2017
■熱量変換の掟
++++
「んー、うまー」
「俺ももうちょっと食べたくなってきたなあ、なっちが食べてるの見てると美味しそうだもん」
「食べればいいじゃないか」
「うん、そうしよう! 食べよーっと!」
今日はファンフェスの打ち合わせということで、ちょうどみんなの家からの距離が真ん中くらいにならないかなあっていう夢ヶ丘のドーナツ店に集合。目と鼻の先に同じお店が2軒あってどっちだろうって。一瞬しまったって思ったよね。
無事に合流できたところで、さっそく食べたい物を買って食べてたら。失敗したなあって。俺も一応トレーに2つ乗せてたんだよ? でもなっちが食べてる様子が本当に美味しそうで。
「ただいまー」
「うわっ、随分乗せてきたな」
「大石先輩、ホントにそれ全部食べるんすか?」
「えー? たった3つだよー、それにほら、なっち食べてたホイップの、そんなに重くなさそうだし」
「確かにすぐ食べれるくらいには軽いけど、それにしたって全部でドーナツ5つは食べ過ぎだろ。よく太らないな」
「あはは、よく言われる。太らないのはプールに行ってるしバイトが肉体労働だからじゃないかな」
するとなっちは、ちょいと失礼と俺の着ているスウェットの袖を捲り上げる。言われるがままに軽く力を入れると、俺の腕を触ってなっちは楽しそうにしているものだから。
「えーと、これはどういう…?」
「いや、いい感じの筋肉だと思って。向島じゃなかなかこういうのはお目にかかれなくて」
「ああ、そう言われればそうかも。圭斗もミッツもすらっとしてるもんね」
「アイツらは痩せ過ぎなんだ。必要な肉もなくただただ骨と皮で構成された木偶の棒だ」
なっちのキレッキレの言葉は、それまで静かだったミキサーのL……浅田類にも突き刺さる。細身の長身で、パーマのかかった明るい色の髪を結んでいるのが特徴的。でも地味って言うか、目立たないんだよなあ。控えめな性格だからかな。
「うっ。なっち先輩俺にも刺さってます」
「ウルサイ。お前も細いし食すら細いじゃないか」
「スイマセン」
「ウチならノサカが大石寄りなんだろうけど、アイツは今もスポーツをしてる風には見えないのに高校までの遺産だけで太らないのが腹立つ。大石の体つきには根拠があってとても素晴らしいと思うし好感が持てる」
「あ、ありがとう」
「ここが個室だったら実際に体つきを見せてもらうところだったのに、残念だ」
「えーと、それはつまり脱げってこと?」
「個室だったら脱いでもらってたな」
「こ、公共の場所で良かったー…! プールだと平気だけどやっぱり恥ずかしいもん!」
でも確かに、インターフェイスにいる子はちょっと細いか少し恰幅がいいかって感じの子が多いような気がする。自分で言うのもおかしいけど、俺みたくスポーツやってますっていう体格の子はそうそうないよね、文化系の集まりだし。
他にそういう子がいるかなあって考えてみたら、それこそ向島のマーシーなんかがそうだし、あと3年なら高崎とかアニ辺りかなあ。アニなんか高校までは将来有望なサッカー兄弟で有名だったもんね。
「はあ。うちも5つ6つ食べても太らない体質になりたい。ノサカが憎い」
「なっちは気にするほどでもなくない?」
「それが、油断するとすぐ太るんだ」
「なっち先輩、太れないのも考え物っすよ。俺なんか太りたいんすけど量も食えないし死ぬ気で食っても変わんないし貧相なんすよね体が」
「はあ!? その流れでそんな悩みとかそれは殺せってことでいいな!」
「そうは言ってないっす!」
性別によっても悩みや体質なんかも変わって来るし、大変だなあって。そういやカズもよくもうちょっと背が高くてガッチリした体型になりたかったって言ってるっけ。
なっちが不貞腐れて、Lがびくびくしてるのを後目に俺はただただドーナツをつまむ。食べ過ぎても消費することにはなっているから全然平気。むしろ食べなきゃもたないし。
「なっちもLも深刻な悩みなんだねー。うん、俺にはどうすることも出来ないのが辛いけど」
「……何か、お前が食べてるのを見てたら何もかもがどうでも良くなってきた。って言うか、その呑気な顔が?」
「ホントっすね。つか大石先輩も何気に胃袋の容量ヤバいっす」
end.
++++
急遽FF大石班の打ち合わせです。大石班の打ち合わせは大体ドーナツ屋さんで行われるよ!
ちーちゃんは今もバリバリ運動してるから健康なんだろうなあ。体力お化けって言われるだけあるよね。バイト代もプールの月間パスには惜しまないぞ!
そして何気にLの名前がちゃんと出て来たのは今年度初だったような気がするよ。ちょろっと出て来てたこともあったんだけどね
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「んー、うまー」
「俺ももうちょっと食べたくなってきたなあ、なっちが食べてるの見てると美味しそうだもん」
「食べればいいじゃないか」
「うん、そうしよう! 食べよーっと!」
今日はファンフェスの打ち合わせということで、ちょうどみんなの家からの距離が真ん中くらいにならないかなあっていう夢ヶ丘のドーナツ店に集合。目と鼻の先に同じお店が2軒あってどっちだろうって。一瞬しまったって思ったよね。
無事に合流できたところで、さっそく食べたい物を買って食べてたら。失敗したなあって。俺も一応トレーに2つ乗せてたんだよ? でもなっちが食べてる様子が本当に美味しそうで。
「ただいまー」
「うわっ、随分乗せてきたな」
「大石先輩、ホントにそれ全部食べるんすか?」
「えー? たった3つだよー、それにほら、なっち食べてたホイップの、そんなに重くなさそうだし」
「確かにすぐ食べれるくらいには軽いけど、それにしたって全部でドーナツ5つは食べ過ぎだろ。よく太らないな」
「あはは、よく言われる。太らないのはプールに行ってるしバイトが肉体労働だからじゃないかな」
するとなっちは、ちょいと失礼と俺の着ているスウェットの袖を捲り上げる。言われるがままに軽く力を入れると、俺の腕を触ってなっちは楽しそうにしているものだから。
「えーと、これはどういう…?」
「いや、いい感じの筋肉だと思って。向島じゃなかなかこういうのはお目にかかれなくて」
「ああ、そう言われればそうかも。圭斗もミッツもすらっとしてるもんね」
「アイツらは痩せ過ぎなんだ。必要な肉もなくただただ骨と皮で構成された木偶の棒だ」
なっちのキレッキレの言葉は、それまで静かだったミキサーのL……浅田類にも突き刺さる。細身の長身で、パーマのかかった明るい色の髪を結んでいるのが特徴的。でも地味って言うか、目立たないんだよなあ。控えめな性格だからかな。
「うっ。なっち先輩俺にも刺さってます」
「ウルサイ。お前も細いし食すら細いじゃないか」
「スイマセン」
「ウチならノサカが大石寄りなんだろうけど、アイツは今もスポーツをしてる風には見えないのに高校までの遺産だけで太らないのが腹立つ。大石の体つきには根拠があってとても素晴らしいと思うし好感が持てる」
「あ、ありがとう」
「ここが個室だったら実際に体つきを見せてもらうところだったのに、残念だ」
「えーと、それはつまり脱げってこと?」
「個室だったら脱いでもらってたな」
「こ、公共の場所で良かったー…! プールだと平気だけどやっぱり恥ずかしいもん!」
でも確かに、インターフェイスにいる子はちょっと細いか少し恰幅がいいかって感じの子が多いような気がする。自分で言うのもおかしいけど、俺みたくスポーツやってますっていう体格の子はそうそうないよね、文化系の集まりだし。
他にそういう子がいるかなあって考えてみたら、それこそ向島のマーシーなんかがそうだし、あと3年なら高崎とかアニ辺りかなあ。アニなんか高校までは将来有望なサッカー兄弟で有名だったもんね。
「はあ。うちも5つ6つ食べても太らない体質になりたい。ノサカが憎い」
「なっちは気にするほどでもなくない?」
「それが、油断するとすぐ太るんだ」
「なっち先輩、太れないのも考え物っすよ。俺なんか太りたいんすけど量も食えないし死ぬ気で食っても変わんないし貧相なんすよね体が」
「はあ!? その流れでそんな悩みとかそれは殺せってことでいいな!」
「そうは言ってないっす!」
性別によっても悩みや体質なんかも変わって来るし、大変だなあって。そういやカズもよくもうちょっと背が高くてガッチリした体型になりたかったって言ってるっけ。
なっちが不貞腐れて、Lがびくびくしてるのを後目に俺はただただドーナツをつまむ。食べ過ぎても消費することにはなっているから全然平気。むしろ食べなきゃもたないし。
「なっちもLも深刻な悩みなんだねー。うん、俺にはどうすることも出来ないのが辛いけど」
「……何か、お前が食べてるのを見てたら何もかもがどうでも良くなってきた。って言うか、その呑気な顔が?」
「ホントっすね。つか大石先輩も何気に胃袋の容量ヤバいっす」
end.
++++
急遽FF大石班の打ち合わせです。大石班の打ち合わせは大体ドーナツ屋さんで行われるよ!
ちーちゃんは今もバリバリ運動してるから健康なんだろうなあ。体力お化けって言われるだけあるよね。バイト代もプールの月間パスには惜しまないぞ!
そして何気にLの名前がちゃんと出て来たのは今年度初だったような気がするよ。ちょろっと出て来てたこともあったんだけどね
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