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アリ・パシャ
……ほう?
人間とは面白い事を考えるものだな。
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マフムト
アリ・パシャ?
何だか楽しそうだけど、どうかしたのかな?
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アリ・パシャ
マフムトか。
暇潰しに見ていたのだが、なかなかに興味深い内容が記載されていてな…人間とは『瞳の色』でこんな事を考えている様だぞ。 -
マフムト
瞳の色?
どれ……ほう。 -
アリ・パシャ
緑色の目は嫉妬(しっと)の象徴
青色の目は博愛(はくあい)の象徴
赤色の目は激烈(げきれつ)の象徴
紫色の目は独占(どくせん)の象徴
茶色の目は慈愛(じあい)の象徴
黒色の目は孤独(こどく)の象徴
……………と言う事は、緑と赤の瞳を持つ貴様は、『嫉妬』と『激烈』を常に宿している、と言う事になるだろう? -
アリ・パシャ
くくっ……絆だの祈りだのほざいてる貴様だが、人間達はたかが瞳の色だけでこんな事を連想しているとはな。
滑稽過ぎて笑いしか出てこないな。 -
マフムト
ふふふ、確かに。
これはまた面白いね。
エセンの瞳の色は綺麗な青い色だから『博愛』かな?
紫も少し入っているから『独占』とも取れるね。
実に良く表現されているなあ…… -
アリ・パシャ
は?何処がだ?
あいつのどの辺りが『博愛』の『独占』になるのか検討もつかないが? -
マフムト
あの子は『博愛』だよ。
だって余が困っていると何時もそっと手を貸してくれるし、あなたの無茶な命令にも何時も応えてくれているでは無いか。 -
アリ・パシャ
はあ!?
マフムト、貴様…俺様に喧嘩を売っているのか!? -
マフムト
ははは、そんなつもりは無いのだよ。
だけど実際にそうだろう?
………今だって、あなたの命令で出掛けているのでは無いのかな? -
アリ・パシャ
………………
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マフムト
それに、あの子はそうする事で『自分の居場所』を守ろうとしているのだろうと思うのだよ。
あの子は、余とあなたとは違って出自や持ち主もあやふやな所が有るだろう?
何となく自分の存在について不安を抱いている様に思えてね、だからあなたからの命令を遂行する事で『居場所』を確保して安心を得ようとしている様に思うのだよ。 -
マフムト
……………なんて、考え過ぎかも知れないけどね。
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アリ・パシャ
………………見ていない様で見ているのだな。
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マフムト
アリ・パシャ?
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アリ・パシャ
まあ、そう思うのならば思っていれば良いだろう。
が、エセン本人には言わない事だな。 -
マフムト
ふふ、分かっているよ。
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マフムト
…………おお、アリ・パシャ
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アリ・パシャ
何だ?
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マフムト
あなたの瞳を良く見ていて気付いたのだけどね。
あなたは紫が強いけれど、黒と青い色も入っているのだね。 -
アリ・パシャ
………………はあ?
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マフムト
うん、綺麗な色だね。
大丈夫なのだよ、アリ・パシャ。
あなたには余とエセンが傍に居るからね。 -
アリ・パシャ
だ……だから!
そう言う事を言うなと言っているんだ!!
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アリ・パシャ
『激烈』に『嫉妬』とは良く言ったものだな!
お前の言葉は一見穏やかそうに見えてタチが悪過ぎる!! -
マフムト
そうかなあ?はて?
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アリ・パシャ
しかも無自覚だと…!?
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