お喋り会
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夜、食堂にて三人でゲームをしていた所
わんさかレディース軍団がやってきた
なんだなんだとそちらの様子を伺うと、あたしに気付いたデイジーが嬉しそうに駆け寄ってきた
「ユズちゃん?! 丁度良いわ!
ついでにプリンもナナも参加資格あるから三人で来て!」
「「「?」」」
なんか本当、ぞろぞろという言葉が似合う人数である
大量のお菓子やジュースも用意されて、一体なんの騒ぎなのだろうかと思ったら
どうやらそれぞれの恋愛話を語る会らしい
悩みや出来事、エピソードやフレーズ
特に胸キュンポイントが高いと皆に大好評らしい。
そういう恋愛話を語り明かして恋愛も心も盛り上がろうという会なんだと。
もちろんこういう話が大好きなプリンで食い気味に行ってる。
ナナちゃんからはベテラン感のある話が聞けそうです
一人一人が本気で語ってるだろうし、プレゼン(?)が上手なのか、聞いてて楽しい
結局あたしもこの人達と同類という事ですか…
「ユズさんはどうなんですか? つい最近ウルフさんとよく一緒に居るって聞きますが」
「えっ?!」
あんまり聞かないしずちゃんの惚気話を聞いて満足していたら、何か凄いパスが飛んできた
「そうなのよ! いよいよユズちゃんも噂がって是非おしゃべりに参加して欲しくてね!」
「全く想像が付かないんですよ、ウルフさんと一体どういう話をするんですか?」
「そうそう、あんまり恋沙汰を感じない方ですので」
「プリン達にも全然話してくれないんもんな!」
凄い目を輝かせて来るプリン…、とても暑苦しい…。
そうは言われても付き合ってるわけでもないし
会ったりはするし、お喋りとか稀にゲームとかもするんだけど、皆みたいに面白そうな話は無いなぁ…
「きっかけは何かしら?」
「どっちが言い寄ったの? 告白は?」
という事で思い出話を語る事にした
とある日、大乱闘をしていたのだが、とても運が悪かったのか酷い大連敗をした
全く思い通りに動く事が出来ず、やりたい事も出来ず。
むしゃくしゃして転送室を飛び出し、暫くの間館内を徘徊していた
すると丁度お風呂上がりらしいウルフを発見
考えるよりも先に行動とばかりにウルフに飛びついた
「ウルフ! 飛行機貸して! 貸してくれないなら運転手をして!
明日のご飯に大切に隠していた美味しいお肉追加してあげるから!」
「はぁ?」
返事は関係なく腕を引いて足を進める
いかに明日のお肉は良いものか・珍しいものか語ると、渋々ながらワガママに付き合ってくれた
「それで何処に行くんだ?」
「目的地は無いよ」
「あぁ?」
怒り任せに来てしまった物で目的らしい物はない
館を飛び立ってやってきた方向は、マスターが暇潰しで作ったと言っていたグリーンガーデンだった
コックピットから下を覗き込むと綺麗に整備された森が見えるのだけど
それよりも丁度良い高さ…、足が竦み震える
「さっき大乱闘してたんだけど酷い連敗してね、むしゃくしゃしてるのよ。
あたし高い所が怖いから、高い所に居ればむしゃくしゃしてる場合じゃなくなるのでは? って思ってね…」
事情を説明した後、再び外を覗き込む
なんとも現実的な高さ…
高過ぎると実感が湧かなくなるとか、丁度良い高さが一番怖いらしい。どっちも怖いとは思うけど。
「見てられない」と目を逸らしたり、身体をコックピット内に引っ込めたりする
もう一度と怖いもの見たさで外の方を覗き込もうとした瞬間、機体は真上を向いて急上昇した
余りにも突然の出来事に息が止まる。重さで全く身体が動かない
少しすると今度は機体は真下を向いて急降下した
身体は浮き、落下する感覚。目の前は森。反射的に叫び声が出た
「ぎゃぁああー!!」
森にぶつかる前に機体は旋回して、通常運航に戻った
「はぁ…っ! はぁ…っ!」
「はっはっは!」
楽しそうに愉快そうに笑っているウルフだが、素人相手にこれは酷い仕打ち!
ジェットコースターの超絶上位互換。
思わずその背中をパンチした
「なんだよ、感謝しろよ、嫌な事忘れたかったんだろ?」
「それはそうかもしれないけど、限度ってものがある…
恐怖であたしがもらしたらどうするつもりだったの…!?」
「ははっ! それは面倒臭ぇな!」
呼吸は整わないし心臓は痛む、全身に鼓動響いてるし身体は熱々。絶叫を上げたもんで喉も痛む。
流石にこんな思いをしたら、さっきまでもむしゃくしゃはどうでも良くなっていた
とりあえず今日生きていられる事をありがたいと思わないといけない気がした。
その日以降、何かむしゃくしゃしたり気晴らしリフレッシュをしたいと思った時、ウルフを頼るようになりました
命に感謝するタクシーもそうだけど、最近はマスターが暇潰しで作った遊園地に連れて行ってもらったり
摩天楼を飛行機で探検したり、買い物祭りしたり、わがままを叶えてもらってます
「だから皆から見るとよくウルフと一緒に居るんだよね。最近気晴らしとか関係ないし」
「なるほどねー、彼はノリが良いのねー」
「最近夜の屋上に来なくなったと思ったら、デートしてたのね狼さん」
「いやいやこういう感じだから恋愛とかは無いね、告白とかも無いよ」
「だったらユズちゃんから行っちゃいなさいよ! ワガママにいっぱい付き合ってくれる彼氏なんて最高じゃない!」
「いやー…、実はね、まだワガママ聞いてくれた時は良いお肉あげてるから、お肉で繋がった関係なんだよね…」
「なによそれ! ペットみたいじゃない!」
「あはは! ユズに餌付けされるウルフとは面白いな!」
「せっかく楽しい時間を提供してくれて日々充実してるのに、余計な事して失いたくないなぁ」
「うーん! 分かる! 分かる! 恋愛の最初の方よね!
まだ確信や自信がなくてどうしようもない時期!」
「関係が壊れちゃうんじゃないかって怖くて行動に移せないんですよね!」
「羨ましいわー、私もまた味わいたいわー」
とりあえず皆さんがお求めだった情報を語る事は出来た
彼女達はとりあえず恋愛に繋げたがるのですね…、ウルフが聞いたら鼻で笑いそうだ
「ねぇねぇ! 実際の所、ウルフの事どう思ってるの? 話聞く分にはイケオジじゃなーい?」
凄い悪い顔して迫りくるデイジー
このように根掘り葉掘り聞き出し、彼女達の心の栄養とするのですね。
まぁ正直に語るのも良いかもしれない
何故ならあたしより先に何人か話していたのですが、内容がとてもとても赤裸々だったので
皆の間で恋愛事に関してはプライバシーは無いようです。
仮にあたしとウルフが付き合ってたとして、秘密にしてても知らぬ間にバレていそう
「そうだなぁ、ウルフねぇ…
正直言うと尊敬とか憧れの方が強いかも。お肉あるとは言えいつもワガママ聞いてくれて申し訳ないとも思うし」
「えぇ!? ファンみたいになっちゃったの!?
でもウルフは遊園地とかに付き合ってくれるんでしょ?!」
「そうだね」
「二人で遊んだりしないんですか?」
「なんかジェットコースターが好きなんだよね、叫んでるあたしが面白いんだって。…なんかムカムカしてきた。」
「そりゃぁユズちゃんに興味があるって事だろ! おっさんの好意を汲み取ってやれよ!」
「男として! どうなのよ!」
なんでそんなに燃えて怒りをも感じさせる熱意を持っているんだ。
迫りくるデイジーから顔を反らす
まぁまぁと彼女を宥めるトレ子と「代わりにじゃぁ」とゼルダが手を挙げた
「「好きな所」じゃなくて、「良い所」を教えてよ
私あまりウルフとは関わった事が無くて、見た目も相まって話すのも躊躇われるのよ。良い所ポジティブな所を聞けば怖くなくなるかも」
あぁなるほど、心理的ハードルを下げてくれてるんですね
恋愛的に見ると照れや盲目でぐちゃぐちゃになるけど、人間性オンリーで見れば言葉にしやすいと。
しかも困ってるのでそれをプレゼンしてほしいと。
「ウルフの良い所かぁ
見た目のわりに真面目・常識的。思ったより親切丁寧。すっごい頼りになる。程よく我や芯がある。ジョークも通用する。ボケたら突っ込んでくれる。ワイルドな言動。ちょい悪的雰囲気。
何といっても魅力的な尻尾がある!
とにかく普通に話しかければ普通に返してくれると思うけど」
「えぇー! 本当ー? 私の持つイメージとはだいぶ違うけどー?
楽しくお喋りしてるのにすぐ暴力ふるうわよー?」
「私も納得できないなぁ…
前に飛行船の修理をしてた時に丁度同じ部屋に居たんだ。ちょっと道具貸してって言ったら「ファルコンに頼めよ」って言われたわ…! 何でよ…っ!」
全く納得のいってないベヨネッタと悔しそうにテーブルを叩いてるサムスだけど
それは多少なりとも二人にも原因はありそう…。でも言わないでおこう
「なによ、結構好きな所あるじゃない!」
ちょっと違う気がするけど、デイジーはこれで満足してくれたようでした。
「なるほどね、やっぱり人は見た目に寄らないわね」
「ウルフさんは変に感情を持って話しかけると、察知されますよ
下心ある感じだと高圧的に来ますし、怖がってる子ども達はスルー気味です。」
「そういえばあたし、突然ウルフに「お前はアイクラの相方や犬っころみたいだな」って言われた事あるわ
アイクラの相方って多分ナナで、犬っころって誰だろうって思ってたけどしずちゃんじゃない?」
「ナナちゃんもしずえちゃんも、ファイター平等主義よね
ウルフでも関係なく皆と同じ扱いをするって言いたいのかしら?」
「前に食堂で食材散らかしていたリドリーさんに、レスバの末に完封したナナちゃんとか
掃除してたゴミを、たまたまだけど散らかしたカズヤさん達に厳重注意してたしずえちゃん見てビックリしたわ。もう根っこからなのよねきっと」
「当たり前です! 皆仲間です! 見た目中身がどうであれ差別区別はしません!」
「今度ウルフさんに話しかけてみようかと思ったけど、流石にそこまでのメンタルは無いですね…」
「ユズちゃんと付き合ったらウルフはもっと穏やかになるんじゃない?
早く付き合っちゃいなさいよ! 館内の平和のために!」
「そんなので変わるような人じゃないよ…」
ナナやしずちゃんのメンタルはともかく、皆は結構ウルフの事怖いんだなぁ…
確かに言われてみれば、体格大きいし、基本口調は悪めだし、物理的にトゲトゲ多いし、目は怖めだし、明らかに悪い奴って感じだもんな。
よくあの時タクシー運転手にしてやろうと思ったな自分…
「ねぇねぇ、もしウルフに告白されたらどうする?」
「え"ぇっ?!」
「やっぱりOKしちゃうのー?」
またもや凄い切り込みが入ってきたな…
それにしてもあんまり意識した事の無い内容だ
ウルフとのお出掛けは気晴らしが主で、最近それが少なくなったとは言え行先の楽しいばかりに注目していたわけで…
それをふわふわした言葉で説明すると、なんとも皆さんはつまらなそうな表情…
「お肉が悪いのよ! 良いお肉があるからウルフの事ないがしろにするのよ!
お肉があるからユズちゃんは彼を雑に扱っても良いと思ってる!」
「そう言われたら、なんとなくそんな感じがしてきたかも…」
「この後でも明日でも良いから、良いお肉は売り切れだけどデートに行ってくれるか聞いてみなさいよ!」
「それでNOって言われたら多分ショック死する…」
「そんなんで死にはしないわよ! どうせ死ぬなら告白して失敗しましたって報告してから死んでほしいわ」
「それは酷過ぎる。」
「ウルフとの恋愛凄い楽しそうだけどなぁー、恋の駆け引き上手そうだもん」
「ねー? あのタイプで恋愛経験無いなんてありえないでしょ、絶妙な加減で勝負してきそう、こちらが折れない程度の」
「えぇ?! 私は駆け引きとかしないドストレートノーガードタイプだと…」
「私もそう思います。言いたい事は言うし言いたい事があったら言えという感じかと」
「上手に手招く派か、直球で向かってくる派で分断されてるな。
どっちにしろユズちゃんは翻弄されて終わりだ。ボロボロボロ雑巾だ」
自信を持って語りかけて来るプリンを優しい目で見つめる
内容はあたし絡みだけど、皆は楽しそうなのでどうでも良いでしょう。
まともに話に参加してたら、本当にそう意識してしまいそうだ
「ユズちゃんは?! どっちのタイプが良いの?!」
「えっ? ど、どっちでも大丈夫だけど…」
「何よ! せっかくだから言っときなさいよ! 彼に伝えておくから!」
「要らないよ! 余計な気を使わせちゃいけないよ! 現状で満足してるんだから複雑にさせないでって…!」
「ノンノンユズちゃん、私達が伝えに行った所で蹴とばされて退散するだけよ。
でももしかしたら、本当は彼にはそんな気持ちがあって、私達の言葉を拾ってくれるかもしれないじゃない!」
「えらい前向きですね…! それを踏まえてもどちらでも良いですって…。相手に無理に合わせるなんて苦しい事させてはいけない。」
そうキリっと言い切ると、ブーイングする者半分、納得する者半分…
「あーあー分かった分かった…! とりあえずお肉売り切れの件は聞いてみますから…!
タクシー失ったら皆のご飯に下剤入れますからね…!」
「やった! これは一歩前進ね!」
「ウルフさんのタイプ的に、いくら良いお肉があったとしても気が乗らなかったり別用があったらタクシーしないと思うんですよねー、今までにタクシー断られた事はあるんですか?」
「うーん、記憶に無いかなぁ…」
「じゃぁお肉無くても大丈夫ですよ! きっと脈ありです!」
「そうですよ! ここまでワガママに付き合ってくれてるんですから脈ありよ!」
「本当それね、これは脈ありね」
本当に凄いなこの人達、何を言っても恋愛に繋げやがる。
なんかもうあたしが片思いしてる立場なような気がして来た
まぁ告白するわけじゃなくて、お肉が無くなった事の話をするだけなんだけども。
「お肉の件を伝える」と皆を宥め倒す
そしたらやっとあたしから照準は外れた
「そういえばプリンはファルコとどうなの? 喧嘩ばかりしてるけど何時まで激突し合ってるのよ」
「うーん…」
次は隣にいたプリンなのだけど、こんな話題プリンだったらすぐに爆発するだろうと思っていた
しかしプリンは深く考え込んでいる様子
「実はな、焼き鳥に何かプレゼントをあげたいんだ。」
そう意を決したように、しんみりと語った。
まさかの発言に皆は黙り静まり返る
ファルコの話を振られて爆発しないだと? しかもあんな敵対してたのにプレゼント?
あぁこれはきっと皆が包み隠さず本音で語ってるのを見て、プリンだけ嘘つくのは申し訳ないと思ったんだろうな。
誰も喋らずに居ると、プリンは眠るを繰り出す
隣に居たあたしやナナ、辺りの机やおやつ達は爆散した
「大変な片付けでした…。」
マスターに事情を説明して壊れた家具を治してもらいました
あれはプリンというよりもなんとか盛り上げなかったあたし達が悪いだろう。
とりあえず謎のお喋り会は終わったのでウルフを探します
やる気は時間とともに低下するので早めに済ませておこうと思う
食堂を後にして近くの部屋から順番に見て回ってると
リビングに談笑しているおっさん達が居た。ついでに動物三人組も居た
なんかおっさん達が集まってお喋りしてるの珍しい気もしますが…
扉を開けて中を覗き込むと、先に気付いたらしいフォックスがウルフの肩を叩く
ウルフがあたしの存在に気が付くと、何も言わずにこちらにやってきた
とりあえず他の人達に聞かれたくないし、離れるように歩みを進める
「なんだ? またお出掛けか?」
「いやね、ちょっと聞きたい事があってね。
何時もお出掛け付き合ってくれるんだけど、お肉無くなってもタクシーしてくれるのかな?って」
即行で言わないとどんどん言い辛くなるだろうから、まるで他人事のように言葉にする
「それは嫌だな」
「えっ…」
思わず足が止まってしまった
一応覚悟はしていたし、ウルフにも自分のしたいようにする権利はあるし
実際タクシーは面倒だろうし、そうなる道もありえると分かっていたはずなのに
こうもあっさりそうだと言われると、凄い衝撃だ凄いショックだ
しかたないのでお肉は続行しながら、徐々に回数を減らしていくしかない
なんかNoと言われたら今後二人でお出掛けするの気まずいよ。
「やっぱり言わなければ良かったな」が何度も頭をぐるぐるすると
少し先を歩いていたウルフも止まってこちらに振り返る
「なんだよショック死してねぇじゃんか」
「…ん?」
「Noって答えたらショック死するんじゃねーのか?」
「…」
…なるほどこれは
手段は知らないが、さっきのあたし達のお喋り会聞いてたっぽいな…?
あたしはショック死するみたいな発言したの、ふんわり覚えてる。
これはお肉所の話ではない事態なのでは…?
「もしかしてだけど、さっきのピーチ達とのお喋り聞いてた…?」
「聞いてた」
「…」
今までにない感情、虚しさ・恥ずかしさ・悲しみ・焦り・申し訳なさ等、また頭の中をぐるぐるする
「ちなみにどうやって聞いてたの…」
「さっきの部屋に野郎共が居たろ? あいつらが盗聴してた」
なんだそれ! かなりの人数居たと思いますよ?!
少なくともお喋り会いつメンの相手方は根こそぎ居た気がしますが…?!
これはピーチ達知ってるのか? 聞かれて大丈夫なのか? だいぶ切り込んで話をしてたし
「この人はこうよねーあはは」的な話もたくさんしたと思うんだけど…
まぁ…、確かに、会話内容を男性陣が気になるのも分からないでもない
聞いたら心がほっこりする事も無くはないのか…?
大概良い事言ってるし、悪い気はしないだろうし、また頑張ろうと思えるというか…
だがしかし最後のプリンは大丈夫なのか…? あの部屋ファルコも居たし…
「いつもお喋りを盗聴してるらしいぜ、時々盗聴器発見されて壊されたりしてるとか。
聞かれたくない女共と聞きたい野郎共の攻防が毎回あるんだと」
もう苦笑いしか出ないわ…
一応ピーチ達は聞かれないようにしてたけど、今回はたまたま! 盗聴組が勝ってしまったと…
「どこまで聞いたの?」
「あー? 風船がプレゼントなんとかって言ったら、突然音割れして終わった」
「あっはは」
乾いた笑いが出た
つまり最後まで聞いてるじゃないか。
それじゃぁあたしがウルフについて語ってるのも聞いてるじゃないか
もう気晴らしに全員のご飯に下剤入れよ。八つ当たりだ。
やるべき事は決まった
下剤を誤魔化すためのカレーを作ろう。素晴らしいお肉が入ったテロカレーだ。
「分かった、それじゃああたしはこれで」
「まぁまぁ落ち着けって冗談だ、お前にはきつかったな」
「冗談…?」
「別に肉が無くてもタクシーはしてやるよ」
「本当!?」
急な方向転換だけど、自分でも驚く速度で思った以上に嬉しいが全面に出た
そして失わなくて良かったという謎の安心感も後からやってきた
確かにウルフも盗聴してたらしいから、からかい的にNoって言ったって事なのね、良かった良かった
「分かりやすくへこんでんだから、相当ショックだったんだな」
「そうなんだよ…。覚悟してたけどそれ以上にショックを受けた」
「ふーん…。
別にお肉出せば運ぶんだから現状が変わるのかって言われれば変わらないだろ。なんでそんなにショックだったんだよ」
「あぁ、本当だ…、なんでだろ…」
言葉にはしないが「気まずくなる」って思ったけどそれも何故なのか
「脈無しだったのがショックだったんだろ」
「え、そ、そうなのかな…
そう言われたら、そうにしか思えなくなったけど…」
「どっちでも良いが、今後もタクシーとして使うんなら俺様に気があると判断するからな」
「えぇっ!?」
「おいおい、女共とあの会話をしといてその気は無いってそりゃねぇぜ。
正直、俺様も盗聴参加するまではお前の事面白いくらいしか思ってなかったが、お前だったら良いわ。
だから肉が無くてもタクシーするっつってんだ」
「あぁ。」
なんかその言葉を聞いて、スッと心が楽になった
ウルフもまた、あたしと同じ立場だったか
今までは特に何もなかったが、あのお喋り会のせいで意識させられてしまったんだ
部屋に輩がいっぱい居たからからかわれたりしたんだろうなぁ、フォックスとか絡んで来そうだもんなぁ
内容も内容だし、環境も環境でもっとドロドロして面倒な展開になると思ってたけど、なんかさっぱりした感じになった
ウルフもあたしを悪くないって言うんだったら、それも良いのかもしれない
せっかくのご好意なので受け取っておかねばならない
「それじゃぁこれからもよろしく」
「分かったよ、任せとけ」
ピーチ達は駆け引き上手かノーガードかと言っていたが、とにかく優しいウルフというのもあるのかもしれない
そんなんで変わるとは思ってなかったけど、本当に穏やかルートもあるのかもしれない。
お喋り会
翌日、朝食作りをしていると
しおしおのプリンといつも通りのナナがやってきた
「おはようー。 …それは大丈夫なのかプリン」
「大丈夫じゃない…。 ユズちゃん、このご飯に下剤は入れるのか?」
「入れないよ、不要だよ」
言葉を聞いた瞬間、いつもの以上にテカテカ丸々プリンに変身した
「じゃぁ肉無しタクシーって事だな!?」
「そうそうそういう事。そういえばウルフから聞いたんだけど、昨日のお喋り会は盗聴されてたっぽいよ。音割れで終わったって言ってたから最後まで聞いてたかも」
「「えっ?!」」
「聞いてたらしい部屋でウルフと一緒にファルコも居たから、ファルコも聞いてたかも」
「そ、そんな…」
そうプリンは呟くと、一瞬にして氷の状態異常になってしまった
「別にプレゼントしたいって良い話なんだから悲しまないでプリン」
「爆発したり凍ったり、テカったりしぼんだり忙しいね」
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