2016(03)
■会議も踊るシーズンイン
++++
「うーっ、寒い」
「やァー、向島民はこれスから。だらしないスねェー」
「いや、めっちゃ重装備の律に言われる筋合いはねーよ」
「はァ? 野坂お前自分の家がここと比較するとどれだけ過酷な環境か知らねーから言えるンすわ」
「俺にはこーたみたいな自前の肉布団はないからなあ」
「はー!? 野坂さん嫌味ですかー!? はーやだやだこれだからイケメン詐欺は」
やいやいと、2年生が寒い寒くないと盛り上がっている。確かにもうそろそろ年末だ。師も走るし年賀状がどうした、景気がどうしたなどと年も締めくくりに入るのだ。地元では冬の知らせが2年振りに出たとかナントカで芽依ちゃんからメールが来た。
「ノサカ、ところで脂肪は筋肉よりもひんやりしているらしいからお前はご自慢の筋肉で発熱すべきだ。つまり黙れ」
「さすが菜月先輩! 聞きましたか野坂さん、素晴らしいマジレスを!」
「くっ……偏屈社会学系少女、もとい菜月先輩に言われてしまっては負けを認めざるを得ません」
と、寒い寒くない問答を黙らせたところでさて今日のサークルはどうする。新代表のりっちゃんが進行するようになってひと月程が経った。圭斗とうちが一般席で悪乗りするようになって大喜利に拍車がかかるようになったとは新総務のカンザキ談。
カンザキには総務の仕事を引き継ぐに当たって何かありますかと聞かれたけれど、実はそれほど特筆するような仕事をしていた覚えはない。強いて言えば書類の代筆くらいだろうか。ただ、2年生で一番筆まめなりっちゃん相手にその必要はない。
尤も、カンザキに期待している仕事はラジドラ台本の検閲然りで、ツッコミの作業だろう。先輩相手だろうと容赦ないツッコミが飛んでいた、あの光景。MMP唯一の常識人として、ラブ&ピースを水際で止めること。
「やあ、おはよう。今日は寒いね」
「圭斗先輩おはようございます! 新しいジャケットでいらっしゃいますね!」
「ああ、新調したんだよ」
「今からダウンジャケットなんて着てたら1月2月はどうするんだ」
「全くスわ」
「菜月さんとりっちゃんを基準に語られたくないね。僕は、そして山羽民は寒さに弱いんだよ」
「圭斗先輩はこーたのような肉布団を持ち合わせていませんし、寒そうです」
「ええ、そうですね。圭斗先輩は野坂さんのようなご自慢の筋肉~に恵まれているというワケでもなさそうですから」
それこそ筋肉も脂肪もない、骨と皮だけの男がやってきたところで、話は寒い寒くないの方向に逆戻り。と言うか山羽民をみんなお前と一緒にしたら怒られるんじゃないかと。たとえば、麻里さんとかに。
「あんまり寒いし、近々に鍋かおでんでもやらないかい? そろそろシーズンインだろう」
「鍋かおでんは賛成。玉子とこんにゃくがあればいい」
「鍋かおでんですか。出来れば白飯も炊いていただけるとありがたいです。それらは食べたうちにカウント出来ませんので」
「野坂さんて本当に存在が嫌味ですよね。どうやったらそんなに燃費が悪くなるんですか」
「うるせーこーた。食べても食べても腹が減るんだ。それに、世間には異次元が」
「その異次元を言われるとどうしようもなくなるじゃないですか」
今日のサークルの議題は、おでんまたは鍋の具について。地域差や家庭のローカルルールが発生する分野だけに、話し合いは綿密でなければならない。ついでに年末特番のことをチラリと。
「はっ、闇鍋」
「菜月先輩、それは却下です」
「冗談じゃないか。ムキになるな、カンザキ」
「総務はラブ&ピースを未然に防げと教えたのは菜月先輩じゃないですか」
「それはそうとして、酒粕鍋とか」
「ああ、それはオツですね。さーけーかーすなーべー」
end.
++++
MMPの寒い寒くない問答になると地域とか体つきのことがやいやい言われるけれど、圭斗さんがあらゆる面で最弱なので全員黙るしかなかった
というワケで、冬になるとおでんだの鍋だので盛り上がるMMP、シーズンインです。きゃっきゃしてろよ!
2年ミキサー陣がやいやい言い合っているのが楽しすぎるのでいつかそれだけの話をやりたいと思いつつ、問題はラブ&ピースの語彙力よ
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「うーっ、寒い」
「やァー、向島民はこれスから。だらしないスねェー」
「いや、めっちゃ重装備の律に言われる筋合いはねーよ」
「はァ? 野坂お前自分の家がここと比較するとどれだけ過酷な環境か知らねーから言えるンすわ」
「俺にはこーたみたいな自前の肉布団はないからなあ」
「はー!? 野坂さん嫌味ですかー!? はーやだやだこれだからイケメン詐欺は」
やいやいと、2年生が寒い寒くないと盛り上がっている。確かにもうそろそろ年末だ。師も走るし年賀状がどうした、景気がどうしたなどと年も締めくくりに入るのだ。地元では冬の知らせが2年振りに出たとかナントカで芽依ちゃんからメールが来た。
「ノサカ、ところで脂肪は筋肉よりもひんやりしているらしいからお前はご自慢の筋肉で発熱すべきだ。つまり黙れ」
「さすが菜月先輩! 聞きましたか野坂さん、素晴らしいマジレスを!」
「くっ……偏屈社会学系少女、もとい菜月先輩に言われてしまっては負けを認めざるを得ません」
と、寒い寒くない問答を黙らせたところでさて今日のサークルはどうする。新代表のりっちゃんが進行するようになってひと月程が経った。圭斗とうちが一般席で悪乗りするようになって大喜利に拍車がかかるようになったとは新総務のカンザキ談。
カンザキには総務の仕事を引き継ぐに当たって何かありますかと聞かれたけれど、実はそれほど特筆するような仕事をしていた覚えはない。強いて言えば書類の代筆くらいだろうか。ただ、2年生で一番筆まめなりっちゃん相手にその必要はない。
尤も、カンザキに期待している仕事はラジドラ台本の検閲然りで、ツッコミの作業だろう。先輩相手だろうと容赦ないツッコミが飛んでいた、あの光景。MMP唯一の常識人として、ラブ&ピースを水際で止めること。
「やあ、おはよう。今日は寒いね」
「圭斗先輩おはようございます! 新しいジャケットでいらっしゃいますね!」
「ああ、新調したんだよ」
「今からダウンジャケットなんて着てたら1月2月はどうするんだ」
「全くスわ」
「菜月さんとりっちゃんを基準に語られたくないね。僕は、そして山羽民は寒さに弱いんだよ」
「圭斗先輩はこーたのような肉布団を持ち合わせていませんし、寒そうです」
「ええ、そうですね。圭斗先輩は野坂さんのようなご自慢の筋肉~に恵まれているというワケでもなさそうですから」
それこそ筋肉も脂肪もない、骨と皮だけの男がやってきたところで、話は寒い寒くないの方向に逆戻り。と言うか山羽民をみんなお前と一緒にしたら怒られるんじゃないかと。たとえば、麻里さんとかに。
「あんまり寒いし、近々に鍋かおでんでもやらないかい? そろそろシーズンインだろう」
「鍋かおでんは賛成。玉子とこんにゃくがあればいい」
「鍋かおでんですか。出来れば白飯も炊いていただけるとありがたいです。それらは食べたうちにカウント出来ませんので」
「野坂さんて本当に存在が嫌味ですよね。どうやったらそんなに燃費が悪くなるんですか」
「うるせーこーた。食べても食べても腹が減るんだ。それに、世間には異次元が」
「その異次元を言われるとどうしようもなくなるじゃないですか」
今日のサークルの議題は、おでんまたは鍋の具について。地域差や家庭のローカルルールが発生する分野だけに、話し合いは綿密でなければならない。ついでに年末特番のことをチラリと。
「はっ、闇鍋」
「菜月先輩、それは却下です」
「冗談じゃないか。ムキになるな、カンザキ」
「総務はラブ&ピースを未然に防げと教えたのは菜月先輩じゃないですか」
「それはそうとして、酒粕鍋とか」
「ああ、それはオツですね。さーけーかーすなーべー」
end.
++++
MMPの寒い寒くない問答になると地域とか体つきのことがやいやい言われるけれど、圭斗さんがあらゆる面で最弱なので全員黙るしかなかった
というワケで、冬になるとおでんだの鍋だので盛り上がるMMP、シーズンインです。きゃっきゃしてろよ!
2年ミキサー陣がやいやい言い合っているのが楽しすぎるのでいつかそれだけの話をやりたいと思いつつ、問題はラブ&ピースの語彙力よ
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