2016(04)

■一刀両断! お掃除イベント

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「五島、せーので行くぞ」
「うーい」
「せーのっ」
「うわっ、ホコリヤバっ」

 本格的な春を迎えるに当たって、MBCCでは機材部長のL主動で大掃除が始まっていた。事の発端はエージのくしゃみ。ホコリっぽさがヤバいっす、とのことで掃除魔・Lのスイッチが入ったのだ。
 軽く掃除機をかけるレベルの掃除かなと思ったら、そんな可愛いモンじゃなかった。機材からラックまで、狭いサークル室に押し込められている物を全部動かしての大がかりな掃除。今も、ラックの下から出てきた何年物のホコリの塊が。

「ただいま戻りました」
「高木、ちゃんと布団ばさみで挟んだよな」
「あっ」
「挟んどかないと飛んでくだろ、ほら、そこに布団ばさみあるからもう1回行ってこい」

 床に敷いてある絨毯も、これを機に一度干すことにしたらしい。本当はまるっとコインランドリーの洗濯機にぶち込みたかったらしいけど、時間がないからそれはまた今度にするって(結局やるんだとどん引きしたのは内緒)。
 サークル室にあった荷物はみんなミーティングルームにぶち込んだ。本当にまっさらになった部屋の掃除は1年生たちにお任せ。本来ならLが監督をやるべきだけど、2年生にはこれから大事な仕事があるから現場指揮は神経質なエージの担当。

「しかしまあ、機材の山がなあ」
「ヒゲのお下がりばっかり。くれる物はもらっとけみたいな精神って昔からなんだろうね」

 アタシとL、そしてゴティはこれからこの機材の山との戦いが待っていた。MBCCには一応名前だけの顧問がいる。それがヒゲこと社会学部の佐藤教授。ヒゲはメディア実践の授業も多く持っていて、機材もそれ相応に買っている。
 ヒゲは新しい物好きで、面白そうだと思った機材はすぐポンと買ってしまう。その結果、まだ全然使えるのに使われなくなった機材はMBCCに、というのが基本的な流れ。機材は高くつくし、もらえるならもらっとけと引き取り続けた結果。

「てか、この機材使わないよね」
「捨てるか?」
「捨てたらヒゲがウルサいし、今後もらえなくなっても」
「あー、そうだな」
「じゃあハードオフとかで売ればいンじゃね? この、緑ヶ丘大学ウンタラってシール剥がしてさ。それか、インターフェイスの外の大学に引き取ってもらうとか。シール剥がして」
「あー、そうだな。そういや直が青女は予算がカツカツで機材もロクに買えないって言ってたし、各大学のミキサーに話すだけ話してみるか」
「どっちにしてもシール剥がしは必要だね」

 機材の山の中から、Lとゴティが使うものと使わないもの、そして使えないものを分けていく。使えない物は処分することにして、使わない物は他大学さんに引き取ってもらえないか交渉して、ダメなら処分。使う物は使う物。
 ミキサーだけでも3台もあるし、スピーカーやらデッキやら。ああ、これはアンプだ。本当にいろいろもらってきてるんだなあ。ミキサー2人の動作確認は結構時間がかかりそう。

「果林、各大学の代表者にお知らせ出しといてくれ」
「機材引き取りの?」
「ああ」
「アンタがやればいいじゃん」
「俺は手が離せない」
「はいはい」

 代表者。って言うか対策委員とハマちゃんか。向島は野坂だけでいいや。ウチで使わない機材を引き取って欲しいっていうのと、よければ、権力を持ってる人かミキサーが現物を見に来てくれないかっていうことかな。

「果林、あとシール剥がし買ってきてくれ」
「はいはい。てかアンタ人をこき使いすぎなんだけど。で、レシートはゴティに出せばいいんだよね!」
「ああ、それで」
「はいはい。行ってきまーす」

 はー、機材部長サマにも困ったモンだね。掃除以外の時はてんで目立たないのに。


end.


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MBCCが大掃除を始めたようです。そらまあ、Lが機材部長で実質サークルのトップやしなあ。そら掃除から始めるわなあ。
緑ヶ丘のサークル室は元々そこまで広くもないのだけど、MBCCの場合はそこにさらに機材の壁があって狭さに拍車がかかっていました。断捨離である。
そしてこれからもヒゲゼミからもらえるものはもらい続けるぞ!!! だってくれるんだもの!

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