2016(05)

■何と言うアフターアフター

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「うわー、広くなったねー」
「何だここ。あのサークル室と同じ部屋かよ」

 卒業式の打ち合わせのために3年生の先輩をサークル室にご招待。高ピー先輩もいっちー先輩もまず驚いたのは模様替えされたサークル室の広さ。そうだよね。3年生の先輩たちがいた頃は本当にごちゃっとしてたから。
 L主動で行われた大掃除の結果、壁となって部屋を圧迫していたいらない機材は他大学さんに譲ったり処分したりしてうんと減った。部屋自体も1年生にピッカピカに掃除してもらった。現場監督のエージが鬼だったとはタカちゃん談。
 機材が減ったことで生まれたラックのスペースは、MDストック置き場とみんなの荷物置き場になった。それによって、それまで荷物置き場にしていたラックが要らなくなり、一旦それを解体。それで生まれたスペースで何人か多く座れる。

「高ピー高ピー、MDストックもちゃんと収まってるしこれから増えてもまだ余裕があるよ!」
「ホントだな。ああ、これはSEの音源か」
「エージがラジドラやりたいそうなんで、ヒゲから使ってない効果音CDを永久借用してるんですよ」
「使える物は使えだな」
「ですね」

 少し来ない間に全然違う部屋になっていたのもそうだけど、アタシたちが着実に来年度のMBCCに向かって行ってるのだと、多分先輩たちはわかってくれていると思う。年が違えば方針も違う。インターフェイスの荒波に揉まれた3年生だからこそ。

「あっ、てか果林このベンチシート? すごいね!」
「あ? 全然気付かなかった」

 ラックを解体したことで生まれたスペースには、木のボックスベンチが設置された。大体3人くらい座れるのかな。座面がフタになっていて、それを開ければ中は収納スペースになっている。

「これ、機材のお礼にって各大学の精鋭たちが作ってくれたんですよ」
「マジか、手作りとか」
「ハマちゃんはガチですし、直クンとつばめも大道具制作は得意ですからね」
「へー、2年生は仲良くていいなー」
「しっかりしてるし、いいじゃねえか。うん、座り心地もいい」

 別に見返りは求めてなかったし、むしろこっちが助けてもらう立場だったから材料を持って来られた時には正直ビックリした。広くなった部屋にみんなを連れて入った時に、イスを増やしたいなーとは確かに言ったけど。
 ここでベンチを組み立ててる時に例によって野坂が直クンにメロメロになってるのをLが睨んでたり、つばめとハマちゃんのコンビネーションが凄くて本当にあっと言う間だった。ネジを電動のドリルでハメるんだもん、本当にすごい。

「去年これがあったら間違いなく高ピーの寝床になってたね」
「違いねえな。この中にかけるモンしまっといて、寝るときにそれを取り出して。いいじゃねえか。1年早く機材分配するべきだったか」
「高ピー高ピー、俺らの学年だったらこんなの作ってもらえないと思うよ」
「確かに」

 高ピー先輩はよほどボックスベンチが気に入ったのか、卒業式の打ち合わせもその場所から始まってしまった。ちなみに、中の収納スペースには掃除用具や金庫、それからまだ処分には早い過去の資料が入っている。
 ちょっと前までは高ピー先輩やいっちー先輩がごちゃっとしたサークル室にいるのが当たり前だったけど、広くて綺麗になったサークル室に先輩たちがいるのは何だか変な感じがする。年ごとに景色が違うんだなって。それと同時に、アタシたちの代はもう始まってるんだって実感する。

「でだ、卒業式は毎年星港の市民会館でやってるんだけど、地方から出てきてる奴と伊東、大丈夫か」
「あ、そこ俺もカウントするんだ」
「うるせえこのド方向音痴が」

 うん、こうしてる分には懐かしいんだけど。


end.


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綺麗になったサークル室に先輩たちを招きました。高崎に寝転がれるアイテムを与えたらアカン
って言うか各校の精鋭www 急先鋒のハマちゃんに、資材調達の鬼・つばちゃん、そして大道具のスーパーエース直クンの手に掛かれば朝飯前でした。星大は設計担当、ノサカは応援とガヤ。
卒業式の会場は星港の街の中。地方から出てきてる子と並んで危ないのがいち氏。方向音痴で毎年やらかすぞ!

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