みかんを食べよう
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マスターが大量の蜜柑が入った大きなダンボールを10箱持ってきた
理由を聞くと「これで暫くはおやつに困らないと思ってる。」だそうです。
中を確認するとカビた蜜柑もあったのでそれを避けて
残った大丈夫そうな蜜柑は子ども達のおやつ代わりにしました
お菓子よりも果物の方が身体に良いに決まってます
お菓子欲しいってうるさいヤンガーズには仕方なく
夕ご飯が食べられなくなるくらいは駄目だけど、好きなだけ食べて良いよっていう事にしました
ある意味すぐ無くなりそうなので、前もって自分の分の蜜柑を数個確保
それと一緒にリビングにやってきました
目的は大テレビでDVD観賞です。
飲み物と蜜柑をテーブルに置いて早速観賞開始
部屋を暗くしてテレビ前にあるソファーに寝転がる体勢
…完全にリラックスモードです
映画がスタートしてすぐ、部屋の扉が開いた
「あぁ…? なんだてめぇか…」
「テレビ使用中、帰れ。」
「うるせぇなぁ、俺だってテレビ使うんだよ」
と、なんかDVDと蜜柑を持っているファルコが部屋に入ってきた
「大体ランバルは部屋が温まれば戻るんでしょ? 別に此処で見る必要なくない?」
「何処で見たって良いだろ、どうせなら良いテレビで見てぇんだよ」
テレビの前に来るとしゃがんでDVDプレイヤーを弄り始める鳥
予想通りあたしの見ていた映画は止められた…。
「もう、なんで止めるの! 待つって事は出来ないのか!」
「うるせぇ、何が良くてアニメ見なきゃいけねーんだ」
「あたしが見てたでしょうに…!」
まぁどうせそんな野郎だってのは分かってましたよ
DVDは譲るさ、しょうがないから。
その代わりソファーはあたしの物だ!
目の前までやってきた鳥は、こちら見下ろしながら思ってた通りの言葉を吐いた
「退け」
「退かないよ!
見たい物を止められた上にあたしの居場所まで奪われてたまるか」
「…」
退かないぞとずっと居座っていると、そのまま奴は足の上に座った
「痛い痛い! 何するんだ!」
「てめぇが退かないからだろうが」
「もう…!」
踏まれている両足を抜いた後、仕方なく足を折りたたむ
暫くファルコが持ってきたDVDを見ていたんですが、アクション物っぽい
全然知らないやつだし、興味無いし、機嫌が悪いのでテレビの方を背にして丸まる
そして寝転がりながら蜜柑を頂く
…というかそれしかやる事ないし。
「品ある食べ方出来ないのかてめぇは…」
「…」
口をもぐもぐさせながら心の中で呟く
「あんたはあたしをイライラさせるのが本当上手だなぁ…」と。
気晴らしに蜜柑をファルコの頭めがけて投げつけた
「いって…! てめぇ! 食べ物を投げるな…!」
「いろいろイライラしてるんだってば…」
「んなの知るか」
ソファーから降りてテーブルの前に座る
真面目にDVDを観賞するわけじゃないですよ?
しょうがないので時々見ますが、蜜柑の皮をむき続けてます
山の様に積んでいた蜜柑を一つずつ丁寧に皮を剥いて、筋も取ってます
何時もはこんなにはやらない勢いの丁寧さです
剥き終わった後の蜜柑の実はツルツルスベスベだ。
四つ目が剥き終わって、置いておいた三つの実の上に重ねる…
…つもりだったのだが二つしかない。
慌てて振り返ると、奴が一つ食っている…
「ちょっと! なんで食べるの!」
「あぁ…?そりゃあんな風においてあったら
「食べてください」って言ってる様なもんだろ」
「何言ってんだよ…! 勝手に食べないでよ…!」
「そうかい、じゃぁ貰うぞー」
そう言って奴は図々しくも二つ目の実を取っていった
「…。」
なんて…
なんて自分勝手な鳥なんだ…
こいつの彼女になったら絶対大変だ。亭主関白まっしぐらな気がしてならない。
こんな鳥なんかにそんな可哀想な彼女ができないように祈ってるぞ。
ため息を吐いた後、再び蜜柑の皮を剥く続きを始めた
増えたり減ったりを繰り返す蜜柑の実
…でも圧倒的に消費の方が早い
よくもまぁそんなに食べる事食べる事…。
全部剥き終わった時、山の様にあったはずの蜜柑は残り二個…
その二個とも手中に収めた
「おい、なに横取りしてんだ」
「あんたが言える台詞かそれ…!」
蜜柑の方へ手を伸ばすファルコ
何としてでも守ってやると触れられない様に遠くへ離す
「…面倒くせぇなぁ、観念しろよ」
「あっ!」
グイッと実に手が伸びると無理矢理持っていこうとする
慌てて誘拐された実を掴むと2/3持っていかれた
「あー…んっ」
「もう…! あんたはー…!」
奴は悪びれる事も無く丸々、口に実の塊を放り込んだ
「お前はあたしを虐めたいのか…?」
「はぁ? 馬鹿言ってんじゃねぇよ、被害妄想か?」
「…。」
終わる事の無い反抗期の鳥め…
まぁいいや、それならそれであたしにも考えがある。
表情を一転、ニコニコしながらファルコに近寄る
「仕方ないなー、甘えんぼさんめー」
「誰が甘えん坊だってんだ!」
「はいあーん」
「…。」
1/3になった実の一つを自分で食べた後、ファルコの口の方に一つ向ける
何にも言わなかったけど食べてくれました
…別に毒を混ぜたわけじゃないですよ?
塊の実一つと、バラバラにして残った実一つ
両方持ってバラバラの方の実をファルコの口の方へ持っていく
「ほらあーん…」
「あー」
「あーん!」
「あー!」
「あーん!!」
「あーって口開けてるだろっ!」
「分かってるよ…! 口開けてよ!」
「あー!!」
計画通りより大きく開いた口
その中に崩してない真ん丸の塊の実を、そのまま口の奥の方へ押し込んだ
「うっ!!」
苦しそうに声を上げて喉を押える鳥野郎
ははは! 良い気味だ!
あたしを虐めた罰だ!
助けずに様子を見てると
奴は下向いて喉に詰まっていた実の塊を苦しそうに吐き出した
その後、凄い恐ろしい目で睨んできた…
「あんたがあたしを虐めるからお返ししてやったんだよ!」
「んだとぉっ!?」
相当ご立腹らしいファルコに思いっきり口を掴まれる
「んー!!」
「てめーの首を絞めてやろうか?」
「…。」
何も声を上げずにに首を横に振ると口を解放された
「…あんたのそのあたしを見下してる感が嫌い。」
とりあえず仕返しで気は済んだので
机の上に放置されたDVDをケースに入れ、飲み物も手に立ち上がる
そのまま部屋を出て行こうとしたら腕を掴まれた
「…何? 虐め足りないの?」
「…違ぇよ」
「あっそ、じゃぁ離してよ」
虐め足りないってのが違うんだったら
引き止める必要は無いっていうのは当たり前。
掴まれていた腕が解放されたのでさっさと部屋を後にした
隣の食堂に行くと、蜜柑の山を前に楽しそうに喋っているヤンガーズが居た
蜜柑の山と言ってもほとんど皮ですが
「えぇ!? もうそんなに食べたの!?」
「だ、だって…、夕ご飯食べれるなら幾らでも食べて良いって…」
そう少々反省の様子を見せるカービィ…
…そういえばこの子が居たわ。腹の中ブラックホール。
そのまま吸い込んで食べると、きりが無いのを分かっているのか
カービィもちゃんと皮を向いてから食べてます
少しでも食べるまでの時間をかける事と、消費数を減らそうという努力の結果らしいです
「良いよ良いよ、そこまでしてちゃんと考えて食べてるなら好きなだけ食べな」
「わーい! ありがとう!」
そう嬉しそうに蜜柑を手に取るカービィ
そして皆と同じ様に皮を剥き始めた
「それにしても、蜜柑無くなるの早いな…」
調理室の涼しい所に置いてある蜜柑の入ったダンボール
子ども達に限らず、大人も皆蜜柑を持っていくものですから
山の様にあったダンボールはたった一日で7箱になってしまった…
これでは一週間も持たないのでは…?
まぁある意味生ものだから、捨てるよりかは全然良いんだけど
蜜柑を数個を持ち物に追加して自分の部屋へ向かう
その途中、例のリビングの前を通るわけですが
通ろうとした瞬間、扉は勢い良く開いた
「うっ! あ、危ないな…」
「俺はDVD見終わったぞ」
「えっ?」
「それ見んだろ、此処で見りゃあいい」
そう部屋の中に入っていくファルコ
さっきの件もあるけれど、騙されたと思ってついていく事にする…
確かに画面は消えていたけど、まず映画があんなに早く終わるわけがない
きっとわざわざ終わらせたんだな
追求すると彼が答えに詰まる可能性があるので、あえて聞かないでおこうか
もしかしたらあたしが納得出来る答えを用意しているのかもしれないけど…
早速DVDをセットして観賞を開始
ファルコもソファーに座り込んでいるという事はこの映画を見ると思われるので、あたしはテーブルの前に座って観覧します
蜜柑の皮を剥きながらDVDを見ていると
また剥いた蜜柑の実を持っていく手
「…もう」
薄っすら分かってた様な気もするけどさぁ
仕方なくその一つは! …譲る事にする。
「貰うぜ」
「はいはい」
まぁ断わっただけマシだろうと考えていると、ソファーから隣に移り座って来たファルコ
もぐもぐと蜜柑を食べながらあたしの口元にばらした実を近づけた
「ん? ありがと」
貰わない手は無いので遠慮無く頂いた
「…最初っからそうすれば良いのに。」
「うるせぇよ。」
隣で一緒に蜜柑の皮を剥き始めるファルコ
…でもまぁさっきのファルコとは大違いだな。
「はいあーん」
「あー」
大きく開いたその口にばらした実を放り込んだ
これくらいほのぼのとした奴なら、あんたの見たい映画でも良かったんだよ
最初から最後までずっと強情な奴だから気に入らないんだ
まぁ結果的に良くなったなら文句は言わないですよ
途中から構うのが面白くなったので
映画そっちのけでファルコと蜜柑の食べさせっこを楽しんだ
みかんを食べよう
映画を見てないから、もう一回映画を流す
でもやっぱり蜜柑に夢中で見てない。その繰り返し。
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