2016(04)
■未来を結ぶ引火点
++++
就職活動が解禁されて、セミナーやなんかに足を運ぶことが増えた。リクルートスーツという戦闘服を纏い、人波を掻き分ける。まあ、この程度の人込みは余裕ですよね同人イベントに比べれば。
行く先々で顔を合わせる男の子と仲良くなったりもした。互いに相手の話が気になって、お茶をしながら身の上話をしたり。うちは創作のネタに、彼は卒論のネタになってるしウィンウィンってヤツ。
「わっ、美味しい」
「よかった、口に合ったようで。俺も最近仲良くなった人から教えてもらって、ちょっと遠いけどせっかくだしと思って」
「うんうん、お茶もケーキも美味しい。帰りにお店のカードもらって帰ろう」
今日はその彼、朝霞クンとおしゃれなカフェへ。少し話してわかったんだけど、朝霞クンは人が好きな人なんだなーって。1人の時間の過ごし方も知ってるけど、誰かといるのも楽しくて仕方ないみたい。カズは1人での過ごし方を知らないタイプかなー。
「ミルクティーが本当に違う。どうやったらこんなに美味しく淹れられるんだろう」
「うーん、俺も淹れ方までは。あっ」
急に朝霞クンが手をひらひらと振りだした。視線の先には、いつか見たようなチタンフレームのメガネ。その主、リンちゃんもそれに気付いてこちらに寄って来る。ちょっと待ってよそこ知り合いなの!?
「朝霞ではないか。どうした」
「冒険してみようと思って」
「ちょっとリンちゃん何やってんの!」
「見ての通り、茶を飲みに来た。西京から帰ったところでな。もっと言えば、朝霞にこの店を教えたのはオレだ」
「ちょっとそこどんな関係なの」
「お前が思っているような関係ではないとは言っておくぞ」
「何でもかんでも掛け算にしません!」
「スラッシャーがよく言う」
「リン君、スラッシャーって」
「いわゆる“腐女子”の別称だ」
それぞれの関係を整理すると、うちとリンちゃんは高校の同級生。朝霞クンとは就活友達。リンちゃんと朝霞クンは何か友達同士の集まりで出会って意気投合したとかって。何だかんだリンちゃんも多趣味だからなあ。
リンちゃんの元にもミルクティーとフルーツケーキが運ばれてきて、それをつつきながらリンちゃんは冷ややかな目をうちと朝霞クンに向けた。今回はまだ何もしてないからそんな目を向けられる覚えはないのに。
「いや、考え事をしていた。お前たちは重度のワーカホリック同士だと思ってな」
「そう言われてみれば」
「朝霞はどうせ就活と卒論の裏で空想を叩き込むファイルを開いているだろうし、宮ちゃんに至っては就活とサークルと花嫁修業と同人趣味を並行しとるのだろう」
「リンちゃん、うちはまだそこに授業とバイトが加わって来るからね! 忙しさ凄いよ!」
「えっ、てか宮林さんバイトはともかく授業って4年でそれはヤバいんじゃないの」
「だってゲームが楽しいし原稿やってたら授業なんて終わってるんだよ!」
「わかる。俺もステージの台本やってたら朝日なんて余裕で見てたからそれは非常にわかるけど、やっぱ1・2年のうちに片付けとかないと」
原稿あるあるを話していると、リンちゃんが大きく溜め息をついた。バタバタするくらい仕事を抱えていなければ逆に精彩を欠くのもどうかしている、と。
だってしょうがないじゃんねえ。朝霞クンと顔を合わせ、互いを認め合うだけの作業。こんなに作業スタンスの気が合う人って初めてだー、嬉しいよね!
「最近は就活と卒論しかなくて死んでる。映画とか見たらアウトプットしたくなるけど何をどこにぶつければいいやら」
「朝霞クン! 本を出しましょう!」
「えっ」
「うち近々イベント出るし、もし朝霞クンの本が出来たらうちのスペースに置くよ。コピー本とか折本でも全然オッケーだし!」
「マジか。うわー、興味あるな」
「じゃあ決定! うわー朝霞クンの本楽しみー!」
「よし、燃えてきた。締め切りはいつ?」
イベントについての情報や薄い本についてを指南しつつ、来たるその日までを駆け抜ける準備が整いつつある。リンちゃんは例によって冷めた目をしているけれど、文字にするか音にするかの違いでリンちゃんともやってることは変わりませんよ!
「はあっ……混ぜるな危険とはこのことか」
end.
++++
慧梨夏、それはアカン。その誘いはアカンヤツやよ雨宮先生……
というワケで、混ぜるな危険、ついにワーカホリックが激突。核弾頭に核弾頭をぶつけるようなことに……なったら楽しい。
リン様が巻き込まれているような感じだけど、しかしフルーツケーキだなんてリン様かわいいな!
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就職活動が解禁されて、セミナーやなんかに足を運ぶことが増えた。リクルートスーツという戦闘服を纏い、人波を掻き分ける。まあ、この程度の人込みは余裕ですよね同人イベントに比べれば。
行く先々で顔を合わせる男の子と仲良くなったりもした。互いに相手の話が気になって、お茶をしながら身の上話をしたり。うちは創作のネタに、彼は卒論のネタになってるしウィンウィンってヤツ。
「わっ、美味しい」
「よかった、口に合ったようで。俺も最近仲良くなった人から教えてもらって、ちょっと遠いけどせっかくだしと思って」
「うんうん、お茶もケーキも美味しい。帰りにお店のカードもらって帰ろう」
今日はその彼、朝霞クンとおしゃれなカフェへ。少し話してわかったんだけど、朝霞クンは人が好きな人なんだなーって。1人の時間の過ごし方も知ってるけど、誰かといるのも楽しくて仕方ないみたい。カズは1人での過ごし方を知らないタイプかなー。
「ミルクティーが本当に違う。どうやったらこんなに美味しく淹れられるんだろう」
「うーん、俺も淹れ方までは。あっ」
急に朝霞クンが手をひらひらと振りだした。視線の先には、いつか見たようなチタンフレームのメガネ。その主、リンちゃんもそれに気付いてこちらに寄って来る。ちょっと待ってよそこ知り合いなの!?
「朝霞ではないか。どうした」
「冒険してみようと思って」
「ちょっとリンちゃん何やってんの!」
「見ての通り、茶を飲みに来た。西京から帰ったところでな。もっと言えば、朝霞にこの店を教えたのはオレだ」
「ちょっとそこどんな関係なの」
「お前が思っているような関係ではないとは言っておくぞ」
「何でもかんでも掛け算にしません!」
「スラッシャーがよく言う」
「リン君、スラッシャーって」
「いわゆる“腐女子”の別称だ」
それぞれの関係を整理すると、うちとリンちゃんは高校の同級生。朝霞クンとは就活友達。リンちゃんと朝霞クンは何か友達同士の集まりで出会って意気投合したとかって。何だかんだリンちゃんも多趣味だからなあ。
リンちゃんの元にもミルクティーとフルーツケーキが運ばれてきて、それをつつきながらリンちゃんは冷ややかな目をうちと朝霞クンに向けた。今回はまだ何もしてないからそんな目を向けられる覚えはないのに。
「いや、考え事をしていた。お前たちは重度のワーカホリック同士だと思ってな」
「そう言われてみれば」
「朝霞はどうせ就活と卒論の裏で空想を叩き込むファイルを開いているだろうし、宮ちゃんに至っては就活とサークルと花嫁修業と同人趣味を並行しとるのだろう」
「リンちゃん、うちはまだそこに授業とバイトが加わって来るからね! 忙しさ凄いよ!」
「えっ、てか宮林さんバイトはともかく授業って4年でそれはヤバいんじゃないの」
「だってゲームが楽しいし原稿やってたら授業なんて終わってるんだよ!」
「わかる。俺もステージの台本やってたら朝日なんて余裕で見てたからそれは非常にわかるけど、やっぱ1・2年のうちに片付けとかないと」
原稿あるあるを話していると、リンちゃんが大きく溜め息をついた。バタバタするくらい仕事を抱えていなければ逆に精彩を欠くのもどうかしている、と。
だってしょうがないじゃんねえ。朝霞クンと顔を合わせ、互いを認め合うだけの作業。こんなに作業スタンスの気が合う人って初めてだー、嬉しいよね!
「最近は就活と卒論しかなくて死んでる。映画とか見たらアウトプットしたくなるけど何をどこにぶつければいいやら」
「朝霞クン! 本を出しましょう!」
「えっ」
「うち近々イベント出るし、もし朝霞クンの本が出来たらうちのスペースに置くよ。コピー本とか折本でも全然オッケーだし!」
「マジか。うわー、興味あるな」
「じゃあ決定! うわー朝霞クンの本楽しみー!」
「よし、燃えてきた。締め切りはいつ?」
イベントについての情報や薄い本についてを指南しつつ、来たるその日までを駆け抜ける準備が整いつつある。リンちゃんは例によって冷めた目をしているけれど、文字にするか音にするかの違いでリンちゃんともやってることは変わりませんよ!
「はあっ……混ぜるな危険とはこのことか」
end.
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慧梨夏、それはアカン。その誘いはアカンヤツやよ雨宮先生……
というワケで、混ぜるな危険、ついにワーカホリックが激突。核弾頭に核弾頭をぶつけるようなことに……なったら楽しい。
リン様が巻き込まれているような感じだけど、しかしフルーツケーキだなんてリン様かわいいな!
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