2017
■愛とカツ
++++
「ほう、ここがお前の見つけた店か」
「そうなんですー。サークルの先輩に教えてもらって、俺もまだ2回くらいしか来たことないんですけど、カツ丼がおいしいんですよー」
ゴールデンウィークで情報センターも休み真っ只中。今日は林原さんと一緒にお互いの好きな場所を巡るという大会が開かれている。まさか林原さんとプライベートで出掛けることになるとは思わなかったですよね。だからひゃーって。
俺が紹介するのはツカサ先輩に教えてもらった丼のお店。本当に丼の種類が豊富でビックリした。向島に出て来てビックリしたのはカツ丼が俺の思ってるカツ丼じゃなかったことだったんだけど、このお店には俺の思ってるカツ丼もあって。
「あー、カツ丼食べたいなーって思ったらここに来るんですよー」
「カツ丼と言うと、これのことだろう? そんなに美味いのか」
そう言って林原さんが指さしたのは煮カツ丼。カツを卵でとじて煮たものが乗ってるタイプのカツ丼。だけど俺の思ってるカツ丼はこれじゃない。何度でも言うけどこれは煮カツ丼。
「違うんですよ林原さん、この店のメニューで言うと、これなんですよ」
「ほう、ソースカツ丼か」
俺の地元、長篠エリアでカツ丼と言えばごはんの上に千切りのキャベツとソースにつけられたカツの乗ったものが“カツ丼”と呼ばれている。卵でとじるのは煮カツ丼だ。
カツ丼と言っても地域によっていろんな種類があるし、ソースカツ丼だけでもいろいろある。ヒレカツだけが乗ってたりするのとか。だけど、キャベツが乗ってないとダメ! これだけは譲れない。
「しかし、熱い白飯の上にキャベツの千切りなど」
「騙されたと思って食べてみてください、美味しいんです。味噌カツの下にキャベツが敷いてあるのと一緒ですよー」
「そうか? まあいい。そこまで言うならソースカツ丼にするか」
ソースカツ丼を2つ注文して(いちいち「ソースカツ丼」って言わなきゃいけないのが面倒だけど)、しばし待つ。このお店は付け合わせの漬け物も美味しくて、それが好きなポイントだったりもする。
「この後林原さんはどこに連れてってくれるんですかー?」
「お前は海に憧れているようなことを言っていたし、海岸沿いを走ろうかと思っていた」
「わーっ! 本当ですかー!? 楽しみですー!」
「西海の海岸はオレの庭のような物だからな。ヒマさえあればそこでキーボードを弾いていたものだ」
「へー、本当に地元なんですねー。いいなー、うちの周り、山ばっかりなんですよー。あっ、でも行こうと思った時にダムを見に行ったりしてー」
「ほう、ダムか」
「緑風との県境にある大きなダムなんですけど、あそこは本当にいいですよー」
「確か春山さんがあのダムについて語らせると熱いぞ」
「へー! そうなんですかー!」
って言うか春山さんって本当に多趣味なんだなあって思う。林原さんと春山さんはすごく仲良しってワケでもないけど仲が悪いってワケでもないんだなあ。
そうこうしている間に頼んでいたソースカツ丼が届いた。味噌汁と漬け物がついてくるのが基本。それで650円って安いよなあって思いつつ、いただきますと手を合わせる。
「ん。美味いな。キャベツはどうなんだと思ったが、これはこれで」
「そうなんですよー」
「キャベツのかさなのか、ボリュームを感じるな」
「そうなんですよー、1食食べたら間食要らないですもん」
「そうか。オレが副業でピアノを弾いている店で甘い物でもと思ったが、間食がいらんのであれば」
「甘い物は別です」
だからぜひ連れてってくださいと食い下がると林原さんは少し呆れたのか、引き気味にわかったと約束してくれた。だって甘い物は美味しいですしー、林原さんがピアノを弾いてるお店とか気になりますしー。
end.
++++
みどりの日なのにミドリの話をやらないワケにはいきませんよねえ、と急遽書いて出しのリンミド。ミドリは実家に帰ってないからね!
ナノスパでソースカツ丼と言えばキャベツの上にカツが乗ってるタイプのヤツ。高崎も好きね。緑大学食での話をやりたいものである
そして春山さんの多趣味っぷり。宇宙と音楽だけじゃないぞ! しかしダムの話を、それもふらりと行ってたなどと春山さんにしようものなら「ずーるーいー!」って駄々をこねかねないっすね
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「ほう、ここがお前の見つけた店か」
「そうなんですー。サークルの先輩に教えてもらって、俺もまだ2回くらいしか来たことないんですけど、カツ丼がおいしいんですよー」
ゴールデンウィークで情報センターも休み真っ只中。今日は林原さんと一緒にお互いの好きな場所を巡るという大会が開かれている。まさか林原さんとプライベートで出掛けることになるとは思わなかったですよね。だからひゃーって。
俺が紹介するのはツカサ先輩に教えてもらった丼のお店。本当に丼の種類が豊富でビックリした。向島に出て来てビックリしたのはカツ丼が俺の思ってるカツ丼じゃなかったことだったんだけど、このお店には俺の思ってるカツ丼もあって。
「あー、カツ丼食べたいなーって思ったらここに来るんですよー」
「カツ丼と言うと、これのことだろう? そんなに美味いのか」
そう言って林原さんが指さしたのは煮カツ丼。カツを卵でとじて煮たものが乗ってるタイプのカツ丼。だけど俺の思ってるカツ丼はこれじゃない。何度でも言うけどこれは煮カツ丼。
「違うんですよ林原さん、この店のメニューで言うと、これなんですよ」
「ほう、ソースカツ丼か」
俺の地元、長篠エリアでカツ丼と言えばごはんの上に千切りのキャベツとソースにつけられたカツの乗ったものが“カツ丼”と呼ばれている。卵でとじるのは煮カツ丼だ。
カツ丼と言っても地域によっていろんな種類があるし、ソースカツ丼だけでもいろいろある。ヒレカツだけが乗ってたりするのとか。だけど、キャベツが乗ってないとダメ! これだけは譲れない。
「しかし、熱い白飯の上にキャベツの千切りなど」
「騙されたと思って食べてみてください、美味しいんです。味噌カツの下にキャベツが敷いてあるのと一緒ですよー」
「そうか? まあいい。そこまで言うならソースカツ丼にするか」
ソースカツ丼を2つ注文して(いちいち「ソースカツ丼」って言わなきゃいけないのが面倒だけど)、しばし待つ。このお店は付け合わせの漬け物も美味しくて、それが好きなポイントだったりもする。
「この後林原さんはどこに連れてってくれるんですかー?」
「お前は海に憧れているようなことを言っていたし、海岸沿いを走ろうかと思っていた」
「わーっ! 本当ですかー!? 楽しみですー!」
「西海の海岸はオレの庭のような物だからな。ヒマさえあればそこでキーボードを弾いていたものだ」
「へー、本当に地元なんですねー。いいなー、うちの周り、山ばっかりなんですよー。あっ、でも行こうと思った時にダムを見に行ったりしてー」
「ほう、ダムか」
「緑風との県境にある大きなダムなんですけど、あそこは本当にいいですよー」
「確か春山さんがあのダムについて語らせると熱いぞ」
「へー! そうなんですかー!」
って言うか春山さんって本当に多趣味なんだなあって思う。林原さんと春山さんはすごく仲良しってワケでもないけど仲が悪いってワケでもないんだなあ。
そうこうしている間に頼んでいたソースカツ丼が届いた。味噌汁と漬け物がついてくるのが基本。それで650円って安いよなあって思いつつ、いただきますと手を合わせる。
「ん。美味いな。キャベツはどうなんだと思ったが、これはこれで」
「そうなんですよー」
「キャベツのかさなのか、ボリュームを感じるな」
「そうなんですよー、1食食べたら間食要らないですもん」
「そうか。オレが副業でピアノを弾いている店で甘い物でもと思ったが、間食がいらんのであれば」
「甘い物は別です」
だからぜひ連れてってくださいと食い下がると林原さんは少し呆れたのか、引き気味にわかったと約束してくれた。だって甘い物は美味しいですしー、林原さんがピアノを弾いてるお店とか気になりますしー。
end.
++++
みどりの日なのにミドリの話をやらないワケにはいきませんよねえ、と急遽書いて出しのリンミド。ミドリは実家に帰ってないからね!
ナノスパでソースカツ丼と言えばキャベツの上にカツが乗ってるタイプのヤツ。高崎も好きね。緑大学食での話をやりたいものである
そして春山さんの多趣味っぷり。宇宙と音楽だけじゃないぞ! しかしダムの話を、それもふらりと行ってたなどと春山さんにしようものなら「ずーるーいー!」って駄々をこねかねないっすね
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