撃タイプで戦おう…。
終点での戦いですが、気合いの入ってるプリンとナナは
何時もあたしと大乱闘してる時とは全く違う動きをしている。
何時もはもっとゆったりしてる感じだけど、今は忙しない
遠くでサボろうものなら誰かから文句が飛んできそうなので、あたしも適当に近くの塊を攻撃しよう。
PCではありえない様な動きをしている皆に、ドン引きながらも飛び具を連発していた所
物凄い速さでプリンが上に吹っ飛んで行った
どうやらシールドブレイクをしたらしいのだけど、帰って来たプリンは激おこだった。
「おマルー! ぶっ飛ばす!」
そう叫ぶと、プリンは一直線にマルスへ飛んで行った
「あーくそっ!」
「どうしたのルキナ、熱くなって」
「うるさいっ! お前鬱陶しいぞ!」
そんな会話が聞こえていたと思ったら、プンプンルキナは急にルフレを狙い始めた
何時の間にか出来上がっていたプリンとマルスの一騎打ちとルフレとルキナの一騎打ち
残された四人は四人で混戦をしていたけど
カムイはナナの相方、CPポポを執拗に攻撃している
全くナナは相手にされてる感じが無くて、いよいよナナが口を開いた
「カムイさん、本体は私ですけど」
「知ってるよ、相方が居なくなった君なら簡単に倒せるだろう?」
「…。」
関係無いあたしだって「そんな事言うなよ」と思う様なその内容
途端にムッとしたナナは、カムイ目掛けて突っ込んでいった
ナナもまた、今まで見た事無いような立ち回り…
相方要らないのでは? と思う程だ。
という事で残されてしまったあたしとロイ
本当はとても嫌だけど他の六人がそれぞれに夢中なので、ロイと戦う事にしよう
…一騎打ちの最強相手なのに。
とりあえず無抵抗にやられるわけにはいかないから、今までに無いくらい真面目に戦う事にします。
「…」
「…」
慣れない一騎打ち、慣れない相手
攻撃しても、なんか離れてるし何時の間にかジャンプしてるし
突っ込んでいくと、それに合わせた動きで返り討ちにされるし
じゃぁ飛び具で牽制をと思っても、全く効果無く間合いを詰められるし
戦ってる途中途中で「次はどうしよう」と考えを練ってるあたしと違って
彼は終始、全く苦も無さそうな表情
元々ダメージもあったし、結局ものの20秒くらいであたしはバーストしてしまった
復帰台に乗って、よく分からない感情でステージに戻る
そこからステージを見下ろすと、見た事無いような戦いが三つ目に入った
…あたしがここに参加するには色々早過ぎではないのですか?
戦いたくないなぁとギリギリまで復帰台に乗っていたけど
何時かは落とされるし、いつの間にか下にロイが居るし
さっき一騎打ちしてた所がまだ空いていたから、アームロケットでそっちへ目指して飛んだ
クルクル回りながら着地を目指す途中
合間の一瞬で目に入ったのは、凄い足の速さで目の前まで駆け寄って来てたロイ
それに凄い驚いて、息が詰まり身体が固まった
変な着地した瞬間に叩きこまれた横スマッシュ
ちょっと吹っ飛んで、ワンバウンドして、体勢を立て直そうとしたら
もう目の前には大きく剣を振りかざしてるロイが居た
状況把握が追いつかないで場外に飛ばされる
復帰しようと思ったけど、追撃に来てたロイに気付いたらコントロールミスして復帰に失敗してしまった
10秒もしないでまた復帰台に乗ってる状態
それは余りにも一瞬の出来事だった
無心で下のステージを見ると、変わらず凄い戦いをしている三組と凄い速さで駆け寄ってきているロイ
「きゃあぁ!」
それがもう怖いし、驚きで思わず悲鳴が漏れてしまった
驚き飛び跳ねたから台から落とされる
無敵状態の間に今度は混戦してる反対側へ走って逃げたけど
その途中、何かから攻撃を受けて前に飛んだ
プリン達の戦いの間を抜けてきたからマルスの攻撃を貰ったのかと思ったけど
体勢を立て直して振り返ると、目の前にはまた大きく剣を振り下ろしてるロイが居た
…何故かその光景が酷く目に焼き付いた
また場外に出されてしまったから復帰を目指す
今回は追撃しないのか、彼は崖際に立ってるだけ
アームロケットを使ったのだけど、思っていたよりも全然下に向かって飛んだ。
信じられない話だけど、凄い短い時間で3回もやられてしまった
復帰台に乗って帰ってきて、大揺れな気分を落ち着けようと深呼吸をする
そうしてやっと手が震えてる事に気が付いた
それを見てどんどんと悪い緊張感に襲われる
ふと、視界の端に入ったのは猛スピードでこちらに駆け寄って来た赤髪
「ぎゃああぁっ!!」
驚きのあまり台の上で腰を落とすとそのまま消える台
そしてステージ中央にしりもち落下した
「ちょっと驚き過ぎでしょ」
「…」
今回は剣を振るっていないけど、さっきの残像がはっきりと目に浮かんで身体が固まる
何か彼は突っ立ったまま何かを喋ってるけど、何故かよく聞こえない
とにかく距離を取る為に立ち上がろうとしたけど、全く足腰が動かなくなっていた
このままではマズいと、そのままアームロケットで空いているステージ端の方へ飛ぶ
勿論着地出来ないからステージにぶつかって止まった
丁度ステージの外側を向いた体勢で、視界の先には誰も居ない
腕付いて身体を起こすと、何時の間にか赤髪の人が目の前でしゃがんでいた
「っ!!」
頭の中が真っ白になって息が詰まる、苦しいくらいに息が止まる
彼は何か喋ってるけど、言葉がよく聞き取れない
色々な光景が目に浮かんで、思わず顔を横に向けて遠くの風景に意識を集中させた
「ユズ、何してるんだ?」
無心でステージの外を見ていた所、ルキナの声が聞こえて来た
パッと声のした後方に振り向くと、ダメージ150%のルキナがこちらに歩み寄ってきた
ちなみにルフレは復帰台に連れられて丁度ステージに戻って来た所だ
「ル、ルルルキナ」
自分でも笑ってしまう程震えた声が零れると、ルキナは首を傾げた
「お前こんな所に座って何してるんだ?」
「動けないんだよ、立てないんだよ」
「えっ?」
側までやってきたルキナが手を差し出してくれたので、その手を取る
そして立ち上がろうとしたけど、まだ足腰に力が入らなかった
「おいおい大丈夫か?」
「多分大丈夫だけど…」
「ロイー、お前何したんだよ」
こちらを見ていたルキナは視線を上げる
二人が何か喋ってる間、ルフレもこちらに歩み寄って来た
…不意打ちでルキナをぶっ飛ばすんじゃないかって睨んでいたけど、特にそんな素振りは見せない
「三人ともどうしたの?」
「あぁ、何かユズとロイがしゃがんでいるから何してるんだって来たんだけど
ユズが腰抜かしてるのか立てないんだと」
「え? またどうして?」
「分からん。」
「おーい、どうしたんだー。お姫様ごっこかー?」
またまた耳に入って来た新しい声はプリン
ダメージたっぷりで湯気立ったプリンはこちらに飛んでくると
手を繋いでいるあたしとルキナを交互に見る
「違うぞ、何だお姫様ごっこって…。」
「あぁプリン、一騎打ちに勝ったんだね凄いね。
何か立ち上がれなくなっちゃって…、回復待ちなんだよ」
「は? 運動不足で酷使し過ぎたか?」
「違うよっ!」
何時ものふざけたプリンを見たらちょっと気分が落ち着いて来た
プリンに強めの突っ込みを入れると、そのままバーストした
その入れ替わりでやってきたのは、何故かニコニコしているマルス
復帰台に突っ伏してたプリンは勢いよく顔を上げると、不満顔でこちらにやってきた
「ユズちゃん! 何するんだ! プリンはか弱いんだぞ! 手加減しろよ!」
「ご、ごめん、まさか攻撃判定になるなんて…」
「まぁまぁ、とりあえず僕達が手を貸すから、立てそう?」
「どうしたの? ユズちゃん怪我したの?」
「い、いや…、怪我じゃないんだけど…」
何か集団に囲まれると、皆が腕やら胴やらを抱えて起こそうとしてくれた
プリンなんて、ルキナに抱えられて出来た足の間に入って膨らんでるものだから椅子みたいだ
面白くてプリンにずっと座っていると、「早く立てよ」と文句垂れたプリンは急激に縮む
バランスを崩して後ろに倒れそうになった所、なんか後ろの人が支えてくれた
「きゃああー!!」
「「「!」」」
視界に居たのはルキナ・ルフレ・マルス
プリンは下に居たから後ろに居るのはあの人なんだけど、驚いて反射的に彼を腕で弾いて前方に居たルキナに飛びついた
「お、おい! なんだよ急に叫んで」
「ル、ルルルキナさん…。」
「怯え過ぎだろ、何がそんなに怖いんだよ、ロイか?」
「そんなに怖がらなくても大丈夫だって、ロイは僕より優しいよ?」
「ユズちゃんは事前にいかに自分がポンコツか熱弁してただろう?
お前ちゃんと手加減したのか?」
心を無にしてルキナの甲冑をじっと見ていると、またプリン達が何かを喋り始めた
深く聞かない様に甲冑を見続けているとルキナがあたしの肩を叩いた
そのまま後ろを向かせてきたものだから、後ろに振り返ってしまった
そこにあったのは大きく剣を振り上げてる赤髪の姿
「ぎゃああぁー!!」
何故このタイミングで攻撃を!?
驚いて声を上げると、さっきまで剣を振るっていた筈なのに
凄い驚いた表情で突っ立っている彼が目に入る
「お、おいお前、そこまで驚くか…?!」
「…」
「な、何してるんですか?」
慌てて視線を甲冑に戻すと、今度はナナの声が聞こえてきた
ルキナとルフレの間を割ってやってきたナナは、凄いボロボロだった。
「なんか凄いユズちゃんの悲鳴が聞こえてきたんですけど」
「あ、あぁ…、なんかロイを見たら急に驚いたみたいで」
「ユズちゃん、ロイに失礼だぞ。
確かに簡単に村を焼こうとする人間だけど、今はただ突っ立ってるだけだぞ?」
「…。」
何も答えられず、じっとルキナのぺったんこ甲冑を見つめる
もう後ろなんて見れたもんじゃない…。
「皆で何してるの?」
無敵状態のカムイもこちらにやってくると、タイムアップのカウントダウンが始まる
ルキナが何か喋っている途中で時間切れになると、そのままリザルト画面に転送された
赤髪の人が優勝したらしいのでとりあえず心を無にして拍手をしておこう。
足腰は復活したみたいなので、プリンナナを置き去りに、逃げる様に転送装置を後にする
試合を見ていたのか知らないけど、あたしに気付いたクロムは笑い声を上げた
「お前だいぶ酷くやられていたな、手も足も出ないとはあの事だな」
「…。」
何も言えずに部屋の扉の方へ向おうとしたけど、何故かアイクにとうせんぼされた
「おーいユズちゃーん、待ってくれー!」
後から駆けてやって来たのはナナとルキナ、それと飛んできたプリン
とうせんぼされてるのであっさりと三人に追いつかれる
「ユズ、そんなにロイに怖い事されたのか?」
「俺は大乱闘部屋を覗いていたが、ユズは相当ボコボコにされていたな」
「ユズごめんな…、私から後で厳重注意しておくからロイを許してやってくれ」
「…。」
許してやるも何も、あたしは別にその人に怒っているわけでは無い
「そうだよ、ロイは優しいけど気が利かないだけ、ちょっと張り切り過ぎただけさ。ねぇ?」
そりゃあ勿論その気持ちは分かるよ、最初に皆があたしと戦った事無いって張り切ってたから
「今度はちゃんと手加減するってさ、まぁ当たり前の話だけど」
正直、今となっては手加減も糞も無い。
何か一生懸命訴えかけてくるルキナとプリンだけど、これはもう自分一人の力ではどうにもならない。
「ごめん、暫く無理…、暫くの間は大乱闘は置いておくよ…」
「「えぇっ!?」」
「心を強く持つんだユズちゃん! 誰しも最初から強いわけではないんだぞ!
プリンだって最初はポンコツだったんだ!
ぶっちゃけ今もなおプリンは最弱の名を欲しいがままにしてるんだぞ!」
「しょ、正直、強い弱いの話じゃないのよ…」
「えっ? じゃ、じゃあなんでだ…?」
この試合でプリンとナナにはえらい気を使わせていた事が分かった事。
確かに皆最初は強くなかったかもしれないけど、絶望的に実力の差があった事
そして何よりも、あの赤髪の人がトラウマだ
何時の間にか目の前まで来てるし、気付いた時にはもう剣でぶった切られてるし、その光景が酷く心にこびり付いてしまった
その人を見ただけで剣を振り下してる光景が目に浮かんでしまう
こちらは全く手も足も出ないのに、無慈悲に下された強力な戦意
それにあたしは恐怖と絶望を刷り込まれました
つまり、もうあたしは大乱闘をしたくないのです。暫く皆の顔を見たくないのです。
思い出してしまうから、特に赤髪の人。
「ま、待ってくれ! せ、せめてあと一回、チーム戦で大乱闘しよう!
私達がイメージを挽回してみせるから…!」
「いやいいよそんな事しなくても…、あたしとチームになった人が可哀想…」
「それは大丈夫! ロイと組めば良い。ロイが強いのはお前も知ってるだろう?」
「!!」
衝撃的な内容に思わず息が詰まった
あたしが? あの赤髪の人とチーム?!
無理無理無理…!!
後からやって来てた例の赤髪の人は、何かを喋りながらこちらにやって来た
「いやああぁーっ!!」
それに驚いて真後ろに居たアイクにしがみつく
後ろなんて見れたもんじゃない!
こんな所で剣を振るわれたら死んでしまう!
アイクに顔を埋めて震えるユズに、ルキナやプリン達は険しい表情で顔を見合わせた
「(しまったな…、上手く交流を持たせようとしたが、トラウマになってるのかも…)」
「(あーあ、折角のチャンスだったのにやらかしちゃった…?)」
「(ヤバいな…、これじゃぁユズちゃんはマイナスからのスタートじゃないか…。)」
プリンは細い目で、困惑しているロイの足をはたいた。
マイナススタート
その日の夜、転送部屋でプリンとエムブレム組が休憩スペースでお喋りをしていた。
ちなみにナナはユズと一緒に居て、ユズを転送部屋に来させないようにする仕事の真っ最中。
「どーするんだー! お前が気になるって言うから折角プリン達が交流の場を設けたのに
ユズちゃんはお前がトラウマになったじゃないかー…! 一体何をしたんだよ…!」
「彼は彼女をボコボコにしていたぞ、見てるこっちが止めに入りたくなるくらいにな」
「ご、ごめん、気合い入り過ぎた…」
「あのユズちゃんの怯えた表情、相当怖がっていたよ。
途中で腰抜かすし、アイクに飛びつくくらいだもんね」
「かなりのマイナススタートだね、これは挽回出来るの?」
「うーむ、凄い時間が掛かる気がする…。
仕方ない…、ここはピーチにも相談して作戦を練るとするか…」
「本当にロイのイメージは良くなるの?」
「ここはプリンとピーチに任せろ!
この件は必ず解決して、お前の汚名返上名誉挽回させてやるからな」
そうプリンは真っ直ぐな表情で言い切ると、苦笑いしているロイの手を取り握手をする
それを見て、周りの人達も苦笑いを浮かべた
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