嫉妬は邪魔なのか?
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いろいろやる事は済んだのでウルフを探しに館を徘徊中
用があるというわけではないけど、それも許されるような仲なので構ってもらいたい
夜はよく屋上に居たりするので向かった所
何故かほんの少し扉が開いていた、外からの風が吹き込んでいる
果たして居るのかと覗き込んでみると、目的のウルフとベヨネッタが居た
あの二人何時もここでお喋りとかしてるなぁ
あたしが混ざると何時もベヨネッタがおらおらになって、たじたじなウルフが見られるのだけど
今日はとても楽しそうに談笑してる
何か用があったのかもしれないからあたしは撤退する事にした
「はーあ、つまんないなぁ…」
分かる、分かるよ。
ウルフがベヨネッタをどうとかはないし、ベヨネッタがウルフを「三番目に好き。恋愛的な意味ではなく」と言ってる事も。
でも気になってしまう…、何をお話してるんだろうなぁ…
ウルフはベヨネッタを面倒くさい奴って言ってたけど、本当は仲良さそうだもんなぁ…
基本的にあたしは友人をも縛るとかそんな事はしないししたくないけど、ベヨネッタだもんなぁ…
「ミュウツー浮気じゃないよね…!?」
「そんなわけないだろ…」
時間を持て余してしまったので中庭のミュウツーの所へやってきた
思いをいっぱいに詰め寄ると、珍しく崩れた口調が返ってきた
「だよねー、でも気になるんだよ…、楽しそうだったし…、これが嫉妬というモノですか」
「付き合い浅い時や自分に自信が無い時に起こる症状だな」
「本当だよ…。
仲良くお喋りする事自体は本当に問題ないと思ってるし、自由だと思うんだけどなんだこの感情は…。
ベヨネッタだけじゃないよ? サムスとも仲良さげだよ? 最強ペアだってさ。あたしは弱いから無理だわ…。
やっぱりあたし達の熱量差があるんじゃないか?! プリン達のアドバイスを聞きながら邁進してきたけど、やはり惚れた方が負けなのか…」
「気持ちはよく分かったからウルフに言ってくれ…」
「話を聞いてくれー! 話す事で救われる事もあるんだー!」
「少しは落ち着け…」
思いをいっぱいにミュウツーの肩を掴んで揺すると、珍しくテレポートで逃げたりはしなかった
「お前、朝ご飯作りもあるし早く寝た方が良いと思うが」
「確かにそうなんだけど、このままじゃモヤモヤして寝れそうにないよ…!」
「はぁ…、好きなだけ喋れば良い…」
とういう事で気が済むまで話しました。それはもう口任せに
あたしの話は適当な相槌があれば大丈夫なのを分かってるので、ミュウツーは本を読みながらでしたけども。
愚痴までには至らないボヤキをいっぱいして心は晴れ晴れ
明日に備えて本日は早々に寝る事にします。
ルンルン気分で部屋に向かっていると
もう少しで自室という事で何者かに声を掛けられた
聞き馴染み深い声の方へ振り返ると、ウルフがこちらに歩み寄って来ていた
「あぁウルフ、どうしたの?」
「ちょっと聞きたい事があんだ、こっち来いよ」
「あ、あぁ…」
寝る気満々だったけど、彼の頼みとなっちゃぁ仕方ない。
変わらずルンルン気分でウルフの後をついて行った
「さっきミュウツーと何の話をしてたんだ?」
「え? ミュウツー…?」
さっきのミュウツーの話は完全にウルフ絡みの事であり、しょうもない嫉妬擬きの内容
そんなの言っても大丈夫なのか?
ただ中庭の去り際に、ミュウツーに「ウルフには正直に言った方が良い」という助言?を頂いてるので
正直に言った方が良い気がする。
…というかあたしがミュウツーと喋ってたの知ってるのか?
「あたしが中庭に居たの知ってるの?」
「いや知らねぇ。だが何処にも居なかったからまぁ中庭だろうなって」
「あぁ確かに…、ミュウツーに絡みに行ってるの多いからね…」
そんなにミュウツーと一緒に居るイメージあるのかな?
確かにお喋りや質問がある時は入り浸ってるけど…
「ふーん、何の話をしてたんだ?」
「あ、あぁ…、ちょっと…、待ってね…」
本当はさくっと「こうです」って答えた方が良いんだろうけど、どうしても内容が内容で言えないなぁ
「そんなわけないだろ」って言われるのは分かってるし、下手すれば怒らせる可能性があるし
あんまりうじうじしてるのは嫌いそうだし、でも嫌われたくないし、思う事がたくさんだ…。
正直に言うにしても、言葉を選ばないといけない…
「わっふ!」
考え事してたら立ち止まっていたウルフに気付かずぶつかった
ごめんごめんと笑いながら顔を見上げるが、何か穏やかというか感情が無い表情
いつも以上に何を考えているか分からん
「そんなに言えない事か?」
「違う違う! ミュウツーに会う前に屋上でね、ウルフとベヨネッタが楽しそうにお喋りしてるの見つけてね
邪魔しちゃ悪そうだからミュウツーの所に行ったのよ。
その時の嫌な嫉妬心について話してただけです…。別に楽しそうに話すぐらい良いってのは分かってるんだけど…!」
これは危ない流れだと感知したので正直に言いました
確かに嘘吐いて誤魔化す方が、後々空気や仲が悪くなりそうだし…
返事を聞く前にやってきたのはウルフの部屋、何気に初めての訪問だ
多少散らかってるのかなって思ってたけど、結構片付いていた
近くの作業スペースらしきテーブルの上には何か機械と部品が散らかっているがよく分からない。
椅子らしき椅子がぱっと見で見当たらないのでベッド上に座る
ウルフは作業スペースの椅子に座った
「…やっぱりお前は俺様の事が好きなんだな」
「はぁ…?」
「悪い意味では言ってねぇよ、怒るなって
クソ魔女とはお前の話をしてたんだ。付き合う前はよくクソ魔女に情報を求めて屋上来てたとかな
自分と違って素直で頑張り屋だって褒めてたぞ」
「あ、あぁ…、そんな事もあったけど…」
ウルフ達はプラスになる話しをしていたのに、あたしはマイナスになるような事を話していたのか
あたしもまだまだ子どもだなぁ…
気持ち的な余裕の差もあると思うけど、なんか申し訳なく思っちゃうなぁ…
ミュウツーも言ってたし自分も思うけど、仲が始まって間もなくだから自信がないんだろうなぁ…
「ついでに言うと、お前にとってのベヨネッタは俺様にとってのミュウツーだな。それは分かるか?」
「…」
…それはつまり、あたしは「ベヨネッタと仲良いな、羨ましい怪しい」が
ウルフ的には「ミュウツーと仲良いな、どうなってんだ」になるという事ですか…
…確かに言われてみれば、ウルフから見ればそう見えるだろう
実際、日常の雑談とかはウルフよりにミュウツーに話しがちかも
だとすれば先に相手を不安にさせてたのはあたしではないか…
考えれば考える程気分が沈む
別に責められてるわけではないのだけど、全部あたしが悪いじゃないかって感覚になる
彼からの視線がとても痛い
「…別に責めてるわけじゃねぇよ、仲良いのは知ってるし。そんな暗い顔すんな」
「…」
変わらねばならないのはあたしの方だ
そう結論を下し立ち上がる
「よく一人で考える」と言い残して、足早に部屋を後にした
「もう蛙化ですって別れようかな」
「ばっきゃろう! なーに言ってんでぃ!」
翌朝、昨晩の話をプリン達に話をしたのだけど、なんだそのプリンの謎の口調…。
「せっかく付き合えたならもうちょっと様子見した方が良いんじゃない?」
「そうだぞ、おっさんからすれば最後の恋愛する機会…! それ考えたら奪うなんて可哀想だろ…!
大体告白断ってないんだから、昨晩のユズちゃんが苦しんでるのはウルフにも責任がある。…逆もまた然りだが。」
「慣れるまではちゃんとお互いに意見を言ってすり合わせないといけないね…」
「はあ…、こんな思いするなら告白するんじゃなかった…」
「まぁまぁ、恋は一人でするもんだから楽だし楽しいよな!
しかし! もっと大きい楽しいや幸せは辛い道の先にあるのだ!」
「プリンが言っても説得力無いよ、まずはファルコさんと付き合わないと…」
「ノ"ーォオ!!」
確かにナナの言う通りだと思ったら、凄い全力否定が飛んで来てビックリした
鍋に落としたお玉を救出して、流しに持っていく
その間もため息が止まらない
「落ち着けユズちゃん、おっさんはそんなんでユズちゃんを嫌いにならんだろ
…むしろそんなんで嫌われたらマジで願い下げた方が良いし」
「なんか一人で浮き沈みしてるの馬鹿みたいだ…」
「そんなこたぁない、ウルフもおっさんだ。若い時より感情は動いてるはずだ」
「にしては分かりにく過ぎるよ…、表情見ても何も分からない…
昨晩の言動じゃぁあたしの事好きそうな感じはしないし、本当になんで告白OKにしたんだ…」
「うーん…、ウルフさん的には好きなるのはそうで、それ以上にユズちゃんを大切にしたいんじゃないの?
好き嫌いより大事にしたいの方が感情分かりづらそうだし、そもそも多少なりとも気が無ければ、ミュウツーさんとの事も口にしないでしょう」
「告白時ちゃんとNOとも言える状態にしてそれでもOKしたんだから、おっさんはちゃんと覚悟してると思うぞ。本心で少しでもNOがあったらNOって言うと思う
むしろその試験に合格した己を褒めなさい。褒め称えなさい。」
「あはは」
変な味のプリンと裏表無いナナとの会話は多少心が楽になったかもしれない
ミュウツーに一方的に話すのも良いけど、こうやって無駄に持ち上げられるのも良いのかもしれない
「とりあえず今後はミュウツーに行くのは減らして、他の人に話をしてみるよ。言われてみればだったし」
「プリンは大歓迎だぞー! まさかこういう話がユズちゃんと出来るなんてー!!」
「はいはい…、今日は何か別の事しよう…」
「もし晴れてたら外で寝転がって空を眺めようぜ」
「楽しいのそれ…」
絶対楽しいから! と強くプリンに勧められたので
ご飯の片付けやある程度の用事を済ませた後、お外で三人日向ぼっこする事になりました
太陽の方角や、空の開け具合、ゴロゴロできるスペース等、いろんな条件が整ってると言い張る場所に到着しました
確かに言われてみればな場所だし、そもそもこの館にこんな広いスペースがあったとは知らなかった。
お供のおやつやジュースを近くに置いて、三人で原っぱの上で横になる
丁度良い気温や適度な風は気持ち良く
恐ろしい程、目の先は真っ青で広い空だった
「あんまりこうやって空見る事無いなぁ」
「いやー、前にここで空を見たら最高だろうなって思ってたんだけど、やはり思った通りだ。
この自然の中に置かれて、地面と同じ物を見ているという一体感。プリンはこのまま土に還るのかもしれない。」
「そうだったらファルコさん悲しむから駄目だよ」
「なんで焼き鳥が悲しむんだよ…」
「そう言えばプリンってずっと空飛べるの?
大乱闘内では6回までしかジャンプ出来なかったよね」
「大乱闘外なら常時浮遊は可能だ。基本移動は飛んで移動だ」
「え? プリンいつも歩いてるよね…?」
「筋力を付けないと大乱闘で負けるだろう…!」
「そういう問題なの…?」
しかしプリンの言う通り、彼女はスッと浮き上がるとそのまま空中で移動をし始めた
流石風船なだけあるが、あんまり見た事が無い動きなので違和感しかない…
上下左右前後移動が可能みたいで、ある意味羨ましくはある。
「上空なほど風が強めだー…!!」
だいぶ上空の方へ飛んでいたプリンは、泳ぐ動きをしながらそう叫んでいた
「あのままどっか流されて飛んでいったら面白いね」
「あはは、本当の風船みたいにね」
「こんにちはー」
「こんな所に居たのねー」
突然他の人の声がして、そちらを見るとパルテナとベヨネッタが立っていた
「全然館内に居ないから何処へ行ったのかって思ってたんですよ
ふと外を見てみればプリンさんが空飛んでいたのでここに居るんじゃないかって」
「あ、あぁ…、確かに…。目印みたいになったのねプリン」
「こんな所でおやつタイム? まぁたまには外でリフレッシュするのも良いわねー」
「なんだなんだ?」
プリンも事態に気付いて降りてきた
中々珍しい組み合わせではあるこの二人
「何かあったの? 誰かに用事がある感じだったけど」
「そうなんです、ユズちゃんに聞きたい事があって
昨晩ウルフさんと喧嘩したんですか?」
「え?」
「昨晩ウルフさんの部屋から飛び出てきたユズちゃんを見かけまして、かなり速足だったので喧嘩でもしたのかなって」
「私も昨晩狼さんの部屋覗いてたんだけど、二人とも良い表情じゃなかったから喧嘩でもしてたのかなーって」
「あぁ…、それか…」
嘘を吐いても仕方ない状況と相手なので、二人にも正直にお話をした
分かってたけど、ベヨネッタはちゃんと否定をする
「ないなーい、狼さんも好きだけど、もし仮に誰かと付き合わなければならないなら私はスネークを選ぶわー」
「まぁ、本当ですか?」
「あんたは良いのよ…。
それより、要らない心配よ子猫ちゃん。狼さんは私の事どうとも思ってないし、ペットちゃんの事もどうとも思ってないだろうから安心して構ってもらいなさい」
「い、いや、ちょっと暫くの間はプリン達に構ってもらおうかなって」
「「えぇー?」」
「プリン面白いし、ナナ優しいし。二人に話しながらよく考えるよ」
「ノンノーン子猫ちゃん、いくら考えても無駄よ。
どう頑張ったって最初は嫉妬はするし、罪悪感は湧くものだし、悩む事になるわよ」
「そうですよ、無理して変わる必要はありません。皆が経験する仕方の無い事です。
その悩みを解決する方法は一つだけですから」
「時間よ時間。時間に解決してもらいなさい。
性格や考えなんて簡単に変わりはしないし、時間に任せておけば良いのよ。
今は「ウルフ大好きー!」かもしれないけど、その内「おっさんあっち行ってろ」になるって」
その発言に思わず笑いが出た、同じく他の三人も笑っている
「無理してあんたが潰れちゃったらだーれも得しないわよ。
あの狼さんにはワガママ言ってるくらいが丁度良いわ」
「まぁユズちゃんに出来る事と言ったら、上手な伝え方をする事でしょうね
そもそも相手方は口が悪いでしょうし言葉選ばないだろうし、こちらだけ気を付けるなんて可笑しな話ですけど」
「あぁいや…、昨日は案外言葉を選んでくれてたかも…」
「あらそうなんですか? 意外と良心があるんですね」
「それはユズちゃんを大事にしてるのよ。自信持ちなさい」
謎が解けて気が済んだらしい二人は館の方へ飛んで帰っていった
まるで嵐みたいな二人と会話でした…。
「凄いねパルテナさん達、大人だね。全肯定だった」
「まぁ時間がってのは間違いじゃないよな、つまり慣れろって事だろう」
「うーん、言われてみればそうかもしれないね
確かに今はウルフに夢中だけど、いずれは扱いが適当になるかもしれない」
「おっさんからすればそうなるんだったら今の嫉妬してくれる期の方が良いだろうな、好かれてる自信になるし
やはりいろいろ頑張るより自然体が一番って事か」
「プリンも自然体が良いんじゃないの? いやプリンはツンデレが自然体なのかな」
「何年もツンデレしてるから、多分ツンデレが自然体なんだろうね」
「うるさいわ!」
少し元気になりました
もう嫉妬は仕方ないと、不安も仕方ないという事ですね。
確かに今日から今から嫉妬せずに過ごせますか? って言われたら自信無いもんな。出来る気がしないわ
それだったら相手を不快にさせない形で嫉妬アピールした方が良いという事ですね。…ちょっと難しそうだけど
まぁベヨネッタはもう大丈夫だろうし、滅多な事が起きないと嫉妬はないかもしれないけども。
…あたしも気を付けよ。
「ユズちゃん、おっさんに会いに行かないのか?」
「あー、いや、行くんだったら夕ご飯後かなー
いろいろあったとてやっぱり好きだから長く見てられないのよ、眩し過ぎる」
「あー良かった、いつものユズちゃんっぽいね」
「まともに見れん相手と付き合うとは、なかなかハードな道を選んだな」
「プリンもファルコ直視できないでしょ? それと同じだよ」
「なんでやねん!」
「ちょっと違う意味だけどそうだね…。すぐ臨戦態勢というか…」
大自然の中でお菓子を食べて、ある程度調子は戻ったので館に戻る
今日はあたしの為にと二人は時間を取ってくれたので、三人で楽しくゲームで引きこもりをした
いつも通り夕ご飯を作り、片づけをして、お風呂に入り自由時間
今日一日は友情で充実して満足してる。のでこのまま寝るのも良い。
けどそうしたら「会わなくても良いかな」という感情が大きくなりそうなので、意を決してウルフを探しに行くことにします。
とりあえず昨日変な空気にしてしまった事くらいは謝っておかねばならない。用事はそれだけでも良いくらいに変な空気にしてしまったから
部屋には居なかったので、大乱闘でもしてるのかと転送室へ向かう
部屋の中には居ない、試合中の部屋を覗くが何処にも居なかった
…あれ、…これはもしや屋上に居るのでは?
本当に居たら相当屋上がお気に入りなんだな…。
屋上の扉を開くと、目的のウルフとやっぱりなベヨネッタがこちらに顔を向ける
やはりまだ恋心があるようで、多少高揚した気分になるけどここは心を強く持とう!
「こんばんは子猫ちゃーん、目的の人は彼かしら?」
「あぁうん」
あんまり二人の凝視しないようにね…、嫉妬か喜びかなんらかの感情爆発するかもしれないから…
多分ベヨネッタお昼の事言ってるだろうし、あんまり色々言わなくても良いだろう
「ウルフあのね、昨日の夜変な空気にしてごめんね」
「…あぁ、別に気にしてねぇよ」
「それだけ気になってたから、それじゃぁ」
「えっ?! それで終わり?!」
見たこと無いくらい驚いてたベヨネッタにちょっと笑いが出てしまった…
そりゃもうちょっと一緒に居たいとか、お喋りしたいとかはあるけど
お昼の事話してるとすれば、もう全部ベヨネッタに言ってもらった方が楽だし、きちんと伝わるだろう
あたしが話したり説明したりすると、どんどんダメそうな展開になる姿しか見えん…
あと他にやりたい事もあるし。
「えぇー、もうちょっとお話したらー?」
「ベヨネッタはウルフにお昼のあたし達の話をしたの?」
「あぁ…、まぁちょっとは…」
「内容はあたしより上手く説明できると思うからベヨネッタにお喋りは任せるよ」
あんまり長く居るとダラダラしそう
明らかに不満そうなベヨネッタと無表情なウルフに手を振って屋上を後にした
怒ってる感じではなかったからまぁ大丈夫だろう。
視聴機で動画を見ながらゆっくり階段を下りていると、踊り場の所、突然目の前に何かが現れた
音と影に驚いて顔をあげると目の前にウルフが居た
飛び降りて来たのか?! と上の階の方を見る
人によっては飛んで降りる事は出来るだろうが、あたしがやったら足の痛みでのたうち回ってそう…
こちらにやってきたウルフはあたしの見ていた画面を覗き込んだ
内容は特に面白みのないゲームの解説動画です…
「あぁビックリした…! 凄い身体能力だね…! …うわっ」
突然お姫様抱っこされたかと思えば、思った以上のスピードで走り始めた
急の出来事に息が出来ずに居たが、徐々に落ち着きを取り戻す
何が何だか分からないけど、とりあえず重そうにしてないのも驚き。凄い足が速いのも驚き。
途中から人間とは違うんですねぇと感心してしまった
やってきたのはウルフの部屋
一日で椅子が増えてるわけがないので、昨日みたいにベッドに座った
「ビックリしっぱなしだ、どうしたの…?」
「お前の話をお前からじゃなくて魔女から聞くのは意味無ぇだろ。お前から聞きたいんだが?」
「あ、あぁ、それもそうか…。 …ちょっとそっち見れないのは許してほしいけど」
無音にすると気まずいし、ウルフを見ながら話しなんてしたから平静で居られないだろうから
淡々と解説する動画を見ながらです…
ベヨネッタが何処まで話したかは分からないけど、とりあえず最初から説明しておこう
「今日のお昼ね、プリン達と日向ぼっこしてたら、ベヨネッタとパルテナがやって来てね
二人とも昨晩あたしがここに居て良い雰囲気じゃないって知ってたんだよね。部屋出てくるの見たのと、部屋覗きだって。
喧嘩したのかどうなのかって話だったから、説明したのね。
そしたら二人とも「いくら考えても無駄だから嫉妬はしなさい」っていう結論だった。時間が経ったら慣れるんだって
その内「向こう行ってろ」になるってベヨネッタが言ってたんだけど、あれは皆笑ったね」
あの発言を聞いた瞬間の感情を思い出して、思わずフフッと笑いが零れた
座って動画を見るのがダルくなってきたので、ベッドの中央で横になる
…画面から目は離しません。
「そんなの一日二日でどうにか出来る物じゃないという事で、あたしに出来る事はウルフに嫌な思いをさせない伝え方を習得する事だってさ。
なんかベヨネッタが「ワガママ言ってるくらいが丁度良い」って言ってたけど、あたしはベヨネッタじゃないからねー」
チラっとウルフの方を見ると、彼はちゃんとこっち見て話を聞いている様子
…なんか向こうはしっかりしてるのに申し訳ない気分になった
「あ、あんまり真剣に聞かなくても良いからね…、あたしだけラフに話してるの申し訳ないから…」
「喋りやすいんだったらそれで良いぞ」
「そ、そう…?
それでベヨネッタ達と話してだいぶ楽になったんだけど、午後にプリン達とゲームしてたのよ。
途中インクリングがやってきて一緒にゲームしてたんだけど、プリンが勝手にあたし達の話をしたのさ
そしたらイカちゃんが「ゲーム! ゲームするしかない!」って言って何か新しいゲーム紹介してくれたんだよね。その中の1つがまぁ面白くて面白くて。
上手になるためちょっと勉強しようと思いました。
イカちゃんはそう思ってなかっただろうけど、他に夢中になれる事を持つのも情緒安定の一つだよね」
「そうだな、確かにな」
「という事で今、動画で座学してます…。
あ、ちゃんとウルフ第一だから心配しなくて良いからね」
そうフフッと笑いかけると、ウルフもハハッと笑っていた
「とりあえず元気になって良かったわ
特に俺様は嫉妬されてもどうこう文句言わないねぇから言ってもらっても結構だぞ」
「そうなの? ………今のところ予定はないけど」
「溜まって後で爆発される方が面倒臭いだろ、都度言ってくれりゃぁ気を付けられるのは気を付ける」
「…」
ウルフって大人だなぁ、あたしと違ってしっかりしてるというか
本当はここであたしも「あたしにも意見があるなら言ってほしい」というべきなんだけど、まだちょっと言葉が繋がらなかった…
それにしてもその強い心使いや心持ちはお手本にしていきたいよ。今のこの優しさレベルは尊敬する。
初めて惚れた頃、口が過ぎたプリンを踏ん付けてたのが本当に嘘みたいだわ…
今でこそプリン達やベヨネッタ達、インクリングを経てだいぶ心は平和なんだけど、ウルフは最初から今までずっと心は平和なんだろうな
まぁあたしが惚れた側だし、男の人は恋現抜かすとか女の人より少ないだろうし。
あたしを前にしても全然平気そうだもんなぁ…
そもそも感情あんまり出さないタイプなので、あたしには分からないだけだろうが、それにしてもだ。
じっと彼を見ながらいろいろ考えていた所、ウルフは首を傾げる
「…どうした」
「ねぇねぇ、あたしの事好き?」
「好きだぞ」
「いや、それは無いでしょ、好きじゃなくて大事でしょ」
「はぁ?」
「ナナが「ウルフさんは好きって言うより大事にしたいんじゃない?」って言っててね、今、そうだなって思っただけね
昨晩や今の発言とかを踏まえると、ナナの言う通りにしか思えません」
「…あぁ、…まぁそうかもしれねぇけど、お前が思ってるよりは好きはあると思うぞ」
「そうなの?」
「別にいきなり告白されたわけじゃないからな、前々からそんなんだろうなって言動があったし。ちゃんと考えてたぞ」
「あぁ、ちゃんと伝わってたんだ」
それはもう完全にプリンやピーチに言われてやった事に近いのですが。
あたしの相談を受けて燃え上がった桃色ハーモニーのアドバイス通りに動いただけです…。
「彼は変な小細工無しで完全直球勝負!」と真剣に考えてくれたピーチ達です
この話聞いたら凄い喜ぶだろうな「でしょう?! 信じて良かったでしょう?!」って言われそう
「そんな心配しなくても大丈夫だぞ、お前以外の奴に興味無いから」
「優しいね、ありがとう。そんなに良くしてもらってもご飯は豪華にならないよ」
「ははっ、別にそんなの求めてねぇよ」
「何かあたしに不満は無いの? 今なら聞けそうだよ」
「いや、特には…、不満というか力加減がまだ分からないのがもどかしい」
「力加減? 特に痛いと思った事は無いよ、さっきの抱っこも痛くなかったし」
「物理的じゃなくてメンタル的にな。
地雷も分からないし、ちょっとノックしただけで壊しそうだ。ちなみに昨晩のミュウツーの話は地雷なのか? 明らかにそこから暗くなってた気がするが…」
「えっ…、特に地雷ではないかな…
多分「あたしの方が先に誤解とか不安にさせてるじゃないか」って気が沈んだやつだ」
「…あぁそういう事。昨日も言ったが別に不安にも思って無いから気にしなくて良いぞ」
「分かったよ」
まぁ昨日のあたしを見たら、超慎重になりそうだ申し訳ない。
だからなんか信じられない程優しいんだな彼は…
それにしても、気になる事も何でもしっかり言って質問するのね
でもこれしないと不安というものは無くならないのかもしれない。
ウルフの心の平和はこれもあるんだろうな、疑問を残さない。
あたしもちゃんと直接質問や話せるように頑張ろ。
「あたし的には力加減分からないままで良いよ。暫くは今のとても優しいウルフに甘ったれていたいもん」
そう笑うと、ウルフも笑ってくれた
今日は中々上手く会話が出来たんじゃないか自分
それは割とウルフから肯定な発言を得られたのもだし、気を紛らわせる動画があったからかもしれない。
本当は昨晩こうあってほしかったけど、余りにも心や情緒に余裕が無かったからなぁ
第三者の意見を受けたとしても、一日でこんなにも変わるものなのか…
まぁまぁ良い気分なのでこの辺で切り上げておこう
「良い印象・良い感情の所で終わらせる方が良い次回に繋がる」というアドバイスをピーチから受けたので。
「という事であたしは座学に戻ります、ここで寝落ちしたらごめんね」
「好きにしてくれ」
勝手に借りた掛布団に包まって引きこもる。
明日もイカちゃんとゲームをするので動画に集中する事にします
ウルフはすぐに部屋を出てどっかへ行ってしまった
せっかくなので部屋の物色も考えたけど、印象悪いし
それよりも座学だなと結論が出たので起こした体を戻した
嫉妬は邪魔なのか?
やはり寝落ちをしてしまった
パッと目が覚め、知らない部屋の中だと思ったけど、昨晩の事をちゃんと思い出す
手に持ってた機械の画面は真っ黒で動画は止まっていた
なんか動き辛いしやけに温かいと思っていたら、寝てるウルフの抱き枕になっていた。
こんなに近く居るなんて…!
別におかしな事ではないのだけど、途端に恥ずかしくなって気持ち距離を取る
「…照れてるのか?」
さっきまでいびきみたいのしてたから寝てるかと思いきや、いつの間にか目が開いていた
「黙ってて」という意味でお腹らへんをパンチしたが
全く効いていないのかちょっと揺れただけだし、苦しそうな声も出ないし、寧ろあたしの手が痛む
感覚で分かるんだけど服の装甲じゃなくて腹筋だろう
確かに人間より身体能力が上なのはわかってるがここまでとは…。物理的には絶対に勝てないな…。
ご機嫌取り(?)にとりあえず甘えておこう
まだ腕は絡んでいたけど、向かい合う体勢に動いて身体をくっ付ける。その身体に埋まる
ウルフは何も言わず抱きしめてくれたし、頭をポンポンしてくれた
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