2016(04)
■聖戦と保険と下準備
++++
「バレンタインは勝負に出ます!」
いつになく強気ね、とベティさんが目を丸くしている。立ち上がり、こう宣言するのは伏見あずさ。彼女とはこの店で知り合った。ベティさん……それから、大石君とは幼なじみ。共通の友人がいるということで、距離が縮まっていた。
バレンタインが近付いている。確かに、好きな人がいるのなら勝負に出るにはいい日なのかもしれない。そうすると、私はどうしようというところにたどり着く。今年のバレンタインは火曜日らしい。
「イブは散々だったものね」
「あずさ……イブは、デートを?」
「うっ。ぐさり」
「違った、みたい……」
「あずさねー、その彼にイブはご飯でもーって誘ったらイルミネーションデートの先約が入ってたのよー」
「彼には、彼女が…?」
「ううっ」
「そのイルミネーションデートの相手っていうのが男だったのよ。その彼の親友の子よ。泊まりがけで出かけたんですって」
身近な例で言うと、私がリンをイブに誘ったら、先に徹と1泊旅行の予定が入っていた、という感じなのかもしれない。この状況だと、私は「してやられた」と思ってしまうかもしれない。負けず嫌いがここでも出てしまう。
クリスマス旅行のお土産をもらえたのは嬉しかったけど、そうじゃないんですよとあずさはお酒を煽る。クリスマスが不発に終わっただけに、バレンタインこそはしっかりと決めたいそうで。
「だからね、今度はその親友の子に出し抜かれないようにしっかりやりなさいって言ってるところなのよ」
「いざとなればおうちに押し掛けますし!」
「……あずさ、強気……」
「これまでも映画の脚本合宿とかでおうちには行ってますし。なんならお泊まりもしてますし」
「あずさ、白目はやめなさい」
「だってハルちゃん鬼なんだよう」
「その鬼に惚れたのはアンタでしょう」
「そうだけど~! おうちにいい思い出がないんだも~ん!」
あずさにとって「彼の部屋に行く」というのは映画の脚本またはゼミのレポートを書きに行く、師事を仰ぎに行くというのと同義で、そうなると書けるまで解放してもらえないらしい。その彼……ロイの話を聞いていれば納得してしまう。
バレンタインの勝負とは言え、彼の部屋に行くということはあずさにとっては諸刃の剣。チョコレート以外にパソコンやノートを持って行かなければ、やる気がないのかと怒られかねない、と。
「なんなら彼のお家が一番色気がない! 書くんじゃなければ映画見るのに落ち着くし」
「家での映画デートなんていかにもじゃない。そのまま既成事実に持ち込むカップルの話は飽きるくらい聞いてきたわー」
「ポルノ映画だろうと資料ですよ! 何があってもいいように下着は一応頑張ってるのに! どういう構図でーって濡れ場をバックに彼を跨いでシミュレーションすることもあったけど、所詮構図の話なんですよ!」
「そのままガバーッとは行かないのね」
「ないない! 性欲どっかに置いてきてるんだよあの人! もう! それでいてストイックな中に色気があるから困るんだよーばーか!」
そう考えると、人並みに性欲はあると公言しているリンはまだ……ううん、公言するのもどうかと思うけれど、私にはあずさの努力を笑えない。心当たりもないことはないし、気持ちはわからないでもないから。
「あずさ、一応言っとくけどアンタ自分を大切にしなさいよ」
「わかってます!」
「あと、その親友の子とデキてる可能性については考えたことある?」
「はっ…! つまりリアルガチ恋敵!?」
「可能性の話よ。何にせよ、バレンタインを頑張りなさい。ああ、福井ちゃんもね」
「……私も、頑張る……」
end.
++++
ふしみんがちょっとヤケになってる話。多分モスコミュール結構飲んでる。お迎えちーちゃんが招集されるのかしら……
さて、バレンタインの話が出て来ると言うことは美奈の誕生日も着々と近付いていて、それというのはリン様のインフルフラグだったりするんだけど今年はどうなることやら
って言うかどこぞの鬼のP様は人様のお家のお嬢さんと何をしてん あくまで構図の話とかそれはそれで何をしてん
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「バレンタインは勝負に出ます!」
いつになく強気ね、とベティさんが目を丸くしている。立ち上がり、こう宣言するのは伏見あずさ。彼女とはこの店で知り合った。ベティさん……それから、大石君とは幼なじみ。共通の友人がいるということで、距離が縮まっていた。
バレンタインが近付いている。確かに、好きな人がいるのなら勝負に出るにはいい日なのかもしれない。そうすると、私はどうしようというところにたどり着く。今年のバレンタインは火曜日らしい。
「イブは散々だったものね」
「あずさ……イブは、デートを?」
「うっ。ぐさり」
「違った、みたい……」
「あずさねー、その彼にイブはご飯でもーって誘ったらイルミネーションデートの先約が入ってたのよー」
「彼には、彼女が…?」
「ううっ」
「そのイルミネーションデートの相手っていうのが男だったのよ。その彼の親友の子よ。泊まりがけで出かけたんですって」
身近な例で言うと、私がリンをイブに誘ったら、先に徹と1泊旅行の予定が入っていた、という感じなのかもしれない。この状況だと、私は「してやられた」と思ってしまうかもしれない。負けず嫌いがここでも出てしまう。
クリスマス旅行のお土産をもらえたのは嬉しかったけど、そうじゃないんですよとあずさはお酒を煽る。クリスマスが不発に終わっただけに、バレンタインこそはしっかりと決めたいそうで。
「だからね、今度はその親友の子に出し抜かれないようにしっかりやりなさいって言ってるところなのよ」
「いざとなればおうちに押し掛けますし!」
「……あずさ、強気……」
「これまでも映画の脚本合宿とかでおうちには行ってますし。なんならお泊まりもしてますし」
「あずさ、白目はやめなさい」
「だってハルちゃん鬼なんだよう」
「その鬼に惚れたのはアンタでしょう」
「そうだけど~! おうちにいい思い出がないんだも~ん!」
あずさにとって「彼の部屋に行く」というのは映画の脚本またはゼミのレポートを書きに行く、師事を仰ぎに行くというのと同義で、そうなると書けるまで解放してもらえないらしい。その彼……ロイの話を聞いていれば納得してしまう。
バレンタインの勝負とは言え、彼の部屋に行くということはあずさにとっては諸刃の剣。チョコレート以外にパソコンやノートを持って行かなければ、やる気がないのかと怒られかねない、と。
「なんなら彼のお家が一番色気がない! 書くんじゃなければ映画見るのに落ち着くし」
「家での映画デートなんていかにもじゃない。そのまま既成事実に持ち込むカップルの話は飽きるくらい聞いてきたわー」
「ポルノ映画だろうと資料ですよ! 何があってもいいように下着は一応頑張ってるのに! どういう構図でーって濡れ場をバックに彼を跨いでシミュレーションすることもあったけど、所詮構図の話なんですよ!」
「そのままガバーッとは行かないのね」
「ないない! 性欲どっかに置いてきてるんだよあの人! もう! それでいてストイックな中に色気があるから困るんだよーばーか!」
そう考えると、人並みに性欲はあると公言しているリンはまだ……ううん、公言するのもどうかと思うけれど、私にはあずさの努力を笑えない。心当たりもないことはないし、気持ちはわからないでもないから。
「あずさ、一応言っとくけどアンタ自分を大切にしなさいよ」
「わかってます!」
「あと、その親友の子とデキてる可能性については考えたことある?」
「はっ…! つまりリアルガチ恋敵!?」
「可能性の話よ。何にせよ、バレンタインを頑張りなさい。ああ、福井ちゃんもね」
「……私も、頑張る……」
end.
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ふしみんがちょっとヤケになってる話。多分モスコミュール結構飲んでる。お迎えちーちゃんが招集されるのかしら……
さて、バレンタインの話が出て来ると言うことは美奈の誕生日も着々と近付いていて、それというのはリン様のインフルフラグだったりするんだけど今年はどうなることやら
って言うかどこぞの鬼のP様は人様のお家のお嬢さんと何をしてん あくまで構図の話とかそれはそれで何をしてん
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