そんなんじゃないけど
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「ウルフー…、一緒に寝て良いー…?」
「あぁ?!」
階段の所で見つけた目的の人
あたしが質問するとウルフは今まで見た事の無い形相でこちらを見た
怒っているわけでもない、嫌がっているわけでもない、しかし良く思ってるわけでもない
無理矢理言うなら「お前は頭打ったのか?」っていう感じで、呆れているし、吃驚してるし、馬鹿にした様な感じだ
「そ、そんな顔しなくても良いじゃない…」
「お前何言ってるのか分かってるのか?」
「分かってるよ…! 恥忍んで言ってるんですが…!」
「なんで俺様なんだよ、他の奴で良いじゃねぇか」
「…。」
そう言われたらそうなんですが
本当は布団を取り込むのを忘れて布団が湿ってて寝れないとか
まだ未開のウルフの部屋に入りたいとか、ウルフの寝顔が見たいだとか、そんな事言えません。
「確かに誰でも良いよね。だったらウルフを選んでも良いじゃん。」
「なんで俺様なんだよ、風船野郎とかアイクラの相方とか居るだろ」
「…」
…もう! 黙って部屋に入れろや!
誰も寝首狙ってるわけじゃないんだからさぁ!
「せっかくウルフと仲良くなれると思ったのに…、あたししょんぼり…」
一体何がしょんぼりなのか自分でも不明だけど、目的達成の為なら仕方ない。悲しみの表現だ。
…なんか喋った後に思ったけど
「あたししょんぼり」も訳分からないが「仲良くなれると思ったのに」も訳分からないな。意図してなかったのに含みを感じられる
「分かった分かった、勝手にしろ」
「やった! ウルフ優しいー!」
という事で無事ウルフの部屋に招かれました
初めて入るウルフの部屋、…まぁまぁ綺麗ですね
彼は一応おっさんなので、ナナやプリンの部屋と比べると無機質で温かみの無い部屋だ。
なんかこれを見ると「これあげる、大事にしてねー」っていろんなインテリアや飾り、造花とかプレゼントしたくなるなぁ
そんでまた訪問してみて、プレゼントはどうなってるのかの確認。 …彼女か、あたしは。
「という事であたしは興味のある物を…」
床に座って近くのテーブルにあった雑誌を手に取る
よくあるメンズ物ですが、どんな物があるのか気になる
「勝手に見るんじゃねぇよ…」
「雑誌ぐらい良いじゃない…」
「そうかい、俺様はもう寝るぞ、好きな所で勝手に寝てろ」
「えぇ?!」
ベッドに潜り込もうとしたウルフに、思わず声をあげると彼の動きが止まった
彼は目を細めてこちらに顔を向ける
「なんで嫌がるんだよ」
「ウルフが寝るんだったらあたしも寝る」
「じゃぁ勝手に寝ろよ」
「早く布団に潜ってよ」
「はぁ…?」
雑誌をテーブルの上に放り投げて、ベッドに入ろうとしている体勢のままのウルフをそのまま押す
「おいおいお前もって言うんじゃねぇよな」
「良いじゃん! 寒いんだから!」
「…」
無理矢理押し込んで自分もベッドに潜り込む
えらい冷たい布団ですが、二人も居れば直ぐに温まるでしょう。
思った通り直ぐに温まってきた布団の中
彼は壁側で壁の方を向いている
あたしは背中合わせの様に反対側を向いて寝てるわけですが、ここで問題が…。
出来れば身体全部がかぶる様に布団を使いたいのですが、そうするとウルフが布団を引っ張ってくる。きっとあたしが引っ張るとウルフは掛け布団からはみ出るのだろう。
だから彼は引っ張り返すのだがそうすると今度はあたしがはみ出てしまう、だからあたしは引っ張り返す…
その繰り返し
暫くその引っ張り合いが続くと後ろからの叫び声、それと同時にベッドは揺れた
「お前! 引っ張んじゃねぇ!」
「ごめん…、寒くて寒くて…」
ガバっと掛け布団を巻き込んで身体を起したらしいウルフ
見てないけど、掛け布団が無くなったのでそんな感じだろう。
急に寒くなったのでとりあえず丸まる
「だー! めんどくせーなーおい!」
「…そんなに叫ばなくても」
「誰のせいだと思ってんだ!」
「あたし…」
「分かってんだったらさっさと布団をよこせ!」
「ウルフが持ってるんじゃないの…? 寒いから丸まってるんだけど…」
という事で寝返りをして身体を寄せた
凄く寒いというわけではないが、掛け布団はあった方が良い。
少しの沈黙時間後、あたしの顔に彼の手が乗った
「お前は俺様を誘ってんのか?」
「…。」
…何を言ってるんだバカタレが自重しろ。
と言ってしまう勢いですが、まぁ今までのあたしの行動を考えるとそう捉えられてもおかしくないのか
違いますと当たり前の返事を返すが彼からの応答は無い
でも代わりにあたしの顔に置かれた手は頬や首を撫で始める
…あんたがやる気になってどうするんだよ。
彼なら大人だしおっさんだから大丈夫だと思っていたけども、やっぱりな展開になってしまった
「駄目だよ、自重しなよ」
「寒いんだろ? 俺様が温めてやるけど」
「あはは」
まぁ別に死にたくなるほど嫌ってわけでもない、ウルフは嫌いじゃない、優しいし悪い人じゃない
…正直勘違いさせる様な事をしたのは自覚してるし。
「…優しくしてね」
そうぽつり呟くと、顔を撫でていた手が離れる
その手で仰向けにされると彼はこちらを覗き込んできた
薄い明りの逆光で表情は見えないけど、優しい顔だと良いなー
そんな事を考えながら口を重ねた
そんなんじゃないけど
「あれは男なら100%誘われてると思うが?」
「それでも違うとあたしは言い切るよ。」
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