ウルフェンを借りよう
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あたしは早朝に起きて朝ご飯の準備をします
今朝は昨晩中に殆ど作っておいたのでそんなに準備はありません。
という事で食堂の大テーブルの上に用意したご飯をバイキング方式に放置
もしも気まぐれで早起きした人や
皆が起きるまでにあたしが帰ってこなかった時の為に
「好きな分を取って、冷たいと思ったらレンジでチンして下さい」
というメモを10枚ほど並べておいた
さぁ誰も起きていない間に前々から企画していたやりたい事をやってきましょう!
外は少し日が昇って明るい
これなら大丈夫だろう
ユズは皆の乗り物が置いてある倉庫にやってきた
スターシップやブルーファルコン等…
みんなの大切な乗り物の保管庫です
あたしの今回の目的はアレです
カッコ良い赤い飛行機です…
その持ち主に「一回運転してみたい」と何度も頼んだんですが
結局1回も運転させてくれませんでした…
…当たり前の話ですがね
ちょっと機械を弄ると乗り込み口がオープンする
ここにある乗り物は全部、鍵とかが無いらしく
やろうと思えば誰でも乗り込んで操縦出来るのです
故に子ども達対策の為、基本この部屋には鍵が掛かってるのですが
あたしはその鍵が何処にあるのか知っているので使わない手は無いですよね
中に乗り込むと前の壁がゆっくりと開く
まずは操縦席を見回して、どんな物があるか確認する
後は空中に出てテストして、どのボタンやレバーがどんなものか調べれば良い
あいつに聞かなくても自分で出来るようになってやるぜ!
外への道は開かれたのでまずは此処を脱出しよう
それっぽい物をちょっとずつ試して発進方法を探す
そして前進レバーを発見したのでそれを少しずつ倒すとゆっくりと前に進む機体
倉庫から機体の先が出た辺りにレバーを少し強めに引くと
飛ばずに真っ直ぐ庭に乗り込んだ
機内にガガガという機体が地面と擦る音が響く
「やべー!!機体傷つけたら殺されるよ~!」
慌てて別のレバーを引くと、機体は上を向く
「あ、なるほど、前進と角度を組み合わせるのね。」
やっと少し理解した。
ゆっくりと機体を空に向けて前進レバーを引くと機体は浮く
レバーをゆっくりと深く引くといよいよあたしは空に旅立った
「なるほど~、こうすると宙返り」
視界や機体は空中で一回転する
「こうすると攻撃なのか」
ヒュンという音が立ったと同時に先に真っ直ぐビームが飛んで行った
「なかなか難しいな…
それになんかブレーキ性能悪いなぁ~…」
多少スピード落ちてる様な気がするけど、止まるまでには時間が掛かりそうだ…
「まぁいいや、別に戦うわけじゃないし」
そうです、あたしのやりたかった事は飛行機に乗って街々を越える空中遊泳
空からゆっくりと街とか公園とか見てみたいのです…
そして最終的には海に行きたい
砂浜に降り立って貝とか拾いたい
滅多に行く機会も時間も無いんだよ、あたしには
だから別に良いよね、たまにはこういうのも
持ってきた音楽プレイヤーをガンガンにきかせて
暫くゆっくりと上空を進んで海までの風景を楽しんでいると
機体内にピー、ピーという音が響く
「なんだ?なんだ?燃料切れか?」
しかし、明らかに分かりやすい燃料残量表示にはほぼ満タンの示し
機内を見回すと小さなランプと隣にあるボタンが光っている
近くの表示部には「通信あり」というメッセージ
「…あんまり良い予感がしないな」
しぶしぶ通信機を開く
『てめぇ!!俺様のウルフェンに何しやがる!!』
「うわっ…」
思わず声の出てきた所から耳を離す
それと同時に機内に響く別の人の声
『だからって俺のアーウィン使うんじゃねぇよ!』
というファルコの声…。
なるほど、狼さんはアーウィンをパクッたんですね
『音楽を聴いてるなんて、随分と余裕だなユズ』
「あぁフォックスも居るんだ」
『んな事より早くウルフェンを返してやれ!』
「…」
あぁもう、皆うるさいなぁ…
皆起きて来る時間までに帰ろうと思ったのになんでこいつら此処に居るんだよ
こうなると思ったから早朝に旅立ったのに…
海へ行く企画はあっけなく終わった…。
『聞こえねぇのか女ぁ!ぐずぐずしてねぇでさっさとウルフェンから降りろ!!』
機内を揺らすほどの叫び声…
相当このウルフェンは大事なんでしょうね、うん。
『叫ぶなよウルフ、耳が痛いぞ』
『うるせぇ!てめぇには関係ねぇ!黙ってろ!』
『関係無くねぇよ!俺のアーウィンだろうが!』
『それにしてもユズ、随分とゆっくり走行だな』
「え、別にスピード求めてないk…
『クソアマぁ!とっと降りろぉ!帰ったら容赦しねぇぞぉ!!』
「…。」
叩く様に通信機のボタンを切る
しかしやっぱり直ぐに通信ありという報告音が鳴り響く
「もう良い、そこまであたしのバカンスを邪魔するんだったらあたしだって考える」
徐々に機体のスピードを上げる
そして鳴り止まない2つのアーウィンからの着信報告音…
「あぁ~!うるさいなぁ!もう!」
宙返りをしてすぐ後ろに居たアーウィンにチャージ弾をぶつける
乗っていたのはウルフの様だ
それと同時に後から来ていたアーウィンを見ると
かなり驚いた様な表情でウルフのアーウィンをカバーに張り付きながら見るファルコ
これはファルコも怒り出すな
それときょとんとしたフォックス
まぁまさかあたしが攻撃してくるとは、とか思ってるんでしょうね。
2機に向かって攻撃を仕掛けると左右に別れる様に逃げた
「ははは、良い気味だ」
ちょっとした反抗でストレス解消
笑いながら通信機を開く
『…おいてめぇ、今何したのか分かってんのか…?』
「分かってるよ!うるさいn…
『ユズ!てめぇ!俺のアーウィンに何しやがる!』
「それにウルフが乗ってるからだ!」
『他人のせいにするんじゃねぇ!元凶はてめぇだ!』
「ふんだ!だったらどうした!
わざわざ皆が寝てる時間にこっそりとやったのに、気が付きやがって!」
『てめぇが派手にデカイ音立てたじゃねぇか!皆起きたぞ!』
「嘘!?」
『ユズ、もしかしてウルフェンを何処かにぶつけたんじゃないか?」
「いや…、外側確認出来ないからわかんない…」
機体なんて目の先の部分しか見えないよ。
目の前でフォックスの操作するアーウィンがウルフェンの周りを回る
『あ、やっぱり下の方土付いてるぞ 庭にも何か大きな擦った後があったんだ、それじゃないか?』
「…。」
あぁ…、やっぱり擦ってたんですね…
仕方ないからマスターに頼み込んで元通りにしてもらおう
『てめぇ、確信犯だろ』
「…多分」
『多分じゃねぇよ!絶対だろ!』
『落ち着けウルフ。
それよりもユズ、お前はなんでウルフェンを盗んだんだ?なんか理由があるのか?』
『どうせウルフを怒らせたかったんだろう』
『違うだろ…。』
「理由?…アーウィンよりもスピードが出るから」
『えぇ?でもお前さっきかなりゆっくり飛んでたよな』
「まぁ、今はゆっくりで良かったから」
帰る時に猛スピードで帰る予定だった
出来れば海に長く居たいし、でも早く館に帰らないと行けないからね
行きはゆっくり風景眺めて帰りは超特急で帰ると
「まぁちょっと…、行きたい所があって…」
『行きたい所?』
「まぁ…、ちょっと海に…」
『海?』
「別に良いでしょ?行きたい場所に行っても
どうせ誰も連れてってくれないし、皆起きだしたら行く時間も無いんだから」
『…』
『…』
『…』
「…」
…。
…何故皆黙るんだ
黙らなくても良いじゃない…。
「…いや、もういいや、ごめん、あたしが悪かった
もうあたし帰るよ…」
『えっ?』
ウルフェンをUターンさせてから館に向かう
『お、おい、待てっ』
「…」
再び叩くように通信機を切る
別に「じゃぁ行こうか」と言われるのを期待していたわけじゃない
「今度行こうか」と言われるのも期待してない
「何バカな事言ってんだお前は」って笑われるくれるのかと思えば
何も言わずに黙り込む、それも3人とも
逆にあんな事言ったあたしが申し訳無い気分だ
「もう!空気読めない奴等め!
もう操縦上手に出来るから深夜に出てやんだから!!」
そう機内で怒鳴り散らした
館に帰ってくるとあの壁の開いた倉庫…
確かに庭の草が剥がれている…。
そこにはピーチとサムスとゼルダ
それとマスターとクレイジーが見えた
マスターは空気読んでるな
それよりもあたし、倉庫からの出方は分かってても戻り方はやった事無いな…
…どうしよう。
「もういいや、どうせマスターに直してもらえば良いし」
という事で派手に中に突っ込む
「きゃぁ!」
「まぁ…、乱暴ねぇ~…」
いたる所をいたる場所にぶつけているが、仕方無い
機体は大きく揺れながら、元々置いてあった場所くらいで停止した
出て行く前と帰ってきた後でのウルフェンは様々な意味で大違いだ…
適当に外に出ると早速持ち主に捕まった…
「てめぇ!なんだこのザマはぁ!!」
「だって戻り方とか知らないし…、本当に申し訳なく思ってます…。」
「ちょっと落ち着きなさいよウルフ」
「そうよ、どうせマスターハンドが直してくれるじゃない」
胸ぐら捕まれて揺らされる
目を合わせたら危ない様な気がするので顔は反らしておこう…
「派手に中に突っ込んだな…、絶対どっか壊れてるな…」
「あぁ。」
まだ身体を激しく揺さぶられているが
そのままウルフェンを確認すると煙が出ている…
幾らなんでもやり過ぎた感が否めません
「そんなにムカつくなら引き裂けば?」
「あぁ?!」
まぁ引き裂くとは思ってませんが…
揺らされが止まって暫くすると解放された
という事でマスターの方に向かう
「なぁなぁマスター、ウルフェン直してくれる?」
「あ、あぁもちろんだ…」
「ユズちゃん、何処に行ってたの?」
「うん、ちょっと空中遊泳に…」
「そ、そうなの?どうだった?」
「まぁまぁ」
妨害が入ったから本当は不満
もしもあの3人に見つかるのが帰りの道だったら
素直にウルフェンから降りてたんだよ
…まぁ、今回は仕方ないな。
まだ運転が不慣れだったから皆を起こしてしまったんだ
…今夜はきっと大丈夫
それよりもこれから今日のやるべき事をしなくてはならない
「じゃぁあたし子どものお守りしないといけないから」
「あぁ、うん、何時もご苦労様」
美女3人組みに手を振って急いでその部屋を後にした
「今日のユズちゃん、凄い気合入ってるね…」
「なんかあったのかな?」
ヤンガーズと大乱闘中、少々イライラしたので問答無用で相手する
ステージがドルピックタウンってどういう事だよ。
誰だよ、こんなの仕組んだの
リアルの海に行きたいんだよ、こんなんで我慢できるか!
「あぁ!こんなんで我慢できるか~!」
落ちていたアイテムを拾ってめいっぱい遠くへ投げる
『!?』
早く夜になれ、深夜に…。
「はい。
という事で深夜になりました…」
時間は午前2時過ぎ…
懐中電灯片手に倉庫へ向かう
ちなみに皆が起きて来る時間までにあたしが帰ってこなかった時の為に
カップラーメンとコーンフレークをテーブルに山の様に積み上げておきました
「あたしが帰って来るまでこれで場を繋いでください」というメモも10枚程置いてます
「それじゃぁ早速…」
「…おい」
「!!」
急に階段の上から呼び止められる声…
懐中電灯を向けると、今から借りようとしていた飛行機の持ち主だった…
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