2023(02)

■Great fortune bring a smile

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「ツッツの豪運って何なんだマジで」
「ホントに。スゴかったぜー」

 先日、定例会終わりにツッツを交えた3人で食事に行った時のことを奏多と希くんが話してくれているのですが、ツッツの運はとんでもないというのが第一印象に来るようです。ちなみに今日は4年生追いコンと卒業式の話し合いで2年生4人が集合しています。

「定例会でもアイツの対応策を話し合うのがメインで気が滅入るだろ。美味いモン食って気晴らしだーっつって、チェーン店とかじゃないちょっと高めの店に入るじゃんな」
「その状況だと確かに美味しい物を食べたくなるわね」
「会計しようとしたら抽選会やってるっぽかったから、参加条件に乗せるために全員の会計をまとめるだろ? で、ツッツにガラポンを回させたら1等を出しやがって、その場の会計は100%割引、つまりタダだよ」
「すっごいね~、ツッツって購買の抽選会でもお米当ててたし、運がいいイメージが強くなったよ! スクラッチでも削ってもらったら面白いことになるかもね!」
「あー、確かにちょっと試してみてーよな」
「4年生追いコンの店でも似たような抽選会やってないかなー」
「それなー」
「期待したくなるのはわかるけど、あまり期待しすぎるのも」

 4年生追いコンは豊葦市内のお店で予約を取ってあって、鶏肉を中心としたメニューを出してくれる居酒屋で行うことになっています。奈々先輩にもこの店で大丈夫でしょうかと確認を取ったところ、サークルでは何度か行っているから大丈夫だよといい返事をいただきました。
 ここのところ、MMPは少しピリピリしていると言うか、難しい雰囲気です。OBを自称する人がサークル室にやってきて、作品制作中の1年生に対するパワーハラスメントを行ったそうです。野坂先輩によればよくあったことだそうですが、まさか今更そんなことになるとは思いもしなかったそうです。
 そしてそれはMMPだけではなくFMにしうみ、そしてインターフェイスにも話が広がりました。それといった対処法が打ち出されるでもなく、後手に回り閉塞感が漂っています。近頃では、奏多も希くんも難しそうな顔をしているのをよく見ます。
 そんな中で、ツッツが1等の赤い玉をガラポンの中から出したのは、彼らにとっては物凄く明るいニュースだったのです。思えば、先にツッツが当てていたお米も、奈々先輩のお疲れさま会でみんなで美味しくいただきました。ツッツの豪運は、少なからずみんなを笑顔にします。

「ツッツと言えば、4年生の先輩1人1人に卒業記念品のボールペン作ってくれてるでしょ。その進捗ってどうなってるの?」
「あ。そーいやここんトコいっぱいいっぱいで聞けてねーわ」
「うん。近々聞いとかないとなー」
「私もすっかり忘れてしまっていました。いろは、よく覚えていましたね」
「前にツッツから「1人1人になぞらえた木材を選びたいけど、自分の選んだ木がその人のイメージに合うかを言葉の観点からも見て欲しい」って相談されてたんだよ」
「全員同じではないのですか…!?」
「職人気質が出てやがる」
「例えば野坂先輩だったら、木言葉が「知性、知恵」とかって意味のある胡桃の材を使いたいって話だったから、俺の持ってるイメージをすり合わせて、胡桃はすごくいいんじゃないって推したりとか」
「花言葉だけでなく木言葉などもあるんですね」
「その辺は何にでもあるね。星言葉とか酒言葉とか」
「ああ、確かに星言葉は私も聞いたことがありました」
「だよね! でもどうやって決めてるんだろうとは思うよね。とりぃ的に星言葉と実際の星の性質との相違って気になる?」
「実は星言葉についてそこまで深く考えたことはなかったのです。同様に、花言葉についてもあまり関心はなかったのですが、コスモスの花言葉が“秩序”だというのは先日教えてもらいました」

 他の先輩にどのような材が使われているのかは卒業式でのお楽しみだそうですが、ツッツ、いろは、パロの知識が集まっているのでみんな納得出来るはずだよ、といろはは自信満々なようです。現に野坂先輩に知性・知恵を当ててくるのは説得力しかありません。
 卒業式で先輩方にお渡しする花束にしても、パロや殿が活躍してくれることでしょう。4年生の先輩たちを象徴する言葉と言えば“ラブ&ピース”ですから、愛や平和という意味のあるお花を中心に組み立てることになるかと思います。

「つーか追いコンの前には極力めんどくせーコトは解決しときたいよな。せっかくの会でロクでもない話ばっかしてんのもアレだし」
「そーだなー。先輩たちに心配も迷惑もかけたくないし」
「胸を張ってもう大丈夫ですと言える状況にはしておきたいですよね」
「って言うかさ、俺その事件のこともよくわかんないんだけど、相手は社会人なんでしょ? 何でスポーツの名門とかでもない、ただのサークルにそこまで執着してるのかな?」
「それがわかんねーから後手になってんだ」
「聞いてる話だとそもそもが誹謗中傷だし、FMにしうみの業務に迷惑かかったんだったら威力業務妨害とかでお縄にならないの? お縄になればよかったのにねー」

 いろはの発想がまあまあ物騒だったので、さすがにまだその程度では警察どうこうじゃないんだろ、と奏多も希くんもいろはを宥めます。いろはは自分が何かおかしいことを言ったかな、ときょとんとしています。いろははなかなか過激な面もあるようです。

「どうせなら現場では楽しい話をたくさんしたいよね。暦の上ではこんな季節なんですよとか、この時期の季語にはこういうのがあって、とか」
「それが全員にとって楽しいかどうかはともかく、空気の作り方としちゃ悪くないわな」
「って言うかいろはもグループとしてはすがやんとか鳥ちゃん側っぽいなー」
「な。好きなことを話し始めたら相手の知識量を無視してどんどん突っ込んでいくヤツ」
「えー!? いやいやいや、考古学とか天文学に比べたら俺のは取っつきやすいでしょ!?」


end.


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いろははサイコじゃない烏丸大地枠っぽくなってきた。まあMMPなんでね
何気に4人だけで集まっている話は初めてかもしれない。ここから関係性を練っていく

(phase3)

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