恋に恋してる
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最近ナナのお菓子作りに触発されて、色んなおやつ作りに挑んでいます
まずは簡単そうな物からと蒸しパンを作った
赤、ピンク、緑、黄色、紫、茶色、黒となかなかカラフルな色をした蒸しパン達である
こういうのは出来立てを食べるに限るので早速頂くのですが
何せ量が量なので、何個かは誰かにあげようと思う
パンの乗ったプレートを手に中庭に向かうと、途端に緑色のパンが宙を舞いミュウツーの方へ飛んでいく
ミュウツーに質問をする→答えてくれる→そのお礼に好きなパン一つどうぞ→
甘くないものが好きなミュウツーはお茶味やビターチョコ味を選ぶ、今回はお茶味だったけど。
こういう流れになるのが分かっているっぽいので、先に緑蒸しパンを回収したっぽい
「ウルフなら屋上でベヨネッタに絡まれてるぞ」
そういうとミュウツーは蒸しパンを手に取った
「あーいたいたー」
言われた通り屋上に向かうと、ウルフとベヨネッタが居た
二人は仲が良いのかよくわからないが、ミュウツーが「絡まれてる」というなら、ベヨネッタが面白がって話しかけてるに違いない
「あらー、ユズちゃんこんばんはー、その美味しそうなものはどうしたのかしら?」
「あぁ、蒸しパン作ったんだけど一人じゃ食べきれないからねー
ウルフにも作ったんだけど、ベヨネッタもどうぞ」
「ありがとう、早速この甘そうなパンを」
と、ベヨネッタはピンクの苺パンを持って行った
「ウルフには甘くないパンを。お茶はミュウツーに持っていかれてしまったけど」
「あぁ、ありがとう」
これだと黒いパンを指差すと、ウルフはちゃんとそれを持っていってくれた
「ユズちゃんは狼さんに優しいわねー、他の子はビビり散らかしてるのに、怖くないのかしらー?」
「それ言ったらベヨネッタも同じじゃない…? あたしは怖くないけどなぁ」
「良かったじゃなーい、可愛いファンが居てー」
「うるせぇよ…。」
「もーう!! 二人見てると関係無いけどドキドキするのよー! もどかしいのよー!」
「うるせぇって…!」
ベヨネッタは柵の上に居たのだけど、ウルフの回し蹴りが飛んでくると、さらっと飛びかわした
まぁベヨネッタの言いたい事は分かる。
もちろんウルフは好きでのこの行動なのだけど、付き合っているというわけではない。
このくっ付きそうでくっ付かない、お互いに悪いと思っていない雰囲気
第三者が見たら「これは付き合うやろ、両想いだろ」と思うような関係性
でも付き合うまでは至らず平行線を進んでいる
いつこのバランスが崩れるのか、考えただけでもワクワクする
あたしはこの感覚が大好きだ
本当は当事者は自身でなくても良いんだけど、より良い充足感を得るために自分でやるのです。
更に言ってしまえば、脈ありなのかなーという憶測も楽しい
ベヨネッタやプリンが言うには、ウルフは変わったそうだ
今ほど部屋の外に出てなかったらしいですし、お出掛けもしない。大乱闘はするけどぐうたらしてたらしい。
それがどうですか?
今は色んな所でおしゃべりしたり、ゲームしたり、あたしのリクエストでお出掛けしたり
こんなにもアクティブになったのはあたしのおかげであり、それはあたしの事を気にかけてくれてるんだなって
そう思うだけでもワクワクウキウキするのです。
この桃色オレンジ色の感情を味わってしまっては、止める事はできないよ
気分がよくなったので、改めて蒸しパンに目をやると、黄色い蒸しパンだけになっていた…
どうやら2人がバクバク食べていたらしい
「二人は付き合ったりしないのー? ピーチちゃん達涎垂らして報告待ってるわよー」
「お前らには関係ないだろ、そのまま涎垂らしてれば良い」
「ユズちゃんはー? 狼さんと正式に付き合いたいと思わないわけー?」
「えっ…」
ベヨネッタに言われて、改めて考える
ウルフの事は好きですよ、とっても。
しかし、付き合う前と後では状態が違うのだ。正式に皆公認に付き合ったら、今までの桃色オレンジ色のワクワクウキウキが無くなってしまう!
…もちろんそれに代わる何かがあるというのは分かっているのだけども。
もーっとこの甘くてもどかしい感情を味わいたい…!
「思ってるっちゃ思ってるけど、それはまだまだ先の話だね」
「えぇー? どうしてー?」
「あたしが至らないからだねー」
深刻にならない様に、爽やかに受け流す。これ言われたら何も言えないでしょう。
「ユズちゃん全然悪い所無いわよー! 狼さんには勿体ないくらいだわー!」
「うるせぇ!」
再びウルフの回し蹴りが飛ぶが、ベヨネッタは華麗にかわした
「うーん、まぁ二人の事だし、私があーだこーだ言ったって何もならないし、仕方ないっちゃ無いんだけどー。もどかしいわね」
「ごめんねウルフ、あたしはまだまだだね」
「あぁそうかい、どーだかな。それは何時になったら解決するんだ」
「えっ…、うーんそうだなー、あたしがもっと大人になってからかなー」
「…なんじゃそりゃ」
「それともウルフー、あたしの告白待ってくれてるのー?」
「ちげぇよ」
「あっはは! 告白待ちだなんて狼さんらしくないわね!」
「うるせぇって!」
蹴っても避けられるのは分かっているのか、今回のウルフは吠えるだけだった
いやー! 楽しい! からかいも楽しい!
甘ったるい感情も好き、少し酸っぱい味も好き
ウルフは好きだよ
でも申し訳ないけど、今この時にしか味わえない感情をもっと味わっていたい
そうウキウキな気分で、最初で最後の蒸しパンを口に入れた
恋に恋してる
「じゃぁ狼さんから告白すれば良いじゃないの」
「したよ、同じ事言われたわ」
「えぇー? 随分と優しい狼さんねー!」
「バカにしてんのか…」
「ごめんよウルフ、もう少しあたしのワガママに付き合ってね」
「へいへい…」
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