2020

■推薦・天才レシピ

++++

「よーし、それじゃあ買い出し行くぞ」

 いよいよゼミのバーベキューが明日に迫っているということで、今日はこれから買い出しへ。幹事の鵠さんが有志を集めて行くことになってるんだけど、今日のメンバーがなかなか変わった顔ぶれで。
 まずは幹事の鵠さん、そのおともの俺、それから文芸部の樽中将由くん。樽中くんは賑やかな人だという印象だ。そしてもう1人、今日のドライバーを務めてくれる米福賢司くん。鵠さんの推薦で抜擢されたらしいけど喋ったことがないから緊張する。

「高木、カートとカゴ2個頼む」
「はい」
「えっと、予算は2万で、2年生はお酒なし。余ったお金は打ち上げに使ってもいいけど先生は打ち上げに責任を持たない。だっけ?」
「だな。まあ、毎年2年は食材余らせるらしいし金が足りなくなることは心配してないんだ」

 スーパーに着いて、ゼミで話し合ってまとめた買い出しメモと、佐竹さんから預かってきたという女子からのメモを手に周回を始める。まずはキャベツやタマネギなんかの基本的な野菜を集める。トウモロコシと女子のメモに書いてあるのでそれをピック。そして、鵠さんが手にしてるのはネギだ。

「えっ、鵠さんそのネギは大量過ぎない? 何本?」
「せっかく炭火だから、あったらいいじゃん? アルミホイルで包んで焼いただけのヤツがめちゃ美味い。騙されたと思って明日食ってみ?」
「ええー……でもネギでしょ?」
「それからネギは丸焼きの他にも使い道があるんだ。なあ米福」
「だな。高木君、ネギは嫌い?」
「あ、えっと、絶対食べれないってこともないけど、あんまり好んでは食べないかな」
「うーん、まあでも大丈夫じゃん? 実際ネギの味なんか風味程度だし」
「そうだな。小口ネギも買って行こう」

 この様子を見ていると、どうやら鵠さんと米福くんの間で何かしらの話がまとまっているようだった。俺が基本受け身だからだろうけど、同じゼミにいても知らない人は基本知らない人のままだから、こういう機会を有効活用しなきゃいけないんだろうけど。
 樽中くんも米福くんと打ち解けて話しているし、インターフェイスの活動にも出てるのに人見知りがなかなか治らなくてしんどい。まあ、俺のビジュアルが真面目で大人しそうに見えるらしいから口数が少なくてもそういう子なんだって納得されるんだけど。

「よし、野菜と海鮮は集まったし次は肉だな」
「あ、先にこれ入れとく」
「あ、そうじゃん? こっちのが近かった」

 精肉コーナーを回るのかなと思ったら、カートはお米のコーナーに入って行く。そして米福くんは陳列棚をジッと眺めたかと思えば、米の袋を選んでカゴの中に入れた。2キロ1000円ちょっとのよくあるお米だ。

「えっ、米買うの? 海鮮もあるし、パエリアすんの?」
「パエリアも出来るけど、今回は焼きおにぎりの体で動いてる。ネギ味噌で焼こうかと」
「くーっ! 絶っ対美味いヤツ! 何でそんなの思いつくの、天才か!?」
「こないだウチのサークルでネギ大会やって、そこでネギ味噌おにぎりやったらめちゃ美味かったからここでも採用してやれと思ったじゃんな。で、ウチのメンバーにレシピ教えたのが米福だって言うから今日の買い出しに連れて来たんだ」
「は~、なるほど。おにぎり要員。えっ、米福君てご飯好きなの?」
「好きなのって言うか、お米同好会っていう団体で活動してる」
「何その同好会」
「お米同好会!?」

 お米同好会と言えば、去年の大学祭で全くのノーマークのところから食品ブース賞を掻っ攫って行った団体だ。高崎先輩も気になるって言ってたし、果林先輩が言うにはごはんとごはんのおともが最高だったって。何でも、米を育てるところからやってるとかって。

「高木君、もしかして知ってる?」
「えっと、去年の秋ごろに、サークルの先輩の誕生会っていうのに参加させてもらって、その会で出て来た食事を作ってたのがお米同好会の人だっていう風には聞いたかな」
「あー、ムギワンの上階でやってたあのカオスな集まりか? 俺も参加してたじゃんなそれ」
「2人ともあの場にいたんだ」
「俺はどうせムギワンならっつって三浦から誘われて」
「俺は果林先輩にごはん食べる機会だよって誘われて」
「え、何それめっちゃ気になるんだけど」

 お米同好会の人が監修する焼きおにぎりだったら美味しいはずだし、バーベキューは明日の4、5限の時間帯。米福くんは3限もないらしいからそこからご飯の仕込みに入るらしい。たかがおにぎり、されどおにぎり。

「鵠沼君」
「どうした樽中」
「焼きおにぎりは醤油も美味しいと思うんでぜひご検討を」
「それは俺じゃなくておにぎり大臣に言ってくれ」
「大臣! ぜひご検討を」

 焼きおにぎりは本当に美味しそうで楽しみだし、主食が重なってお腹いっぱいになりそうという心配もちょっとはあるけど、何だかんだ言って2年生は25人いるしみんなで分け合うとなると一人当たりの量は正直あんまり期待出来ない。そうか、これは戦いか。

「ちなみに、ここまでの買い物は誰か計算してる?」
「俺がしてるじゃんな」
「さすが幹事、抜かりない」
「言ってもメインは肉、肉に辿り着く前に金使い切るワケにはいかないじゃん?」


end.


++++

自腹切らずにお肉を食べる機会になるとTKGがちょっと気合を入れるんですね! まあそうか。タダ飯美味い。
GREENsネギ祭りでさっちゃんから名前が出て来た米ちゃんこと米福賢司クン初登場。例によってキャラを詰めるのはこれから。
佐藤ゼミ2年生もちょいちょいキャラが増えて賑やかになってきましたね。お米同好会と文芸部も広がりの予感?

.
47/100ページ