苦手な人
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大乱闘中なのですが、例の苦手な人も一緒だ。
もう彼はイケメン過ぎて見てられない、イケメン過ぎる。イケメンだ。
大事な事だから何度でも言う。
好きか嫌いか、尋ねられればそりゃ好きなんだけど
どうしても恥ずかしくて、あの出来過ぎた顔が見れないんですよっ!
故に大乱闘なのに、彼以外の方々へ突っ込んでいます…
その試合が終わった後すぐ、乱闘部屋から逃げるように飛び出た
その様子を見ていたプリン達がこちらにやってきた
「ユズちゃん相変わらず分かりやすいな」
「うるさいよ!」
何時もこういう感じでからかってくるプリン
何も言い返せないから、プリンを掴んで良く揉んでやった
さてさて、彼が帰ってくる前に、早く逃げよう。
どうせまたからかってくるから。
それにしてもまったく!
聞いた話では、皆が「彼は参加しないよー」って言っていたのに
ちゃっかり今の乱闘に参加していたじゃないか!
もう思い出すだけでも恥ずかしくて、八つ当たりでより強くプリンを揉む
「ギャー! 助けてー!」
「ナナ! お菓子を食べに行くよ!」
「え? え?」
ああだこうだしていたら戦っていた三人が帰ってきてしまう
こんな風船無視して、とっとと逃げるべきだった…。
手中のプリンはそのまま、慌てるナナ一緒に転送部屋を後にした
「ユズちゃんのイケメン苦手は治りそうにないね」
「サムスやデイジーをツンデレだって言ってる自分もツンデレじゃないか」
「分かってるって!」
本当はあたしだって、マリオピーチみたいに仲良くしてみたいよ。
まあ付き合っているわけじゃないんだけどね!
それにしてもこのツンデレの元は、照れなのでしょうか? 緊張なのでしょうか?
どうしたら無くなるのでしょうか?
言った通りにリビングで三人、お菓子を食べながら映画を鑑賞する
「プリンもこんな恋愛してぇなぁ」
「プリンにはファルコさんが居るでしょ?」
「仮にあの糞鳥だったとしても、こんな恋愛は出来ないな」
「そりゃぁ二人ともツンデレだからね」
「うるさいぞ。 …ん?」
途中、プリンの無駄なお喋りが止まった
何かに気付いたらしいプリンは「ちょっと待ってろ」と言って部屋を出て行った
ナナと二人、顔を見合わせる。
「どうしたんだろうね?」
「さぁ?」
特に追いかける事もしないで、二人で映画鑑賞を続ける
ちょっとと言った割には、時間が掛かってるのか
全然帰ってこないプリン
「大丈夫かなー…」と呟いてすぐ、ナナはあっと声をあげて黙り込んだ
「どうしたの?」
「ユズちゃん、ちょっと待っててくれる?」
「えぇ?」
ナナも何か思い出したらしく、その言葉を残して部屋を出て行ってしまった
よく分からないけど、誰かと何か約束でもしたのか?
…それともあたしにサプライズでもしてくれるのか?
なんてあり得もしない事に一人笑う
笑っていたらすぐ、突然別の人が部屋に入ってきた
それに驚いて思わず飛び跳ねる
…って、お前かい!!
「ユズ、全然戦ってくれないね」
そうニコニコしながら、凄い速さで隣の席に着くのはロイ
そうです。この人です。あたしはこの人が苦手です!
嫌いじゃないんだよ?!
好きなのは好きなんだけど、問題はこの出来過ぎた顔です…。
ろくに直視出来るものじゃありません…。
…というか、あの二人怪しいな?
ナナが出て行った後すぐにこの人来たから
口裏合わせていたか、彼の存在を見つけて空気を読んで出て行ったか。
それはありがた迷惑だぞ!
気持ちどころか身体も距離を取る
本当に彼には申し訳ないんだけど
彼の存在はあたしには刺激が強すぎるのです…!
「はは、ちょっと、どうしたの?」
「う、うーん…」
あたしは明らかに避けているのです…、分かりやすく避けているのです…
でもこの人は飽きずにこう来るって事は「嫌いだから」じゃなくて、「照れてるから」って思っているのでしょうか?
…まぁそれは当たりなのですが。
ルキナがマルスに過剰反応を示すのですが
理由は違っても、あたしにはその気持ちが痛いほど分かります
そんなマルスと同じような感じで、あたしに接してくるのでしょうね
どうですか? 玩具があるのは?
さぞかし楽しいでしょうね
見てられないと、ロイとの間に手を出して壁を作った気でいる。
上手く顔が隠れるような手の位置
顔が見えなければ大丈夫なのでね…
何時も通り笑ってからかってくるものだと思っていた所
無言でその手を掴まれると、腕はソファーに押さえつけられた
驚きが勝ってロイの顔を見る
…それと同時に彼はぐっと顔を近づけてきた
反射的に叫びそうになったが、それも分かったらしく
もう片方の手で口を押えられた
「しー」っと静かにするよう言って、笑ってる彼だけども
状態が状態で訳も分からず、許容量を越えたのか、自分でも驚く程の涙がボロボロ零れた
本当、泣くつもりはなかったのだけど
いよいよ口を押えている手にも涙が当たると
彼の何時ものニコニコ表情が、とても驚いた表情に変わった
「ごめんね…?! そんなに嫌だった…?」
そう彼は慌てて涙を拭ってくるのですが…
…この人もこういう面があるんだね。
おかしい程彼は動揺していて、「ゴメンねゴメンね」とずっと頭を撫でてくる
これは自分の中での明らかな立場逆転
思わずおかしくて笑うと、つられて慌て半分でロイも笑う
「どうして笑ってるの?」
「いや、何でもないよ」
まぁいつも余裕があってイケメンで、好きは好きだが取っつき難いと思っていたけど
なんか弱い面というか、間抜けな面というか
意外な一面を見ておかしく思わないわけがないよね
そんなの理解できていないのか
焦りだの疑問だの笑ってるのか、全部混ざったよく分からない表情をするロイ
一生無理じゃないか? と思っていたけど
いつの間にかあたしは、彼を真っすぐ見れるようになりました
「ごめんごめん、困らせる為に泣いたわけじゃないんだけどね」
「いやいや、僕の方こそゴメンね? まさか泣き出すとは思ってなかったよ」
少し落ち着いた様子を見せる彼ですけど、なんか可哀想だな
面白い玩具が一つ、無くなってしまったようですよ
すっかり平気になったので、映画の方に目を戻す
隣の人と言えば、体勢を戻して
今度はそこから顔を覗き込んできた
「ユズ、僕の事嫌いになった?」
「いや、全然。」
だってさっきのアホ面と言ったら…、そりゃぁもう…。
「そう? …それなら良いんだけど」
「あぁ、でも前みたいな感じは無くなったかな」
「前みたいな感じ?」
「うん。前は君の顔見るのも恥ずかしくてアレだったけど、もう平気になった」
「そうなの?」
「残念だね。面白い玩具が一個なくなって」
そう今度はあたしがニコニコしながらロイの方を見た
…本当にこんな事が出来るようになるとはな。
対して彼は真剣な表情
「僕はユズを玩具だなんて思ってないよ?」
なんか真面目な表情も初めて見たし…
…今度は向こうが何かに覚醒したのか?
「そりゃ、確かに多少はからかっていたけど
僕はそういう酷い目で見てない。」
「多少はあったのね…」
「僕はユズの事が好きだよ?
反応も面白いし、だからからかっていただけなんだ」
「…」
発言に驚いてロイを見る。
相変わらずの真剣な表情…
…だったのに、何故かどんどん顔が赤くなっている彼。
そしてボソッと呟いた
「ごめん…、今のは忘れて…」
「いやいや! 忘れるとか無理でしょ!」
彼は彼なりに何かに必死だったのね。
おかしくて大笑いすると
どんどん顔を赤くして、しまいに彼は俯いてしまった
ねぇねぇお兄さん、どうして立場逆転したの?
苦手な人
「最近ユズちゃんはロイの前でも全然平気だな」
「そうだね」
「変わってロイさんがおかしくなったよね。
まるでマルスさんを前にしたルキナさんみたいな感じ。挙動不審。」
「そうだな。前のユズちゃんをからかっていたアイツは何処へ」
「本当、何処へいったんだろうね。」
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