ドライですねー。
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朝ご飯を作った後、リビングで昼寝をしていた所
アラームをセットしていたというのに、二度寝をしてしまった!
今日のお昼からベレトと外出初デートの約束をしたのに
時間を確認すると、約束した待ち合わせの時間は過ぎている
これは絶望してる場合ではない
飛ぶようにリビングを後にした
余裕を持って行動をするつもりだったのに、なんて事だ!
ベレトに正直に寝坊したとメールを入れながら、部屋に飛び込む
こんなになるんだったら、昨晩の内にある程度の準備をしておくべきだった
荷物とか、洋服とかの事。
スマホをベッドの上にぶん投げた後、クローゼットに飛びつく
「どんな服で行こうかな」って悩むのもデートの楽しい所ではあるけど
そんな事を言ってる場合ではない、もう適当で良い。
何時も選んでいるようなお出かけ服を引っ張り出し
着ていた服を脱いだ後、洗濯物かごへ投げ捨てる
それと同時に、部屋の扉のノックする音が聞こえてきた
「ユズ、入るぞ」
「えっ?! ちょっと…!!」
こちらの返事を聞くまでも無く、扉を開けてやって来たのはベレトだった
せめて「はい」「いいえ」の返事を聞いて欲しかった…!
丁度服を脱ぎ捨てて下着姿だってのに、なんでこのタイミングなんだよ…!
とんでもない…! とんでもない事だ…!
持っていた洋服で慌てて身体を隠すと、彼は何とも思って無さそうな感じで扉を閉める
「何で返事を聞かないで入るの…!」
「悪い」
と、全く悪いと思って無さそうな返事
「向こう見ててよ」と必死感を出しながら訴え掛けると、彼は何も言わずにこちらを背にしてくれた
勿論こちらに非があるのは分かってるよ
寝坊したし、部屋の鍵をかけ忘れてた
だからってこの仕打ちは悲しい。
初デートでこんな姿を見られるとは、我ながら愚か過ぎる…
持っていた洋服を着て襟から頭を出すと、さっきまでこちらを背にしていた筈なのに
身体をこちらに向けているベレト…
「何でこっち見てるの…! まだ終わってないよ…!」
「見れば分かる」
まだ下穿いてないんだって…、好きで見せてるわけじゃないんだよ…。
もう知らんと、床に置いておいたスカートを素早く穿く
最初は「何で見ないでって言ったのに見てるんだ」ってムカムカがあったんだけど
途中からどんどんそれが虚しさに変わる
言い表す事が出来ない、心を包むこの青黒い虚無感…
…ベレトはあたしの下着姿を見ても、全然平気なんだな
そういう風にしか見えない
普通だったら何か反応があるってものでしょ…、照れるなり、目を反らすなり…
あたしに非があるのか、全く魅力的でないのか、それともそちらから告白しといて本当は興味も無いとか?
彼は何時もの表情でこちらを見ているのだけど
とにかくとても寂しい悲しい複雑な思いでいっぱいです…
まさか全く動じないとは…。
洋服はどうにかなったので、今度は鞄を用意して荷物を集める
「ところで何しに来たの…」
「ん? 待ち合わせに来ないから、何をしているのかと思って来たのだが」
「寝坊したってメールしたんだけど…」
「そうなのか?」
そう言うなら多分知らなかったんだな。連絡に気が付かなったんだな。
ベレトは自分のスマホを見ると、「あぁ」と呟いた
荷物も適当に選んだ物だけ。お泊りとかじゃないから少なめ
顔とかはもうどうでも良い。髪型だけちょっと直した
「もう大丈夫です…」
「そうか、…それじゃぁ行くか」
と、先に部屋を出ていったベレトの後をついて行った
…これが初デートの思い出になるんですね。
多分この後、どんな楽しい思い出が出来たとしても
この件を忘れない限り、感情が上書きされて虚しくなるだけだ。
見られたくない物を見られた上に、あたしの身体は全く感情を動かす事が出来なかったと…。
あたしはこれからベレトと上手くやっていけるのだろうか…。心配です…。
何事も無くこの後の話をし始めたベレト
この人は本当に何も思って無いのか、虚無感から今度は疑問感に変わる
今後の為にもここは思い切って質問した方が良いかもしれない
でないと、まず気になってデート所ではない
「あ、あのベレト…?」
「ん? どうした?」
「ちょっと聞きたい事があるんだけど…」
こちらから話を振っておきながらだけど
今更この話を引っ張り出すのが恥ずかしくなってきた…。
でもここは疑問解消の為にも頑張ろう
「何言ってるんだ、って思ったらスルーしても良いからね…。
さっきあたしが着替えてるの見て、何も思わなかったの…?」
恥ずかしいという感情とかは無いんですか? 心が無いんですか?
と聞きたいのだけども、そこまで深く突っ込めない
「………何故そんな事を聞く」
「あぁ…、全然動じてなかったから…。そんなに良くなかったのかなって…」
「…。」
そう正直に伝えるとベレトは足を止めた
ちょっと先に進んだ後に振り返ると、彼は目を瞑っている
「これでも私は動じている、扉を開けてお前を確認した瞬間から」
「えっ! そうなの…?!」
だったらベレトは全くそういうの表に出てこないタイプなんだね
相変わらず表情は変わっていやしないけど
思ってたよりも面白い返事をしてくれました
あたしの残念な姿を見て、とりあえず動揺はしていたのか
………全然そう見えなかったけど。
「そうなんだ、それはちょっと安心したわ…。
全く表情変わらずだから、魅力無かったんだなって…」
「まさか」
「勇気出して聞いてみて良かったわ…。とりあえずあれは忘れなさい。」
多少気分が晴れたので、行きましょうと足を進める
でもまだ別の疑問が出てきたので再度振り返る
ベレトは目を閉じたまま、歩いてきていた
「というか何で、むこう向いててと言ったのにすぐこちらを見たんだ。馬鹿にしてるのか。」
「馬鹿に等していない、折角だからよく見ておこうと思っただけだ」
「馬鹿にしてるじゃないか…! こっちの気も知らないで…!」
目を開いて、特に悪びれる事も無いその感じ…
「悪いとは思っている、だが欲には逆らえなかった」
「そ、そうですか…。
あんた本当凄いよ…、言ってる事と表情が一致してないんだもん…。
…あぁ別に馬鹿にしてるわけじゃなくて、本当に凄いと思ってるし、寧ろ感動すら覚えるよ」
と、あたしも足を進めた
…彼との意思疎通は、表情では絶対に無理だな
今回の様にちゃんと尋ねた方が良い、間違いない。良い勉強になった。
でもそんなの知ってしまうと、逆に動じてるベレトも見たくなるなぁ
分かりやすく慌ててるとか、そんなのじゃなくて良い
ちょっと照れてる感じで良いから何か良さそうなのは無いか。
後ろからついてきてるベレトの側まで駆け寄って、彼の顔を見上げる
「どうした?」と彼は聞いてきたけど、それも無視して目を見つめ続ける
…もしかしたらこれで照れが見れるのでは?
「あらー…? 二人ともそんな堂々とイチャイチャするのー…?」
「「!」」
見つめ合ってすぐ、聞こえて来たのはベヨネッタの声
慌ててそちらを見てみると、笑っているベヨネッタとパルテナが居た
「ウフフ、仲が良くて羨ましいですね」
「あ、いや、そういう事じゃなくてね…っ!」
と、慌てて弁解を入れるのだけど
これじゃぁベレトじゃなくてあたしが動揺しているじゃないか…。
行こうとベレトの手を引いて、逃げる様にその場を立ち去る
浅はかだったな、確かにここら辺じゃ誰に見つかってもしょうがない
とりあえず今回のデートの目標が出来た!
感情が揺れ動いてるベレトを見るんだ!
これはちょっと楽しみになってきたかも…!
ニヤニヤが止まらないから決してベレトに見られないように…!
笑いが止まらない内は彼の方に顔は向けないでおこう…! 悟られてはならないよ。
さてさて、何してやろうかな…
ドライですねー。
感情がガタガタなのを見たくて、恥を捨てて奮闘するユズと
感情がガタガタなのに表情に出ないから、どんどん心振り回されるベレトの戦いは続く…。
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