彼女の居場所は
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夕ご飯後の片付けを済ませて、プリンがユズちゃんの方へ駆け寄っていった
「ユズちゃん、大乱闘しようよー」
「あぁ…、今日はちょっと…。」
「今日はちょっとって、最近毎日それじゃんかー!
部屋に引きこもって何してるんだよー。」
物凄く不満そうにユズちゃんに詰め寄るプリンだけど
ユズちゃんは軽く笑って流すと、何も教えてくれないまま部屋を後にした
「…流石にアレはおかし過ぎる。」
「そうだね、ロイさんなら何か知ってるんじゃない?」
「あぁそうか! 奴なら引きこもってる理由知ってるかも」
ユズちゃんとロイさんはちょっと前に付き合い始めた仲で
その前からずっとユズちゃんは、ロイさんへの想いを私達に話してくれていた
最近はあんまり一緒に居る所を見ていないけど、多分彼なら何かしら知ってるはず
もしかしたら大きな喧嘩をしたのかもしれないし。
張り切るプリンと二人、ロイさんを探しに転送部屋に向かった
「あ、居た居た」
剣士さん達は大概大乱闘をしてるから、というプリンの読み通り
ロイさん達エムブレムグループは転送部屋にいた
休憩してるのかお喋りしているのか、休憩スペースにロイさんが居る
私も駆け寄っていくプリンの後をついていく
「なぁロイ、最近ユズちゃんと何かあったのか?」
「えぇ?」
「ユズちゃん部屋に引きこもりっきりで全然会えないんですよ
何か喧嘩でもしたんですか?」
「いや、そんな事はないけど…?」
「「え?」」
「ロイ、お前全然構ってないから拗ねてるんじゃないのか?
お前は私達と大乱闘ばっかりだ。」
そう細い目で彼を睨むルキナさん
それを聞いて思わず首を傾げた
「ロイさんはユズちゃんと大乱闘はしてないんですか?」
「え、あぁ…、まぁ…。最近何か誘いに来なくなったし…。」
パッとしない返事をするロイさんに、プリンは「あーもう!」と声を荒げた
「お前引きこもりの事情は知らないのか?!」
「うーん…、僕には分からないな…」
「なんだよ…! 本当乱闘ばかりだし、デートしてるのも聞いた事ないし…!
お前本当にユズちゃんと付き合ってるのか―…?!」
明らかに不満いっぱいになったプリンに手を引かれ、二人で部屋を後にした
結局何も分からなかったので今度は中庭に向かう。
途中、ユズちゃんに電話を掛けたけどやっぱり出なかった
中庭を覗きこむと、すぐに私達に気付いたらしいミュウツーさん
こちらに目もくれず手招きをする
「ミュウツーは何か知ってるのか?!」
「なんでユズちゃんは引きこもってるんですか?」
「…ロイは何と言っていたのだ?」
「え? えぇっと、何も知らないって…。」
「…まぁそうだろうな」
「「??」」
それっきりミュウツーさんは口を閉ざしてしまった。
…それだけじゃ私達には何も分からない。
ロイさんが何かを知ってるというわけじゃなかったし、一体答えは何なのか。
プリンと顔を見合わせた後、ミュウツーさんに文句を言い出すプリン
黙ってその様子を見ていたミュウツーさんは、少ししたらこちらに顔を上げた
何か私に言いたい事でもあるのかと思ったけど
その視線は私の後ろに向けているのに気付き、振り返ると中庭扉の所にロイさんが居た
「あ、あれ? ロイさん、ミュウツーさんに用ですか?」
「あぁまぁ…、皆に言われて連絡取ってみたんだけど、電話出ないし、返事も無いし
ミュウツーなら何か教えてくれるかなって思ったんだけど」
そうロイさんはこちらに歩み寄る
途中、「フン」と引き捨てるようにミュウツーさんは声を上げた
「丁度良いから三人揃うまで待っていただけだ。
それでお前等の聞きたい事、ユズが引きこもっている理由の答えは「夢中になってる事がある」からだ。
三人なら話してくれる可能性はあるだろうから、お望み通り外に出してやる」
「…??」
なんか違和感のある言い回しだけど、引きこもってる理由は何となく分かった。
それにしてもロイさんや私達を後回しにするほどに夢中になる物って一体なんだろう?
「転送部屋に呼んでおいたから、そこで何か聞き出せると良いな。
…まぁ半分くらい手遅れだろうが。」
「…手遅れ?」
相変わらず謎な事を言うミュウツーさんは「行け」という言葉を最後に、姿を消した。
仕方ないので言われた通り三人で転送部屋に戻る…
「ユズちゃんを転送部屋に呼んだって言ってたけど、本当か?」
「いや、流石にミュウツーさんは嘘吐かないでしょ…。」
「おいロイお前、頼むから何かユズちゃんから情報を引き出してくれよ?」
「うん…、分かってる…」
部屋を覗くとミュウツーさんの言う通り、本当にユズちゃんも部屋にいた。
今はルキナさんと話してるようで、聞こえてくるのはルキナさんが一生懸命謝罪をしてる内容。
「ロイがスマン」とか「これからは独り占めしても良いからな」とか、お詫びや慰めなんだけど、ユズちゃんは話の意味が分かってるのか分かってないのか、ただ笑ってるだけだ。
「おぉユズちゃん! 大乱闘したかったんだよー!
引きこもりなんてしてないで、たまには運動した方がいいぞ。」
そう嬉しそうにプリンはユズちゃんに飛び込んでいった
まずはブランク解消をという事で、あまりガチガチに戦っていない怪獣組の所にユズちゃんはお邪魔する事になった。
アイテムありだし切り札チャージもある、ワイワイルールな大乱闘。
なのだけど…
「…ユズさん、目に見えてやる気ないですね。」
ユズちゃんと交代で休憩に入ったヨッシーさんが部屋を覗きながらそう呟いた
なんだろうとプリン達と部屋を覗いてみると
ユズちゃんは戦いもせず、ステージの端でおっとっとをしているだけ。
誰かが吹っ飛ばされたりして近づいて来れば、比較的人の居ない場所に移動をして、反対側が空けばまたおっとっとをする
…飛んできたアイテムや他の人の切り札は綺麗にかわしているけど、全く攻撃する雰囲気は無かった。
「本当だな…。引きこもり所か大乱闘もしなくなったぞ…。」
「じゃぁ次の試合はチーム戦にしてみたら?
一人だと戦わなくてもと思うけど、チームだったら流石に戦おうと思うんじゃない?」
「そ、そうだな!」
マルスさんの提案に、プリンは急いで部屋を設定する
時間切れになって、何もなかったかのような状態で帰ってきたユズちゃん
プリンはすぐさま捕まえて再び部屋に押し込もうとしている
「ちょ、ちょっとプリン…、流石に休憩したいよ…」
「お前戦ってないんだから疲れてないだろ。
プリンも一緒だ! 早く行くぞナナ!」
「う、うん…」
今度の乱闘はロイさん、アイクさん、ルフレさん、カムイさん相手にプリン、ルキナさん、私、ユズちゃんという4対4の試合
早速試合が始まって互いに突っ込んでいく中、ユズちゃんは崖の方へ移動する
まさかこれでもおっとっとをするのかと思ったけど
サムススタイルで来ていたユズちゃんは、こちらに振り返るとミサイルを撃ったりチャージショットを撃ったりしている
ユズちゃんが崖の方へ移動してる時、プリンが注意しに向かってたようだけど
結構な援護射撃に何も言葉が出なくなってしまったのか、足を止めていた。
「くそっ! あの援護砲が鬱陶しいな…!」
「ちょっとロイ、ユズを止めて来て!」
「あぁ分かった!」
ただ単に撃ってる感じは無く、明らかに敵を狙い撃ちしている援護砲
上手い追撃もしてるし、私達が囲まれピンチになったらチャージショットで道を開いてくれる。
それはもう圧倒的なこちらの優勢で、相手の方が遥かに早くダメージが増えていく
ルフレさんの言った通り、ロイさんはユズちゃんの方に向かっていった
普通に続けてくると思っていたけど、援護砲は止んだようだ。
「その援護は結構痛いから止めに来たよ」
「…サムスってこういう役割ではないの?」
「いや、違うと思う。
それよりもちょっとブランクがあるんでしょ? 手加減するから僕と戦おうよ」
「………分かった。」
スーツを着ているので、表情は確認できないけど
あんまり乗り気じゃない様な声色でユズちゃんの返事が聞こえてきた
「よしよし、これでユズちゃんはロイと戦う事になったな。
最強が消えてプリン達にも光が見えたぞ」
「その前に僕達凄いやられてたけど。」
暫く、何も無く普通の大乱闘をしていたけど
先にユズちゃんがやられたらしく、復帰台に乗ったユズちゃんが帰ってくるのが目に入った
「馬鹿野郎もっと手加減してやれよ…! ブランクしてるんだから…!」
「あ、あぁ…。」
「いやいや、別に手抜かなくて良いから」
戻ってきたユズちゃんの表情は相変わらず分からないまま
さっさと台から飛び降りると、ロイさんの方へ向っていった
「手を抜いてくれてるのはよく分かるから」
「それよりユズ、何時も部屋に引きこもって何してるんだ?」
「え? うーん、さぁ?」
「二人も心配してるよ。
引きこもるなら、せめて理由を教えてやれば良いのに…」
「あはは、そうかな?」
「…僕の言ってる事、意味分かってる?」
「分かってるよ?」
「…。」
途切れ途切れ聞こえてくる二人の会話だけど
…何でこう、噛み合ってない感じがするんだろう?
「…そういえば悪かったよ、あんまり相手してあげてなかった事
皆に言われてハッとした。本当にごめん。」
「あぁ別に気にしてないよ」
「…そうなのか?
折角だから、この大乱闘終わったら何処か一緒に出かける?」
「あたしはいいや、やりたい事があるし」
「…」
…まさかの言葉に驚いて、思わず試合そっちのけでユズちゃんの方を見る。
チャージショットを溜め終わってエネルギー音が止むと
それと同時に、後ろから聞こえていた様々な音も止んだ
「おいユズちゃん! どうして断るんだよ!?」
同じく相当驚いたらしいプリンはスーツに飛び付き、そのまま揺する
どうしたどうしたと、アイクさんやルキナさん達もやってきた
「嬉しくないのか?! どうしてなんだよ!」
「ちょ、ちょっとプリン…、あんまり揺らさないで…」
「折角のロイからのお誘いなんだぞ?! どうしてっ!?」
「なんだ? 何があったんだ?」
「え、えぇ…、ロイさんがこの後一緒に出掛けようと誘ったんですけど
ユズちゃんが断ったから、プリンが驚きを隠しきれなかったみたいで」
話の内容に四人も多少は驚いたようで、ルキナも「どうしてだ?」と呟いた
一方的な取っ組み合いに目を戻すと、顔の方へ移動していたプリン
「おーい!」とユズちゃんの頭を叩いていた
特に答える事無くあははと笑うユズちゃんに、プリンは無言で離れると
そのままユズちゃんに横スマッシュを叩き込んだ
チーム戦なのに…。
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