君までもう少し
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なーんかそういう気分になったので、図書室の大人用隠し部屋にやってきました。
滅多に来る事はない部屋ですが、レディースがたまにここの新作の話をしている
さっきも話をしてるのを聞いたので気になったので来ました
この部屋は男性用と女性用両方あるんだけど、部屋は分けた方が良いんじゃないだろうか?
「結構な頻度で利用されてるのよー!」と嘆いてるレディースの皆さんを何度見たか。
その場で楽しむ人も居るし、DVDだけ持って行って部屋で楽しむ人も居るので
前者が部屋に居て、遅れて後者がこの部屋に来ると何も出来ません。悶々とするだけです。
まぁそれは後日マスターに意見しよう
レディース向けのコーナーへ辿り着きました
別の所の物と違って、ぱっと見じゃそういうのって分からないんだよねー
前回来た時よりもレディース専用スペース増えてる感じなのは、多分マスターにもっともっとってお願いしたからなんだろうなぁ…
ぱっと見気になる題名を取って、内容のあらすじ等を確認する
レディースの話にあった物や個人的に気になる物を手に隣の棚へ…
またゆっくり作品を物色していると、手に持っていたDVD達が何処かへ引っ張られた
吃驚してそっちを確認すると、あたしの持っていた作品を見ているウルフが居た
「だぁー!! ビックリした!」
「あんま大きい声出すな、驚くだろ」
「なんで居るのよ…!」
「お前が鍵掛けてなかったのが悪い」
「えっ…」
恥ずかしさで感情が爆発したが、聞いた言葉でさぁっと身体の熱が引く
言われてみれば確かに内鍵を掛けた記憶は無いな…
「お前もこういうの見るんだな」
「あ"ぁもう! 放っておいて欲しい!」
そう奪われたDVDを分捕り、持ってきた袋にしまう
「一応持ってくんだな」
「…」
そう笑うウルフに何も反論出来ませんでした
気持ちは冷め冷めになってしまった。
とりあえずここは平和に立ち去れるように頑張ろう
幸か不幸かウルフとはとても仲良くさせてもらってますし、まともに会話が出来ない相手じゃないので上手く流しとけば気まずい事態にもならないだろう
「ウルフもここに用事があるんじゃないの?」
「いや、一人でどっかに行くお前を見かけたから付いてきた。
まさかのここに来るとは思ってなかったし、鍵かけ忘れるとも思ってなかった」
「本当だよ…、黒歴史だよ…。それじゃぁあたしに用事があったの?」
「いいや別に」
「それじゃぁあたしがただただ恥晒しただけじゃないか…」
そう呟くとウルフは大笑いした
ため息を吐きながらその場から足を進める
あたしの用事は終わったし、この流れで部屋を後にします
と思っていたけど、ウルフに腕を掴まれた
「なんでしょう?」
「又と無いチャンスを見逃せねぇな。溜まってるんだったら俺様が相手してやるよ」
「え"ぇっ!?」
心の何処かにあった、一番あってほしくなかったパターンになってしまった…
ウルフはとても良い人ですよ。基本あたしファーストです。
あたしの下手糞なお喋りでも理解してくれるし、逆にお喋りは笑わせてくれるし、話して分かる頭良い人だ。
プリンと喧嘩して悩んでた時アドバイスくれましたし
たまに美味しいお肉をプレゼントするととても喜んでくれるし
お使いの足になってくれて頼りになるし、お前だけだぞって尻尾も触らせてくれました…。
…と走馬灯のように思い出される
これはむしろ相手にしてあげないと悪いんじゃないかって思ってしまうくらいだ。
というか、そこまでだったら本当にあたしに気があったんだな
全ての行動を見てるわけじゃないけど、他にあたしみたいな対応してる人見たことないもん。
腕を引かれて棚の方に追い詰められた
あーあー、これはマズイ流れ…
「どうだ? 優しくするぜ」
そう顔を覗き込んでくるウルフ…
多分優しくするのは本当だろうし、今までのあたしへの対応実績を考えると嫌な思いはさせてこないとは思うんだけど…
ただ、そんなの関係ないくらいに大きな問題があたしにはありまして…。
中途半端な返答しか出来ないもので、もごもご声を漏らしていると首ら辺に口が当てられる
そのままあむあむと口を動かされると堪えられず息がこぼれた
たまらなくくすぐったい感覚
「あ、あの本気で言ってる…?」
「俺様は本気だが」
優しく低い声で囁かれると身体に響く
初めてこんなに近くまで寄ったけど、ウルフって身体大きいなぁ…
そんなに異性を全力でぶつけられると呑まれてしまいそう
アニメ漫画である「抵抗しようにも出来なかった」「どうしようもなかった」っというのはこういう事なんですね…
なのに! ふと現実を思い出すとやはり心はノーになってしまう。心がスン…と無に帰ってしまう
相手が誰であろうが、状況がどうであろうが、あたしは事前はお風呂に入りたいんだ…。綺麗な状態で挑みたかったんだ…。
気になるでしょう? なるべくなら相手を不快な思いさせたくないし、匂いだって気になる。
鼻が良いウルフだし余計に気になるでしょ…
これを考えると盛り上がってる心身共に一旦冷静になる。本能をも凌駕する問題なのだ
「無言は合意と採るぞ」
「ちょっと待って…」
これを説明したら絶対この部屋にあるシャワー行ってこいってなるし
何か笑われそうだし、あまりにもセンシティブな問題、正直に言いたくない!
どういう言葉で説明すれば良いのか頭フル回転させていると彼の身体が離れた
自由に動けるようになったとは言え、まだ棚についた両腕の中に居る
「10、9、8、7…」
「ノーッ! ノー! 駄目だって!」
やっぱりこの状態じゃ終始集中出来ない! 没頭出来ない!
そのカウントダウンは手を出すまでの秒読みっぽいので、咄嗟にノーを突き付けました
真面目な眼差しと声色は本気だったろう。
身体や感情、脳みそもやる気満々だったけど、小さな意地と不安に救われた
あっさりとウルフは何も言わずに離れてくれたのだけど、どっちつかずのこの感情はなんだ…。
「呼吸困難大丈夫か?」
「よ、良かった…」
「ノーと言えば止めるさ、猿じゃねぇんだから」
この紳士ですアピールも心に効くのよね…
感情の荒れも落ち着いてきたあたしに対して、終始穏やかなウルフ。彼はどうも思ってないのか…
「ちなみに何でノーなんだ? 結構良い所まで持ってけてたと思ったんだが」
「仕方ない事なのよ…、どうしても譲れない事があった…」
「ほーん、俺様に問題でも?」
「いや、自身の事よ。気にしないで…」
「力になれる事があれば言って欲しいな」
「あ、あぁ…、ありがとう…」
本当タイミングだけだったので、特に協力もクソありません。
感情ぐちゃぐちゃ時間から解放されたが、DVDを見る気になれません。なんかもう満足しました。
この悲しい気持ちをミュウツーに聞いてもらおうと思う…
「ミュウツー…! 分かってるでしょ…!? あたしを馬鹿にしてるでしょー…!?」
「いや、馬鹿にはしていない。
あの状態から持ち直したならむしろ褒めるが。」
山だくさんの苦めなおやつを手に中庭にやってきた
早速おやつを食べているミュウツーは「そういえば」と呟く
「今さっきウルフも来たのだ」
「えぇ!? 何しに?!」
「お前自身の事を聞きに。
あわよくば交わろうとしていたが断られて、絶対に上手くいくと思ってたが思ってもない結果だ。
何が駄目だったのか、本当に知りたかったのだろうな。」
「そんなぁー…」
「特に恥じる事は無いのでは? 奴は納得していたし、割と皆思ってる事だ」
「やっぱり言ってるよね…」
「ありきたりな理由だ、隠す理由もないだろう…」
「そうなんだけどさぁ…」
おやつの袋を開けては、まだいっぱいに入ってる口に詰め込む。まるでやけ食いみたいだ
定期的に情景や感情がフラッシュバックすると、突発的に頬張ってるままで叫び声が出る
「呪いにかかったみたいだな…。えらい対照的だ」
口にはおやつがいっぱいなので、心の中で「何が」と問う
「情緒が荒ぶってるお前と、現状に満足してるウルフがだ。
お前も薄々分かってると思うが奴はお前に惚れているだろう。呑気なお前と違って日々邁進しているわけだ。
その結果だ、今お前らの仲を邪魔や反対する者は居るか? 誰もがお前らの仲を認めているわけだ。
他者の邪魔も無く、断られたとは言え今さっきのお前の反応だ。遅いか早いかだけだと確信持って満足している」
「…」
あぁなるほどね…、言われてみればそうだよね…
今あたしがウルフ以外の人が好きですって言ったら反感来るわ
「日々仲良くしてたじゃないか! 裏切者!」って怒る人も現れそう
外堀が固まってる状態なのね今。
そりゃぁたまーにこの人と付き合ったら幸せそうだなとか思った事はあるよ、実際。
でも基本的にあたしは優しいありがたい人としか思って無かったから
しかしこんなにも現実を突き付けられちゃ、受け入れるしかないよね。
もうあの頃のようにキラキラ爽やかな仲には戻れないんだな…
あぁさようなら、あたしの穏やかだった日常…。
そうしんみり考えていると
「お前は何言ってるんだ」というミュウツーのツッコミが入った
君までもう少し
「勿論私も様子を伺っていたのだが、お前が曖昧な返事をしていて「決まったな」と自惚れてたが、ノーを言われて内心で驚いていたウルフは面白かったな」
「あはは、それはちょっと可愛いかも」
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