月が綺麗ですね
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今日は目が冴えてしまって、全く眠れそうにない
それならあえて起きるというのもありだと思うので、あたしは思いきって飛び起きた
現在午前二時
まぁ夜更かししてる人はしている時間ですが、館内はとても暗くて静かです
気晴らしにあたしはひとりで屋上に向かった
「あらー? ユズちゃんじゃなーい、こんな遅くにごきげんよう」
「え?」
扉を開けて、まず目に入ったのはウルフ
此方に気付いて振り返っている
のだが、ベヨネッタの声が聞こえる。
よく見たらウルフの近くにベヨネッタが居た
黒くてよく見えません…。
それにしても二人は仲が良いのかな?
「どうしたのかしらー? 眠れないとか?」
「そうそう…。何か眠れなくて…。」
何か丁度良く二人の間に一人分の隙間があるので、そこにお邪魔した
お父さんはウルフ、お母さんはベヨネッタみたいです。
「二人は何してるの?」
「私達も眠れないのよ。
私も彼も基本夜行性だから、仕方ないのだけどね」
「二人は仲良いの?」
「そうじゃねーよ…。」
「私は狼さんは嫌いじゃないわー、この館にいる男で三番目に好きよー」
…三番目って、また微妙な順位だな。
何が面白いのか分からないが、ベヨネッタはずっとクスクス笑っている。
それを見て、明らかに不満そうなウルフはため息を一つ
その後空を見上げた
「ユズ、今夜は月が綺麗だな」
「え?」
隣でベヨネッタが大きく笑い始めた
何がそんなに面白いのか…。
ウルフに言われて、空を見上げると真ん丸満月が目に入る
マスターが作った世界なので、本当に近くにあって大きくて神秘的だ
たまにウルフェンに無理矢理乗せてもらって、この世界の風景を見に行ったりしたけど
この風景もとても綺麗だ
「本当だね、今なら取れそうじゃない?」
勿論冗談だけど、あははと返事を返すと
何故かウルフはきょとんとしていた。
なんだろう? と思いながらベヨネッタの方を見ると、彼女も目を丸くしていた
「あたし、何か変な事言った…?」
「いや…、そんな事は無いが…。
因みにお前、意味を分かっててその答えか?」
「?」
意味を分かってて?
何の? どれの?
分からずに考え込むと、ウルフは「やっぱり分かってねーよな」と、月の方に顔を戻した
「ユズちゃん知ってる?
「月が綺麗ですね」って言うのは、言った人が言われた方の人に告白してるのよ」
「えっ?!」
「ストレートに「好きです」って言えない世の男が、想いを伝える便利な言葉よ。
狼さんにぴったりの言葉じゃなーい?」
「うるせぇよ…。」
「それで「手が届くかも」っていう答えが、ざっくり言っちゃえばOKって意味。
ユズちゃんさらっと似たの答えたから、意味を知ってるのかと思ったわ」
「あー…。なるほどねー…。」
それは聞いた事がある内容だった。
ベヨネッタの説明でそんな話を今思い出した。
ただ鉄板の答えしか知らない
手が届きそうも答えの一つのだったのか
冗談でも言いたい事を言ったのですが、あたしにとって都合の良い答えになっていたのですね
ニヤニヤしながら、まだ月を見ているウルフを見る
「ウルフー」
「なんだよ」
「死んでもいいわ」
そう伝えると、またベヨネッタが大声で笑い始めた
ウルフは驚きながら此方に顔を向けると、顔面を掴んできた
「お前知ってるじゃねーか!」
「違うよー! ベヨネッタの話を聞いて思い出したんだってばー!」
「やっぱりストレートに愛情表現を言えないのは駄目ねー!」
「うるせぇっ!」
月が綺麗ですね
「あたしはウルフの事が好きー」
そうピタッとウルフに身体をくっつけた。
「狼さんもユズちゃんみたいに素直になりなさいよー
彼女だって正直に表現出来るじゃなーい、何が恥ずかしいの?」
「へいへい…」
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