2016(05)
■とびだすコラージュ
++++
「あー、どうする」
「どうしましょうねえ」
そろそろ話し合わなければならないのは、ゴールデンウィークにある文化会発表会について。美術部では個人で作品を制作して展示しているのだけど、場所やなんかの兼ね合いである程度の話し合いは必要になってくる。
文化会発表会というのは、緑ヶ丘大学の文化部が勢揃いして活動の成果を発表するという、そのままの会。部活が多いから2~3日にわたって行われる。美術部は大体作品を作って当日は見てるような感じ。
これは大体内輪向けのの発表会なんだけど、新入生勧誘の意味合いもある。体育会系の部活や星の数ほどあるワケわかんないサークルに立ち向かうため、文化会が手を取り合って人を囲いに行く。
で、そろそろ作品を作り始めなきゃいけないんだけれど、どうするという話。実苑と一緒にどーするどーすると話し合っていて。やること自体はいつもと大差ない。アタシは写真かCGだし、実苑は造形だと思う。
「展示できる場所はどこになるんでしょうか」
「多分4号館の中ならって感じ?」
「なるほど。どこをどう使うかから作品がスタートするわけですね」
「アタシ、素材も溜まってきてるしモザイクアートにしようかなって思って」
「それはいいですね」
ただ、それをやるには広い場所が必要。ある程度距離を取らないと全景が見えないし。写真をめっちゃちまくしてもいいんだけど、それはそれで手間。まあ、その手間を惜しんでたら何も出来ないけど。
「実苑は立体?」
「そうですね。でもどうしましょう。そうだ。唯香さん、コラボしませんか?」
「コラボ?」
「唯香さんのモザイクアートと僕の造形作品を融合させるんです。遠近法を利用して。そうだ、騙し絵的なことって出来ます?」
「トロンプルイユ? まあ、綿密に計算すれば出来るだろうけど」
「やりませんか。僕もやりますし。もちろん個人の作品でも見られるんですよ。よく見たらわかるという作品に出来たら楽しいですね」
「いいね。おっしゃ実苑、やるし」
「やりましょう」
あれよあれよと実苑に乗せられてしまったけど、乗れる波には乗った方がいい。1人で考えていたってどうにもならないときはならないのだから。現に、コラボなんてそうそうやろうとは思わない。
さっそく4号館に行って現場を見てみる。やるとすればどこがいいのか。401教室は大教室で、メイン会場。そこに至るまでの通路がいいのか。アタシの作品だけならどこでも出来るけど、立体を設置するとなると。
「やっぱりここか」
「そうですね。1階は受付があるということですから、あまり場所には期待出来ませんし」
401教室に入るには、1階から入ってもいいけど当日は文化会役員たちがバタバタと資材を搬入したりするために一般の学生は出入り出来ない。2階がメインの入り口で、それでもいっぱいになれば3階からの入場になるらしい。
エレベーターを降りて、教室の入り口に向かうまでの通路と言うか踊り場と言うか。ホールロビーのようにも映る空間。ここならある程度のスペースもあるし、目にも入る。場所は取ったモン勝ち。
「まあ、去年の感じを見てる限り3階の上段席が開放されることはないだろうし、2階だな。2階確保するし!」
「えーと、誰に言えばいいんでしょう」
「……文化会の偉い人に?」
「それって、誰ですか?」
「あー、えーと! 美和さんに聞くし!」
「それより文化会の詰め所に行った方が早いような気がしますが」
まずは、どんな作品にするのかのラフを描いて、どこをどうすればそれらしく見えるのかという計算をして、あー忙しい。写真素材ももっと増やしてやることがいっぱいだし!
end.
++++
美術部のおふたりさん。何気に仲良しだなあ。あずみんとミソノ。ちょっと先に向けた作品制作の打ち合わせです・
緑ヶ丘の文化会発表会をあずみんは美術部の1年生として、ミソノは多分部活に入る前に何となく見に行っていていたという感じ。あずみんの方が内情はわかってるのかな。
しかし何気にミソノが結構アグレッシブだったりするのね。丁寧に喋るからお上品に立ち回るのかと思いきやぐいぐいいくよなあ
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「あー、どうする」
「どうしましょうねえ」
そろそろ話し合わなければならないのは、ゴールデンウィークにある文化会発表会について。美術部では個人で作品を制作して展示しているのだけど、場所やなんかの兼ね合いである程度の話し合いは必要になってくる。
文化会発表会というのは、緑ヶ丘大学の文化部が勢揃いして活動の成果を発表するという、そのままの会。部活が多いから2~3日にわたって行われる。美術部は大体作品を作って当日は見てるような感じ。
これは大体内輪向けのの発表会なんだけど、新入生勧誘の意味合いもある。体育会系の部活や星の数ほどあるワケわかんないサークルに立ち向かうため、文化会が手を取り合って人を囲いに行く。
で、そろそろ作品を作り始めなきゃいけないんだけれど、どうするという話。実苑と一緒にどーするどーすると話し合っていて。やること自体はいつもと大差ない。アタシは写真かCGだし、実苑は造形だと思う。
「展示できる場所はどこになるんでしょうか」
「多分4号館の中ならって感じ?」
「なるほど。どこをどう使うかから作品がスタートするわけですね」
「アタシ、素材も溜まってきてるしモザイクアートにしようかなって思って」
「それはいいですね」
ただ、それをやるには広い場所が必要。ある程度距離を取らないと全景が見えないし。写真をめっちゃちまくしてもいいんだけど、それはそれで手間。まあ、その手間を惜しんでたら何も出来ないけど。
「実苑は立体?」
「そうですね。でもどうしましょう。そうだ。唯香さん、コラボしませんか?」
「コラボ?」
「唯香さんのモザイクアートと僕の造形作品を融合させるんです。遠近法を利用して。そうだ、騙し絵的なことって出来ます?」
「トロンプルイユ? まあ、綿密に計算すれば出来るだろうけど」
「やりませんか。僕もやりますし。もちろん個人の作品でも見られるんですよ。よく見たらわかるという作品に出来たら楽しいですね」
「いいね。おっしゃ実苑、やるし」
「やりましょう」
あれよあれよと実苑に乗せられてしまったけど、乗れる波には乗った方がいい。1人で考えていたってどうにもならないときはならないのだから。現に、コラボなんてそうそうやろうとは思わない。
さっそく4号館に行って現場を見てみる。やるとすればどこがいいのか。401教室は大教室で、メイン会場。そこに至るまでの通路がいいのか。アタシの作品だけならどこでも出来るけど、立体を設置するとなると。
「やっぱりここか」
「そうですね。1階は受付があるということですから、あまり場所には期待出来ませんし」
401教室に入るには、1階から入ってもいいけど当日は文化会役員たちがバタバタと資材を搬入したりするために一般の学生は出入り出来ない。2階がメインの入り口で、それでもいっぱいになれば3階からの入場になるらしい。
エレベーターを降りて、教室の入り口に向かうまでの通路と言うか踊り場と言うか。ホールロビーのようにも映る空間。ここならある程度のスペースもあるし、目にも入る。場所は取ったモン勝ち。
「まあ、去年の感じを見てる限り3階の上段席が開放されることはないだろうし、2階だな。2階確保するし!」
「えーと、誰に言えばいいんでしょう」
「……文化会の偉い人に?」
「それって、誰ですか?」
「あー、えーと! 美和さんに聞くし!」
「それより文化会の詰め所に行った方が早いような気がしますが」
まずは、どんな作品にするのかのラフを描いて、どこをどうすればそれらしく見えるのかという計算をして、あー忙しい。写真素材ももっと増やしてやることがいっぱいだし!
end.
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美術部のおふたりさん。何気に仲良しだなあ。あずみんとミソノ。ちょっと先に向けた作品制作の打ち合わせです・
緑ヶ丘の文化会発表会をあずみんは美術部の1年生として、ミソノは多分部活に入る前に何となく見に行っていていたという感じ。あずみんの方が内情はわかってるのかな。
しかし何気にミソノが結構アグレッシブだったりするのね。丁寧に喋るからお上品に立ち回るのかと思いきやぐいぐいいくよなあ
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