始まりは突然で、甘いとは限らない。
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「なぁユズ、ちょっとお願いがあるんだが…」
「どうしたんですか?」
図書室で漫画を読んでいたら、やってきたのはルキナ
何やらお願いをしてきたのですが…
「ちょっと大乱闘に付き合ってくれないか?
何故かマルス様が一騎打ちを誘ってきたんだけど、恥ずかしくて一人じゃとても無理だ…
ルフレ達は疲れたから休憩してるんだ…
お前は見てるだけでも良いし、適当に戦うのでも良いから一緒に部屋に入ってくれないか?」
「??」
話を聞いたけど事情はよく分からなかった
何故あたし指定なのか?
そんなに皆忙しかったのかな? 皆疲れてるのかな?
しかしあたしは暇なのでとりあえずお助けをしよう
それにマルスとルキナの一騎打ちは興味ある
大乱闘部屋に一緒に向かうと、そこにはエムブレム組が居た
「マ、マ、マルス様…! ユズが一緒に戦ってくれますっ…!」
「あぁユズちゃんだね、よろしく。
といっても僕は戦うわけじゃないんだけど」
「は、はあ…」
ルキナはマルスの事を神と仰いでるのは知ってる、皆知ってる、マルスも知ってる。
しかもポーカーフェイスが苦手らしいルキナは、マルスを前にするとこういう感じにガタガタになるのだ
見ている方は面白いのだがルキナ的にはたまったもんじゃないだろうな
「そんでどういう事情なの?」
ガタガタしているルキナの側によって、小声で話しかける
「あ、あぁ、マルス様に一騎打ちを挑まれてな…」
「僕の名前を語る者、腕を見てあげようと思ってね」
「ちょ、ちょっと一対一は…」
「なるほど、恥ずかしいと。」
「う、うるさい…」
「という事は、あたしはステージ内でルキナを応援していれば良いってことですね?」
「ま、まぁ出来ればそうしてもらえると嬉しい…
でもとりあえずお前の暇つぶし相手でロイも居るから、応援に飽きたら戦っても良いからな」
「そんな…、最強を置いていかれても…」
4人大乱闘かと思えば何故かチーム戦だ。あたしは勿論ルキナと
Miiファイター格闘タイプで部屋に潜ると早速始まった
ロイ、自分、マルス、ルキナという位置でスタート
これは端っこ同士で戦う事になりそうですね
ロイと離れた所でスタートしたなら、応援を先にしようと思っていたけど都合が良い
早速と自分の拳を突き合わせてロイと向き合った
「ルキナとマルスの付き添いだけど、本気でやるからね」
「望む所さ」
正直、大乱闘は沢山やってきましたが
一対一というのはあまりやってきませんでした
でもこれも良い機会、一対一こそ、己の真価を問われると思う
………相手が相手なんですけど。
一人を集中してという戦い
互いに攻撃は当て当てられなんだけど、少しずつダメージの差が開いてく
勿論あたしの方が押され気味
まぁ一騎打ちの神って皆言ってるもんね、当たり前か
あたしよりも遥かにロイの方が強いと思う
一騎打ちは数多くしない素人な自分だけど、それも彼は手を抜いてるんじゃないかって思う動きだ。追い打ちもして来ないし、深く追撃してこないし。
やはり戦い慣れをしてる人は違うね…
相手してもらっているのに虚しくなるくらいだよ…
「あなた本当に強いね」
「ユズもね」
「お世辞は結構ですよ」
彼は鬼畜ですな。
あんなピョンピョン跳ね回って近づいたかと思えば離れてるし、意味が分からない。
小ジャンプして近寄ってきたので、予想してスマッシュを叩き込む
しかしロイがやったのはカウンター
試合が始まってから一回も使ってなかったから全く持って頭からカウンターの存在は無かったわ。
今までに体験した事無い速度で、あたしは場外送りになった
「くそっ! カウンター!」
なんかムカムカして乗っていた乗り物に一発パンチを食らわせる
まぁ、カウンターも戦術なので仕方ないのですが
ルキナはどうした? とメインの二人を見てみれば、あたしと同じみたいで少々ルキナが押されていた
でもダメージ的にはかなり接戦
何時、どちらがやられてもおかしくない様子
ステージに降りて、元々戦っていた方に寄ってルキナ達の試合を見る
するとすぐに後ろからデカい攻撃を叩き込まれた
「いたっ! 何すんだ!」
「え?」
「今はルキナを応援するんだよ…! ちょっと待ってて…!」
「あ、あぁ…」
分かってくれたらしいロイは一旦剣をしまってくれた
近くにやってきたと思ったら、ロイも一緒に観戦するようです。
「マルスがルキナに一騎打ち挑むのって初めて?」
「いや、結構前に一騎打ちしてたかな? 最近は無いけど
皆で大乱闘してて、二人が残ってというのは何回かあるけどね」
「突然腕を見てあげるってなんだろうね、なんか気味が悪いね…。」
「あはは。…というか本当はマルスがルキナにお願いしたい事があるみたい。
内容は分からないけど自分で「凄い内容だから、普通に頼んでも聞いてくれないと思う」って、この勝負で僕が勝ったら言う事を聞いてもらうってさ。
その代わり僕が負けたら何か言う事を聞いてあげるって、よくあるやつだね」
「なるほどー、それはルキナもウハウハですねー」
ルキナ的には、勝てたら夢のようなお願いを叶えてもらえるし
負けたらマルスから命令されて大興奮だな
「二度と関わらないで」という感じの命令でなければ、ルキナ的には何でもご褒美だろうな
心酔、陶酔とはおめでたいですね。
それに思わず笑ってしまった
「どうしたの?」
「いやいや、何でもないよ
マルスはルキナをどう思ってるんだ? 玩具かなんかと思ってるの?」
「い、いや流石に玩具とは思ってないよ」
暫し素晴らしい戦いを見ていたら、なんとルキナのスマッシュが決まった
マルスもまた凄い速度で場外送りになった
途端、ルキナは剣を落として膝を付く
「珍しいね、マルスがルキナに負けるなんて」
「そうなの?」
「うん、今まで色んな一騎打ちを見たけど、ほぼマルスが勝ってたよ」
そうなんだ、と思っていたその時
「やったー!!」というルキナの叫び声が聞こえてきた
どうやら身体全部で喜びを表現しているらしく、思いっきり足場を何度も叩いていた
凄い喜んでるなぁ…。
「はは、いよいよ負けちゃった。強くなったねルキナ」
「マ、マルス様…っ!」
「勿論賭けは君の勝ちだけど、一騎打ちもう一回お願いするよ」
「も、もちろんです!」
今回の大乱闘はストック2のルールです
だから二人はもう一回素晴らしい一騎打ちが出来るんですね。
わーいと場外に飛び込んでいくルキナ
乙女ですねー、微笑ましいですねー
「それじゃぁそろそろ僕達も戦おうよ」
座り込んで観戦していたのだが、そう言うとロイは立ち上がった
「お兄さんも戦うの好きねー」
「まぁ真剣な勝負は面白いよ
そうだ、僕達も賭けをしない? 勝ったら一回何かお願いを聞くって事で」
「えっ!? …か、構わないけど。」
…まさかロイがそんな事言うとは思わなかったな。
彼はそのまま場外に出て行った
「ユズも一発」
「?」
どうやら、あたしにダメージが入ってるので同じくらいのダメージを受けたいとの事でした
同じようにスマッシュを叩き込むと、見事同じダメージになった
「よしよし、今度こそ勝てる様に頑張ろう」
そう言って、また拳を突き合わせた
…表面上そう言いましたが、勝てるとは1ミリも思っていません。
それよりも気になる事があるのです。
ロイが自分から賭けをしようと言ったのだから、何か目的があるのかもしれない
例えばマルスみたいに叶えたい事があるとかね
まぁ内容はどうであれ、あたしはロイのお願い事に興味があるのだ
修行の相手なのか、欲しい物があるのか、夕飯のメニューか
やって欲しい事があるのか、はたまた「何にもないよ」に至るのか
もしかしたらなんか良いラブイベントに至るなんて事も
まぁ何にせよ、命令権の使い道が気になるのです
でないと100%負けるって分かってるのにこんなの受けませんよ
わざと負けるのはアレなので、さっきみたいに真剣に戦います
真剣にしようがしまいがあたしは負けるに決まってるので。
ご機嫌を損ねない様に、それっぽい本気風をね
でもやはりロイの方が優勢…
真面目にやってるから悲しいが、負けるのを目的としてるので都合は良い
でもそれにしても「ロイのお願い事は?」という邪念が邪魔してくるな
場外に吹っ飛ばされて復帰途中
崖の所にはロイが居る、その先にはルキナ達が戦っている
のだが、確認してみると今回の試合はマルスが圧倒らしく
ルキナは150もダメージがあるのに、マルスは30も無い。しかも丁度ルキナがKOされていた。
驚きながらも、メテオを仕掛けてきたロイをかわして場外に戻る
そしてステージの端の方で、突っ立って此方を見ていたマルスの方に向かった
「マルス、今の一騎打ち何?
最初の一騎打ちは手を抜いていたの? だとすれば何の為?」
互いの攻撃が当たらない程々の距離で立ち止まり、彼に問いかける
ルキナが手を抜いたとは考えられないな
マルスとの全てを全力で挑む彼女ですから、勝ち確定の二戦でも全力でやるはず
なので初戦でマルスが手を抜いたのは確実なんだけど
その命令権の提案はマルスだったはず、どうして提案者が負けるような事をするのか?
「さぁね?
…それにしても君もどうしてロイとの賭けを受けたんだい?
君は自分が負けるって分かっているでしょ? 君は物好きだね」
「…。」
…なるほど
もしかしたらマルスも「ルキナのお願い」に興味があったのかもしれない…
けど、それをわざわざ自分から誘ってまでする事かなぁ…?
「まぁ、…お宅等の事情には首を突っ込まない方が良いね」
そうロイの方へ振り返ると、ロイは律儀に待ってくれていた
「マルスと変わってあなたはとても優しいね」
「僕は優しくないよ?」
「えっ…」
まさかの真面目な返答…、思わず変な声が漏れてしまった…。
ま、まぁあんまり深く考えないでおこう。
そう気を取り直してロイとの乱闘に戻った
試合は勿論あたしの負け
真面目にやろうがなんだろうが、自分ではロイに勝てそうにないな…
部屋に戻ってくると、相変わらずわなわな振るえてるルキナ
勝ったのにお願いするのが忍びないのか、彼女はずっと黙って震えたまま
言い出しづらいんだろうな、と悟ったらしいマルスの方から尋ねてきた
「それでお願いは思いついた?」
「あっ、あの…! その…!!」
途端に顔を真っ赤にして、俯くルキナ
これじゃぁ話が進まないぞ…
「おっ…! おっ…!!」
「お?」
「おっ、おひっ…!!」
「「「??」」」
…「おひ」とはなんだ?
もしかしてと思い、ルキナの方に寄って彼女にしか聞こえない声で尋ねた
「もしかしてお姫様抱っことか…?」
そう適当に聞いてみたら、どうやら当たっていた様で彼女は無言で頷いた
なるほどなるほど。
それはとても乙女で可愛いお願い事だね、お姫様抱っこだなんて
まぁ突然マルスから「何でも言う事聞いてあげる」って言われたようなものだから
こういう感じになるのは妥当なのかな?
特に防具とかもつけてない現在なら、マルスも楽々出来そうだし
「お姫様抱っこしてほしいんだって、可愛いですよね」
笑いながらマルスの方を見たら、マルスも笑い出した
途端にルキナは顔を手で覆う
「分かったよ」とマルス笑ったままルキナに近づくと、そのままひょいっと持ち上げた
「これをして欲しかったの?」
「―――…っ!!!」
何も答えられず顔を真っ赤にして息を切らしてるルキナですけど、同じ部屋にルフレが居るんだぞ…。
そんなの見せつけられてルフレも嫉妬するんじゃないかって、休憩しているルフレの方を恐る恐る見てみると、ただ大笑いしているだけだった。
良かった、ドロドロ三角関係は無いのかここは。
二人の方はもう大丈夫そうなので、今後はあたしがロイの方へ向かった
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