2016(05)

■集え、お見合い大作戦

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「これがウチで余ってる機材なんだけど」
「ナ、ナンダッテー!?」
「緑ヶ丘マジパねえ!」

 わざわざ遠いところまで各大学の代表者に足を運んでもらって始まるのは、機材の品評会。こないだの大掃除で出た使わない機材を、捨てる前に他大学さんで需要があるならと見に来てもらっている。
 向島からは野坂、星大はツカサ、青女は直クン、星ヶ丘はつばめ、そして青敬からはハマちゃんがそれぞれ今日の競りに出てきてくれた。競りとは言うけどお金が動く物ではなく、雰囲気として選んだ言葉ね。

「L、MDデッキってあるかな」
「ああ。これな。脚もちゃんとしてるし動作確認も済んでるから」
「L、直クンだけ贔屓すんのなしだからね」
「してねーし! もちろん他大学さんの事情も聞いた上で競合すれば公正にだな」

 余談だけど、Lと直クンが付き合い始めたらしい。テルカナとはまた違ったカップルの様子に微笑ましいなー、直クン良かったねーってなってる人からLのクセに調子に乗りやがってぶっ潰すぞってなってる人から様々。

「ウチはラジオの機材があんまねーし、とりあえずミキサー欲しいな」
「ウチもミキサー欲しい! 機材練習するのにいちいち幹部にお伺い立てんのめんどくさいし」
「ミキサーは星ヶ丘と青敬に渡して大丈夫か?」
「いいでーす」
「じゃあ、星ヶ丘と青敬はまずミキサーで。果林、譲渡先が決まった物には付箋つけといてくれ」
「はいはい」

 ミキサーと一言で言ってもいろいろある。その辺は実際に見てもらってどれがいいかなーって個人で選んでもらう。そうこうしている間にMDデッキは青女に、CDデッキは向島にお嫁に行くことが決まった。
 特につばめとハマちゃんの勢いがすごい。それぞれの事情があるんだろうけど特につばめが鬼気迫っていて、大学でも苦労してるんだなって滲み出てる。そして、密かな人気アイテムがこちら。

「ケーブル欲しい人ー」
「はーい!」
「って全員かよ。果林、何本あったっけ」
「各校に2本ずつ配っても何とか大丈夫」
「あの、ボクたちがこれだけもらっておいて言えることじゃないかもしれないけど、緑ヶ丘は大丈夫?」
「心配しないで直クン! アタシたち使わないし、使うかもって物はキープしてるから! もちろんケーブルの予備もね」
「そう。それじゃあ遠慮なくケーブル戦線に参加するよ」
「ダメだ、直クンがイケメン過ぎて負けてもいいって思えるけど勝ち取らないと律にラブピされる…! 戦っても死ぬ、逃げ帰っても死ぬ、俺に待つのは死のみ! ああ、この命、せめて菜月先輩と圭斗先輩のために使って散りたい…!」

 野坂が安定すぎて。対策委員だった面々はまーた始まったよって冷めた目だけど、定例会の面々は何が始まったってちょっと驚いた様子。いつものです。何だっけ、圭斗先輩が王様で直クンが王子様の国に住みたい、だっけ?
 結局ケーブルは各大学にとりあえず2本ずつ配られて、青女と星ヶ丘、それと青敬にはさらにもう1本ずつ。つばめ曰く、星ヶ丘では妨害工作のためにケーブルが切られるとかもザラだったらしい。修羅過ぎるでしょ。

「よーし、全部分配出来ました! どうもありがとうございます! ところで、みんなどうやって運搬するの? ハマちゃんは車があるからともかく」
「アタシはハマ男に乗っけてもらうし」
「ボクは啓子がそろそろ来てくれるよ」
「ウチは小物ばかりだから手持ちでイケる」
「向島は?」
「……うん」
「ナンダカンダCDデッキとMDデッキ、ケーブルにマイクスタンドにって、大荷物になってるよね、野坂。……アンタ、足ないよね」
「そう、だな。……真司、さらに俺と機材も乗ったりはー……」
「俺とつばみで一式が2セットだろ? さらに人と機材を乗せようとしたらパねえことになるだろ」

 さ、かいさーん。
 はー、部屋も綺麗になったしこれで改めてサークル室の模様替えが捗るね! めでたしめでたし。え、野坂? どうなることやら。


end.


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MBCCで使わない機材を各大学に分配した様子。欲しい物がちょうど手に入ってよかった大学さんやら、欲しい物を見極めてピンポイントで狙っていった星大など様々。
機材部長ということでノサカがやってきた向島、ここはいつものように車持ちの神崎をこき使うべきだった。ノサカの凡ミスである。ラブピされるぞ。
ナノスパ暦で言えばLと直クンが付き合い始めたのは“昨日”という体。一応定例会前三役に黙っといてくれって口止めはしてあるのかな?w

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