落書きで暇潰し中
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とある冬の夜
寒い寒いと温かい食堂の大テーブルで暇潰しの落書きをしてます
しかし途中で困った事がおきました
まぁまずその落書きとは、女性達の落書きです
例えば最初に描いたのはマリオとピーチが踊っている落書き
二枚目はデイジーがルイージをお姫様抱っこしてる落書き
三枚目はリンクとゼルダが料理している落書き、とレディース皆が絡む感じです
そして問題の次なんですが…
ベヨネッタを描きたいのですが
果たしてベヨネッタは誰が好きなのか、全く検討が付かないのです
適当に決めるわけには行かないのですが、直接好きな人を聞いても
「私の好きな人? 皆だーい好きよー」と言うに違いない。
確かに彼女は男性女性動物関係ない感じがします。
まぁどうせこの落書きは皆に見せるものじゃないし
あたしで適当に決めてしまおう…。
という事でベヨネッタの落書きは、スネークと横向き背中合わせにしよう。
いかにも昔から何か関係がありそうなカッコいい風に書きます。
うんうんとユズは頷くとさっそくペンを手に取った
落書きは現在モノクロ
気が向いたら色鉛筆で着色用ペンでも何でもつけようと思いますが
8割くらい落書きが描き終わった時
食堂に一人、訪問者がやってきた
「あ? お前、此処で何してんだ?」
「!」
運良くその人はウルフ
良かった…、プリンとかベヨネッタじゃなくて…
「暇だったから落書きしてるんですよ」
「ふーん…」
対して興味が無さそうな返事をするおっさん
でもとりあえずあたしの側にやってくると、描き終わった紙を手に取って見始めた
「…お前、絵上手いな。」
「はは、ありがとう」
「それで、なんで変態魔女はこいつなんだよ…」
紙をテーブルに置いて、今取り掛かっている落書きを覗き込んできたウルフ
紙に影が入ったのでしっしと払う…
「描きたいけど、誰が良いのか分からんかった…。」
「だからってこれにしなくたって良いだろ…。」
作品の側、まだ描かれていない真っ白な紙が一枚ある
ウルフはそれを手に取る…
「この紙はお前用か?」
「その通り」
「ほう、相手は誰なんだ?」
「知りたい?」
「あぁ、興味はあるな」
ベヨネッタの落書きも大まか描き終わって、完成した紙の上に乗せる
残り一枚となった白紙を引っ張ってきて、大体の構図を照らし合わせる…
そんな難しいのにはしない…
時間かけるとウルフがうるさくなりそうだから。
ウルフと言えば隣に座って、テーブルに肘ついて頬杖付いて
落書きの様子を伺っている様だ。
なんか、描いてるイラストは「落書き」というくらいだから
気合の入ってない可愛い・ゆるキャラ風に描いていまして
その感じで自分を描くわけですが、なんか違和感があるというか、抵抗があるというか
ちなみにあたしの落書きは
あたしがテーブルに頬杖付いて、例の相手の事を想ってる風です
雲風吹き出しを書いて、その中にウルフが興味を持っている相手の顔だけを書くわけです。
…故に今までのどの落書きよりも簡単で早く終わります。
妄想しているあたしも描き終わって、雲拭き出しも書き終る
そしていよいよその相手を描くわけですが…
「ふぅ…、休憩休憩…」
そう呟いて伸びをした
「何が休憩だ。もう少しで終わるじゃねぇかよ」
軽く頭を叩かれると、そのままウルフの手は雲拭き出しの中を指差した
「何を知った事を…、どれだけ落書きが大変なのか分かってないから」
「分かんねぇよ。俺様は絵を描かねぇから。
それよりも早く続きを描けよ」
「誰を描いてほしい?」
「決まってんじゃねぇのか」
「決まってるよ」
「だったらさっさと描け」
「もう…、文句言い過ぎでしょ…、ただの落書きなのに…」
という事でしぶしぶ紙に向かう事に…
でも此処でちゃんとするあたしではない。
ウルフの期待を裏切ってみせる!
という事で拭き出しの中に描いたのはモンスターボール
「おいおい…、なんだそりゃ…」
「モンスターボールだよ。
モンスターボールって便利だよね、一緒に戦ってくれるから、怠けてても大丈夫だし」
「お前は馬鹿か。」
そう呆れも怒りもせず、普通にモンスターボールだけを消しゴムで消すおっさん
「ちょ、ちょっと…!」
「真面目に書けよ…。」
「もう! あんたはなんなんだ…! ちょっと見ないでよ…?」
紙を返してもらってウルフには見えない様に手でガードしながら
本当に描こうと思ってた相手を描く
だたし、ここでもあたしは真面目にはなりません
「なんじゃこりゃ…」
完成したので「ほら!」とウルフに紙を渡すと
ウルフは分捕って、雲吹き出しの中を凝視した
あたしはその相手を物凄いミニサイズで描きました
正直、あたしにも何が描いてるのか分からん。
「ゴミじゃねぇか! しっかりと描けよ!」
「なんで怒ってるんだよ…! ただの落書きじゃんか…!」
紙を取り返して、そのゴミ部分を消しゴムで消す
まぁ、その相手とは実はこのおっさんを予定してました
ウルフに此処で落書きをされてる所を見つけられてなければ
雲吹き出し内はウルフでした
でもあたしはそこまでの勇気は無い。
…というか今ここでウルフを描いても
「またお前ふざけてる。」って言いそうだし
という事で別の人の顔をちゃんと描いた
「ほら、これが答えですよ」
紙を渡して、嘘だけど答えを教えてあげる
「…お前、…ワリオが好きなのか?」
「いや、好きじゃなくて…」
あたし、ワリオの顔を描きました
何でかと言われると、まぁ…、羨ましいのです…
あの自由で、自分自身と自分の欲望に正直に生きて、大事をやってのける、あの人間が…
好きと言うよりも憧れ
好意というよりも尊敬である。
…放屁で攻撃したり、空を飛んだりする所はちょっとあれですが。
「尊敬してますので」
「…何処を。」
「あんたには分からん事だ。ほっておけ。」
紙を奪い取って完成したイラストを眺める
自分で言うのもなんですが中々上手くいったのではないか?
途中ウルフは立ち上がると、扉の方へ歩いていく
「ちょっとおっさん、間違った噂を流さないでよ?」
「わかってらぁ…
…まぁ、俺様のライバルが分かっただけでも良しとするさ」
「ん?」
「お前には分かんねぇ話だ、忘れろ」
そう言ってウルフは食堂を後にした
「うわ…、あたしってばチャンス逃した感じではないか…?」
あの最後の言葉、ウルフの本心であたしの憶測が当たっていれば…。
あたしってば折角の機会を無駄にしたわ!
あの雲吹き出しの中を最初通り正直にウルフを描いていれば
今、ウルフといろいろ話が進んでいたかもしれないのに…!
「…でもまぁ良いか、これからウルフと仲良くしてみーよう」
今日を逃したらお終いというわけではないので、気楽になろう
時間はまだまだあるからさ
眺めていた落書きをまとめて
あたしも自分の部屋に戻るため食堂を後にした
落書きで暇潰し中
いや、でも本当に勿体ない事をした…。
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